闇蛍 -闇-

 

 

作者:片摩 廣

 

 

 

登場人物

 

 

 

内藤 直樹(ないとう なおき)・・・後輩刑事。有園と付き合ってる

 

有園 美沙(ありぞの みさ)・・・先輩刑事。内藤と付き合ってる

 

 

萩原 宗佑(はぎわら そうすけ)・・・内藤の整形前の姿と名前

 

 

永野 真紀子(ながの まきこ)・・・有園の整形前の姿と名前

 

 

ニュースキャスター

 

 

 

比率:【1:1】

 

上演時間:【40分】

 

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CAST

 

内藤 直樹、ニュースキャスター:

 

有園 美抄:

 

 

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(署内で事件の捜査資料を纏めている内藤)

 

 

 

有園:「お疲れ様。内藤君」

 

 

内藤:「お疲れ様です。有園先輩」

 

 

有園:「どう? 捜査状況は?」

 

 

内藤:「未だ、難航してます・・・。今月に入って、3人目・・・」

 

 

有園:「そう・・・。これ以上、被害者を増やすわけには、いかないわね。同僚達の無念を晴らす為にも、

    絶対、犯人、捕まえなきゃね」

 

 

内藤:「勿論です! こんな犯罪・・・。絶対に許せません!」

 

 

有園:「ええ。・・・それにしても惨いわね。どの同僚も、ナイフで何十カ所も刺されて、殺されてるわ・・・」

 

 

内藤:「犯人は、警察に怨みを持っているのでしょうか?」

 

 

有園:「或いは・・・、警察関係・・・」

 

 

内藤:「えっ・・・?」

 

 

有園:「何らかの不祥事で、辞めさせられたか、責任を押し付けられ、辞める事になって、それで恨んでる可能性もあるわ」

 

 

内藤:「同じ警察官に、犯人がいるなんて、考えたくありませんね・・・」

 

 

有園:「内藤君の気持ちもわかるけど、その優しさが、自分の身を危険に晒す事もあるわ。

    もっと、気丈な心、持ちなさい!」

 

 

内藤:「はい! ・・・やっぱり、優秀ですね」

 

 

有園:「え・・・?」

 

 

内藤:「警察学校でも優秀だったって有名ですよ。

    そんな有園先輩なら、本庁でのエリートコースも夢じゃないと思うのに、不思議です・・・」

 

 

有園:「そんな事ないわ。私より、優秀な同僚は、沢山いるわ・・・。

    私なんて、エリートコースは目指せないわよ・・・」

 

 

 

内藤:「あ~あ、僕もキャリア組ならな~」

 

 

有園:「ノンキャリア組でも、警察官は警察官よ。・・・犯罪者を逮捕し、世の中の秩序と平和を守る。

    それが、私達、警察官の使命。

    キャリアばかり、気にしてたら、ろくな警察官にならないわよ!」

 

 

内藤:「・・・そうですね。・・・大事な事、忘れかけてました・・・。

    心、入れ替えて、捜査続けます!」

 

 

 

有園:「張り切るのは良いけど、・・・内藤君、少し疲れてるんじゃない?」

 

 

内藤:「いえ、大丈夫です! こんな時に、休んでなんて居られません!

    僕の事は良いので、有園先輩こそ、少し休んで下さい。

    今にも、倒れそうな顔してますよ」

 

 

有園:「此処の所、ずっと捜査の連続で、まともに休んでなかったからね。

    悪いけど、お言葉に甘えて、少し休ませてもらうわ」

 

 

 

内藤:「ええ。そうして下さい。・・・後で、起こしに行きます」

 

 

 

有園:「ありがとう」

 

 

 

内藤:「あっ、有園先輩」

 

 

 

有園:「何?」

 

 

内藤:「僕、有園先輩と一緒の部署になれて、光栄です!

    これからも、ご指導、宜しくお願いします!」

 

 

 

有園:「ええ。ビシビシ、鍛えるから、そのつもりで!」

 

 

 

内藤:「はいっ!!!」

 

 

 

 

 

(数時間後、有園を起こしに来る内藤)

 

 

 

内藤:「先輩、有園先輩」

 

 

有園:「ん・・・。・・・もう時間?」

 

 

内藤:「ええ。まだ、寝足りませんか?」

 

 

有園:「そうでもないわ。内藤君のおかげで、疲れとれた」

 

 

内藤:「本当ですか? 無茶したら、駄目ですよ」

 

 

有園:「わかってるわよ。ねぇ、内藤君?」

 

 

内藤:「何ですか?」

 

 

有園:「今夜は、うちに、来る?」

 

 

内藤:「別に構いませんが、疲れてませんか?」

 

 

有園:「平気よ。今夜は、一人で居たくないの・・・。駄目かしら?」

 

 

内藤:「わかりました。・・・一度、マンションに戻って、それから行きます」

 

 

有園:「わかった。・・・待ってる」

 

 

内藤:「それでは、また後で」

 

 

 

 

 

 

(有園のマンション)

 

 

 

有園:「料理の用意はこんな物かな。・・・あっ、内藤君からメール。

    後、5分くらいで、着きます・・・か。

    真面目なんだから」

 

 

 

(5分後、有園の部屋のインタフォーンが鳴る)

 

 

 

有園:「時間通り。は~い。今、開けるから待って~。

    ・・・お待たせ。随分と遅かったわね・・・」

 

 

 

内藤:「すみません。色々と、準備に戸惑っちゃって・・・」

 

 

 

有園:「準備って?」

 

 

 

内藤:「それは、これです。じゃ~ん!」(ケーキを差し出す)

 

 

 

有園:「ケーキ・・・。覚えててくれてたんだ・・・」

 

 

 

内藤:「当たり前じゃないですか。今日で先輩と付き合って、1年目なんですから」

 

 

 

有園:「それで、わざわざ、日付の変わる0時になるのを待ってたのね」

 

 

 

内藤:「流石、先輩、正解です・・・。・・・う~ん、やっぱり、先輩には嘘付けませんね~」

 

 

 

有園:「そんな優しい一面も、惚れた一つなんだけどね~」

 

 

 

内藤:「う~ん。他の要因も気になりますね~」

 

 

 

有園:「知りたい?」

 

 

 

内藤:「知りたいです」

 

 

 

有園:「仕方ないな~。じゃあ、教えてあげる。それは~、内藤君の顔で~す。本当、イケメンで、私の好み!」

 

 

 

内藤:「大好きな有園先輩に、気に入ってもらえて、僕も嬉しいです」

 

 

 

有園:「あれ~、怒らないんだ?」

 

 

 

内藤:「どうして、怒る必要があるんですか~?」

 

 

 

有園:「顔目的だったのかって、怒るかな~って」

 

 

 

内藤:「怒りませんよ。そんな些細な事で」

 

 

 

有園:「本当、外見も中身もイケメンなんだから~。・・・ねぇ、本当に私で良いの?」

 

 

 

内藤:「勿論です。どうしてそんな事、聞くんですか?」

 

 

 

有園:「だって、内藤君、こんなイケメンだし、他にもモテるんじゃないかって不安なの・・・」

 

 

 

内藤:「昔からモテましたよ」

 

 

 

有園:「あ~、やっぱり~」

 

 

 

内藤:「モテたのですが、それが良い事だけじゃなくて・・・。

    僕、高校の頃、同じクラスの女の子から・・・、ストーカー行為、されてたんです・・・」

 

 

有園:「ストーカー・・・」

 

 

 

内藤:「どうかしましたか?」

 

 

 

有園:「ううん・・・! 何でもない! ・・・ストーカーって、大変だったんだろうなって、思って」

 

 

 

内藤:「かなり、大変でしたよ。・・・学校の校門で、待ち伏せされたり、

    家まで、後、付いて来られたり・・・。

    今、思い出しても、怖くなります・・・」

 

 

 

有園:「それで、その女の子とは・・・?」

 

 

 

内藤:「1年くらい、付きまとわれました・・・」

 

 

 

有園:「1年? ・・・その後は?」

 

 

 

内藤:「その後は・・・、その女の子、他の好きな人、追っかけるようになって、

    なんと、そのまま、その人と付き合いだしました。

    おかげで、助かりましたけどね~」

 

 

 

有園:「そう。それなら良かった。・・・それにしても、イケメンも苦労あるのね~」

 

 

 

内藤:「有園先輩こそ、美人だし、僕、不安になる時、ありますよ~。

    先輩は・・・、ストーカーに、あった事は・・・」

 

 

 

有園:「ないない。私なんて、全然モテなかったし、付き合ったりも少なかったわ・・・」

 

 

 

内藤:「へ~、何か意外です。モテモテだと思ったのにな~」

 

 

 

有園:「買い被り過ぎよ。・・・内藤君、選んで正解だな」

 

 

 

内藤:「え?」

 

 

 

有園:「仕事とプライベート、ちゃんと分けてくれるから、指導にも、遠慮なく力を入れられるし、

    これからが、楽しみよ。

    内藤君なら、きっと私より出世すると思うわ!」

 

 

 

内藤:「・・・有園先輩の指導なんです! 死ぬ気で頑張りますよ!」

 

 

 

 

有園:「うん! 良い心がけ! ・・・ねぇ、座って待ってて。ケーキ切ってくる」

 

 

 

内藤:「わかりました」

 

 

 

(ケーキを持ってキッチンに向かう有園)

 

 

 

 

 

 

有園:「はい、お待たせ」

 

 

 

内藤:「ありがとうございます。有園先輩・・・、ジュースどうぞ」

 

 

 

有園:「ありがとう。う~ん、美味しそうなケーキ・・・」

 

 

 

内藤:「美味しいと評判のお店のです。・・・本当は、手作りケーキとか作れたら良かったのですけど・・・」

 

 

 

有園:「その気持ちだけでも、嬉しいわよ。じゃあ、いただきます」

 

 

 

内藤:「どうぞ。召し上がれ」

 

 

 

有園:「ううん。美味しい~」

 

 

内藤:「気に入ってもらえて、僕も嬉しいです」

 

 

有園:「ほらっ、内藤君も食べて」

 

 

内藤:「今は、有園先輩の、幸せな笑顔見れて、心もお腹も一杯なので、後で食べますね」

 

 

有園:「わかった。・・・でも、こんな幸せで罰、当たらないかな・・・?」

 

 

内藤:「どうしてですか?」

 

 

有園:「・・・連続殺人事件も解決してないのに、こんな浮かれてて良いのかなって思っちゃった・・・」

 

 

内藤:「何、言ってるんですか! こう言う時だからこそ、こう言う幸せな時間も大事なんですよ!

    凄惨な事件ばかり、続いてるんです・・・。

    今は、この幸せな時間、分かち合いましょう」

 

 

有園:「内藤君・・・。それも、そうね。

    せっかくの、内藤君との記念日なのに、台無しにする所だった・・・。ごめんね」

 

 

 

内藤:「良いんですよ。有園先輩は、真面目ですけど・・・、真面目過ぎる部分もあるので、

    何でも、背負いがちです・・・。

    プライベートの時くらいは、僕に甘えてください。これでも、立派な男なんですから」

 

 

 

有園:「わかったわ。これからはもっと、甘える。・・・甘えすぎて、嫌いにならないでよ?」

 

 

内藤:「なりませんよ。安心してください。

    ほらっ、ケーキ、どんどん、食べてください」

 

 

 

有園:「うん」

 

 

 

 

 

 

内藤:「有園先輩」

 

 

有園:「何?」

 

 

内藤:「食べながらで良いんで、そのまま聞いててください。・・・僕達、付き合って今日で1年ですよね。

    前から考えてたんですけど・・・、そろそろ、将来の結婚を考えて、お互いの両親に、挨拶しときたいなって・・・」

 

 

 

有園:「・・・」

 

 

 

内藤:「そうは言っても、僕の両親は、幼い頃、事故で亡くなっているから、養父母で、

    本当の両親では無いのですけど・・・」

 

 

 

有園:「・・・うん」

 

 

 

内藤:「養父母も、有園先輩と、御両親に会っておきたいと行ってますし、どうでしょうか?」

 

 

 

有園:「内藤君・・・。ごめん。・・・うちの両親、両方とも海外に住んでて、忙しいんだ・・・」

 

 

 

内藤:「そうですか・・・」

 

 

 

有園:「そんなガッカリしないで・・・! 私も、内藤君との将来を真剣に考えてる。

    だから、もう少しだけ待って。ちゃんと、両親にも、伝えとくわ」

 

 

 

内藤:「有園先輩・・・。嬉しいです・・・」

 

 

 

有園:「美沙。・・・いい加減、二人っきりの時は、名前で呼んでよ。・・・直樹」

 

 

 

内藤:「わかっては居るのですが、有園先輩の方が1つ年上だから、慣れなくて・・・」

 

 

 

有園:「もう・・・。でも、そんな所も可愛い」

 

 

 

内藤:「からかわないでくださいよ~」

 

 

 

有園:「ごめんって。・・・じゃあ、そんな可愛い直樹との、付き合って1年目に、乾杯!」

 

 

 

内藤:「乾杯!」

 

 

 

有園:「じゃあ、私、お祝いのお料理、持ってくるね!」

 

 

内藤:「手伝いましょうか?」

 

 

有園:「うううん。そのまま座って待ってて」

 

 

内藤:「わかりました」

 

 

(台所で手料理を皿に、盛り付けている有園)

 

 

 

有園:「内藤君、私の手料理、気に入ってくれるかな~。う、う・・・それにしても、やっぱり疲れてるのかな~。

    何か、フラフラする~。・・・あれっ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

(見知らぬ倉庫で目を覚ます有園

 椅子に手を固定されてる)

 

 

 

 

有園:「う、う~ん・・・。・・・此処って何処? ・・・倉庫? ・・・私、自分の家で、直樹とお祝いしてて・・・。

    えっ!? ・・・何で私、椅子に縛られてるの・・・!?」

 

 

内藤:「あっ・・・、ようやくのお目覚めですか~。・・・5時間も寝てるなんて計算外だ。・・・睡眠薬の量、間違えたかな~」

 

 

有園:「直樹・・・!? これは一体、何のつもり!?」

 

 

内藤:「今、何のつもりって言いました? あはははははは!」 

 

 

有園:「何が可笑しいのよ! 良いから、質問に答えなさい!」

 

 

内藤:「本気で言ってんの? 自分がどうして、こんな状況になってるか~、

    本当、身に覚えないのですか~?」

 

 

有園:「ある訳ないでしょ! 良いから早く、縄解いて! じゃないと、ただじゃおかないわよ!」

 

 

内藤:「はははははは! ある訳ないってか!!!! はははははは!!!!」

 

 

有園:「何よ・・・」

 

 

内藤:「10年前~。とんでもない事、しでかしましたよね~? それも、覚えてないの~?」

 

 

有園:「10年前・・・。・・・何も、してない・・・」

 

 

内藤:「嘘付くんじゃねぇ~!」

 

 

有園:「ヒイッ!」

 

 

内藤:「ねぇ~、有園先輩。・・・貴方は、何故、刑事になったのですか~?」

 

 

有園:「それは、世の中の犯罪をなくす為・・・」

 

 

内藤:「はははははは! 犯罪をなくす!!!! はははははは!!!」

 

 

有園:「刑事なんだから、当たり前じゃない!」

 

 

内藤:「当たり前・・・。・・・世の中の犯罪をなくす・・・。そんな事、本当に出来るのかな~?」

 

 

有園:「どういう事?」

 

 

内藤:「犯罪なんて、一体どのくらいの数、未捜査で溢れてるんだろうなって思ってさ~。この犯罪国家では」

 

 

有園:「・・・」

 

 

内藤:「未解決事件、捜査打ち切り、それに・・・隠蔽」

 

 

有園:「・・・」(隠蔽という言葉で、表情が曇る)

 

 

内藤:「あははははは!!!! あ~、その表情!!!! 最高だよ~!!!! 普段、必死に隠して、隠し通していた

    有園先輩の、その顔~!!! ようやく見る事が出来た~!!!」

 

 

有園:「何の事よ! 私は別に・・・」

 

 

内藤:「先輩~。駄目じゃないですか!!! あれだけ、厳しい警察学校での訓練で~、

                忍耐力、精神力、何度も何度も何度も~!!!!

    嫌になるくらい、教官に鍛えられたのに! それなのに、こんな「隠蔽」なんて言葉一つで、崩しちゃうなんて!!!」

 

 

有園:「・・・」

 

 

内藤:「隠蔽。隠蔽。隠蔽。隠蔽! 隠蔽!! 隠蔽!!! 隠蔽!!!!」 

 

 

有園:「もう止めてえええええ!!!!! お願いだから・・・!」

 

 

内藤:「何を一体止めるって言うんですか!? 僕はただ、隠蔽って言葉、連呼してるだけですけど~!!!!」

 

 

有園:「直樹・・・。貴方・・・。一体・・・、何者?」

 

 

内藤:「えええええ~、僕は僕ですよ~! あははははは!!!」

 

 

有園:「ふざけてないで、答えなさい!!!!」

 

 

内藤:「ふふっ。蛍」

 

 

有園:「今、何て!?」

 

 

内藤:「蛍・・・。蛍。蛍。蛍。蛍。だよ! これで、ちゃんと聴こえましたよね~!」

 

 

有園:「何で!? 貴方が、その事、知ってるの・・・!?」

 

 

内藤:「さぁ、何ででしょうね・・・。・・・有園先輩だとわかるまで、3人・・・犠牲にしちゃった~」

 

 

有園:「3人・・・? じゃあ、連続警察官、行方不明事件の犯人って!」

 

 

内藤:「あっ、それ僕です」

 

 

有園:「一体、何の為に!?」

 

 

内藤:「先輩を見つける為ですよ!!! いや~、流石の僕も気付きませんでした。

    ・・・随分と苦労しましたよ。・・・だって貴方、顔、整形してるんだから!!!!」

 

 

有園:「あ・・、あ、あ、あ、あああああああああああ!!!!!」

 

 

内藤:「その絶望した顏!!!! 待ってました!!! 写メ、撮っとこう~。

                あはっ! あはっ! あははは!」(スマホで写真、何枚も撮る)

 

 

有園:「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・! ・・・貴方は一体誰・・・!?」

 

 

内藤:「さぁ、誰なんでしょうね~!!!! 刑事なんだから、ちゃんと推理してくださいよ~!!!」

 

 

有園:「あれは、事故だったのよ!!!」

 

 

内藤:「事故!? あれ~! 可笑しいな~! 事故!!! 事故だって!!! あはははは!!!」

 

 

有園:「事故だって言ってるでしょ!!!」

 

 

内藤:「・・・じゃあ、何で、新聞にも、ニュースにもならなかったんですか!!!」

 

 

有園:「それは・・・! ・・・」

 

 

内藤:「ねぇ・・・。何で・・・、ですかっ!!!!?」

 

 

有園:「・・・」

 

 

内藤:「早く答えてくださいよ~。有園・・・先輩!!!! ねぇ!!!!」

 

 

有園:「私が、父に頼んで、隠蔽したからよ!!!!」

 

 

内藤:「よく答えれました~!!!」(拍手する)

 

 

有園:「貴方、あの事故の関係者ね! 私に復讐する為に、こんな計画を・・・」

 

 

内藤:「あはははははは!!!!」

 

 

有園:「笑ってないで、答えて!!!」

 

 

内藤:「どうせ殺すから、最後に、教えてあげます。・・・僕は、関係者ではなく・・・、

    10年前、あんたに突き飛ばされた・・・萩原 宗佑。本人だよ!!!!」

 

 

有園:「嘘よ!!!!! そんなはずない!!! だって、父も、上手く処理したと!!!」

 

 

内藤:「あぁ・・・。処理しかけられました。だけど、危機一髪という所で、助けられたんです!!!」

 

 

有園:「どうやってよ!!!」

 

 

内藤:「それは詳しく教えられないよ~!!!

    教えたら、その人にも迷惑かかる。強いて言うなら、命の恩人は、堅気じゃないからさ~!

    あっ、顏もその時、整形しました」

 

 

有園:「・・・」

 

 

内藤:「・・・あの頃から、イケメンばかり追いかけてたから、

    どんなタイプ、好むかも、簡単でしたよ。

    思惑通り、貴方は、僕を好きになった」

 

 

有園:「・・・その恩人のせいで、私は・・・、こんな目に・・・」

 

 

内藤:「有園 美沙、いいえ、永野 真紀子さん、

    名前まで変えてるとはね~。

    新聞で、貴方は、事故死したと見た時から、怪しいと思ってました。

    だから、必死に勉強して、警察官になり、その真相を探ろうと思ったんです。

    貴方の父親、永野警視総監の事をね!」

 

 

有園:「くっ・・・」

 

 

内藤:「まぁ、恩人の力もあって、永野警視総監は、密かに若い女性と会ってるのもわかりました。

    でも、残念ながら、誰とまではわからず、こうして、探し出すまで苦労した訳ですよ。

    3人共、ハズレでしたから」

 

 

有園:「じゃあ、あの人達は、私のせいで・・・」

 

 

内藤:「ええ。死にました。みんな、泣き叫びながら、命乞いしてましたよ~」

 

 

有園:「そんな・・・」

 

 

内藤:「3人の遺体、完全に処理しなかったの、何故だか、わかりますか?」

 

 

有園:「どうしてよ・・・?」

 

 

内藤:「それは~、貴方へのメッセージだったからですよ~。

    まっ、その様子だと、意味なかったようですけど・・・。

    少しは、正体がばれて、復讐されるとか、考えなかったのですか?」

 

 

 

有園:「・・・」

 

 

 

内藤:「本当、先輩って、永野警視総監に、全部任せてたんですね。

    そして、のうのうと、生きて、僕と恋愛なんかも楽しんで!!!

    本当、良いご身分だ!!!」

 

 

有園:「私の過ちで、あの3人の・・・人生は・・・」

 

 

 

内藤:「ねぇねぇ~、僕の人生も貴方、変えたの忘れないでくださいよ~!!!

    あの事故から、まるっきり変わりましたよ!!!

    身体が回復してからは、色々と教えてもらったな~。人の殺し方を・・・。

    全ては、今日この日、貴方に、復讐する為にね!!!!」

 

 

 

有園:「復讐なんて、出来ると思う?」

 

 

内藤:「どういう意味ですか? それ~?」

 

 

有園:「貴方も知ってる通り、私の父は警視総監よ。・・・私の居場所は常にGPSでわかるようになってる。

    そして、今夜はその父と、会食に出かける予定。・・・それなのに、私から連絡がないとなれば、

    父は心配する。・・・きっと、今頃、こっちに部下達を向かわせてるはずよ。

    だから、貴方も此処でお終いよ。・・・わかったなら、早く解放しなさい!!!」

 

 

 

内藤:「あははははは!!!!」

 

 

 

有園:「何が可笑しいの? 早く解放しなさいよ!!!!」

 

 

内藤:「あ~、可笑しい。そっか~。親子って、死ぬ瞬間に言う言葉も似て来るんだ~!!! 勉強になったな~!!!!」

 

 

有園:「今、何て・・・?」

 

 

内藤:「あれ~? 聞こえませんでした~? じゃあ、もっと分かりやすく教えてあげま~す。

    貴方の父親、永野警視総監は~、今、貴方が座ってる椅子で、死にました~!!!」

 

 

有園:「そんなの嘘よ・・・。父が死んだなんて、嘘よ!!!」

 

 

内藤:「10年前の事件・・・、ばらすと脅したら、

    部下も連れず、一人でまんまと此処に来ましたよ~!

    そして、警視総監は、僕にこう提案してきました。

    3千万、用意する。・・・だから、娘の秘密はばらさないでくれと!」

 

 

有園:「・・・」

 

 

内藤:「3千万ですよ! 3千万!!! そんな、はした金で、交渉するなんて、本当、馬鹿ですよね~!!!!

    余りにも、馬鹿過ぎだから、殺そうって決めました。

    僕が、その金額で良いですよ。わかりましたと言ったら、一瞬油断したので、

    その時に、このナイフで、刺しました。

    でも、刺した所、致命傷にならなかったらしく・・・、仕方ないので、また刺しました。

    何度も。何度も。何度も。何度も!!!」

 

 

有園:「嫌ああああああああああ!!!!!!」

 

 

 

内藤:「圧巻の光景でしたよ!!! 口から大量の血、溢れだして~、まるで、シンガポールの観光名所、

    マーライオンのようでした~!!! ドバ。ドバ。ドバ。と!!!!!」

 

 

 

有園:「もう止めて!!!! 聞きたくない!!!!」

 

 

 

内藤:「何でですか!!! これからが良い所なのに~。他にも楽しい部分あるけど、仕方ない。

    省略しますね。余りにも、苦しみ続けたので、僕も、可愛そうに思えて来て、

    何だか、笑いこみ上げちゃいました。あ~、この人、これから死ぬんだなって~!!!」

 

 

 

有園:「貴方、狂ってる・・・!!!」

 

 

 

内藤:「あれ? ほらっ、あれと同じですよ! ホラー観てると、あまりの怖いシーンだと、

    思わず、笑ってしまう事、ありますよね~?

    あれって、きっと脳が、これ以上の恐怖で、体に負担をかけないよう、指令出してるんだと思うんです。

    だから僕も、あの時、そんな感じだったんです」

 

 

 

有園:「恐怖の感情すらも、麻痺してるだけじゃない!!! 貴方はサイコよ!!!」

 

 

 

内藤:「そんなサイコを愛したのは、何処の誰でもない! 貴方ですよ!!!」

 

 

 

有園:「私の愛した直樹は、貴方じゃない!!!!」

 

 

内藤:「あ~、あまりの恐怖で、頭まで可笑しくなったのですか?

    僕です!!! 僕。僕。僕。僕!!!!!」

 

 

 

有園:「嫌ああああああああああああああ!!!!!!」

 

 

 

内藤:「叫んでばかり居ないで、認めてください!!!

    私の愛した、直樹は、貴方ですって!!!」

 

 

 

有園:「嫌・・・!」

 

 

 

内藤:「ほらっ、認めて楽になりましょうよ。ほらっ、ほらっ!!!」

 

 

 

有園:「嫌よ!!! 嫌あああああああああああ!!!!」

 

 

 

内藤:「本当、強情ですね。じゃあ、認めてもらう為に良い事、教えてあげます」

 

 

有園:「何をよ?」

 

 

内藤:「昨夜のケーキ、有園先輩、美味しそうに食べてましたよね~」

 

 

有園:「それが、どうしたのよ!」

 

 

内藤:「あのケーキ、本当は、僕が作りました~! 美味しいと、言いながら食べてくれて、僕、凄く嬉しかったんですよ~。

    嬉しいと同時に、あ~、予想より、上手く出来たな~って思ってました!」

 

 

 

有園:「一体、どう言う意味?」

 

 

 

内藤:「あのケーキ、味調整するの苦労しました~。なんせ、材料が材料なんで~」

 

 

有園:「まさか・・・」

 

 

内藤:「あはははははは!!!! 同僚の味はどうでしたか~!!!!!」

 

 

有園:「嘘よ・・・! 嘘よ・・・! 嘘!!!!!」

 

 

内藤:「ううん。美味しい~って、笑顔で言ってたじゃないですか!!!!

    サイコが作った、特製、同僚ケーキ!!!」

 

 

有園:「うっ・・・」

 

 

内藤:「あ~、吐かないでくださいね~。後片付け、面倒なので~」

 

 

有園:「はぁ、はぁ、はぁ、・・・ねぇ、直樹」

 

 

 

内藤:「何ですか? 有園先輩!」

 

 

 

有園:「私が悪かったわ・・・。・・・開放してくれたら、貴方の事、罪に問わないし、

    探したりもしない! ・・・だから、お願い、開放して!」

 

 

 

内藤:「そんな嘘臭い言葉、信じると思ってるのですか!?」

 

 

 

有園:「嘘じゃない!!!」

 

 

 

内藤:「本当は、有園先輩との、恋人ごっこも、もう少し楽しみたかったんです・・・。

    なのに、昨日、内部に犯人いる可能性もあるなんて、言っちゃうから。

    殺すの早めないと行けなくなったじゃないですか!!!」

 

 

有園:「私は、貴方の事、本気で好きに・・・!」

 

 

 

内藤:「僕も~、有園先輩の事、大、大、大、大、大好きでしたよ~!!!

    どんな方法で、殺してやろうかって、毎日、毎日、側で思ってました~!」

 

 

 

有園:「貴方は、私の事、好きじゃなかったのね・・・」

 

 

 

内藤:「さっきから、有園先輩、つまらないです!!!

    正直、ガッカリです。ガッカリしたので、これから殺しますね」

 

 

 

有園:「・・・! 嫌。嫌。嫌・・・、嫌あああああああああああああ!!!!」

 

 

 

内藤:「泣き叫んでも、誰も助けに来ませんよ。・・・ちゃんと細工もしましたから」

 

 

 

有園:「お願い・・・。・・・私が、悪かったわ・・・。・・・だから、命だけは、助けて・・・!」

 

 

 

内藤:「じゃあ、チャンス上げます。・・・僕の事、突き飛ばしたあの日、何で突き飛ばしたのですか?」

 

 

有園:「・・・気持ち悪かったから」(小声)

 

 

内藤:「今、何て言いました?」

 

 

有園:「気持ち悪かったからよ!!! ・・・勝手に私の事、好きになっただけじゃなく、

    毎日、毎日、学校帰り、待ち伏せしたり、・・・可笑しくなりそうだった!!!」

 

 

 

内藤:「そうでしたか・・・。じゃあ、何であの日!!! 僕をデートに誘ったん・・・ですか!!!!?」

 

 

有園:「それは・・・」

 

 

内藤:「そ、れ、は!?」

 

 

有園:「あんたを、その日、殺したいと思ってたからよ!!!!!」

 

 

内藤:「・・・ふふっ。・・・あははははは!!!!!」

 

 

有園:「ちゃんと答えたわよ!!! これが知りたかったのでしょ!!!」

 

 

内藤:「ええ。ずっと知りたかったです。あの時の気持ちを・・・。

    今日、呼び出したのは、萩原君の事、気になってたから、デートしたかったの! 

    なんて笑顔で近付いて来たのに・・・。

    デートの途中も、僕の事、殺したくて、殺したくて、堪らなかったんですね!!!

    ・・・あ~、これで全部すっきりした。・・・殺しますね」

 

 

有園:「止めて!!! ちゃんと答えたじゃない!!! 訊いても、どうせ殺す気だったんでしょ!?」

 

 

内藤:「それは幾ら何でも心外だな~。あの時から今でも、貴方の事、好きなのは変わらないのに・・・。

    ・・・仕方ない。・・・もう一つだけチャンス上げます」

 

 

有園:「本当!?」

 

 

 

内藤:「ええ。答え次第では、開放してあげます。では、問題です。   

    ・・・あの夜、待ち合わせした場所で、蛍は一体、何匹、飛んでいたでしょう~?」

 

 

有園:「そんなのわかる訳・・・」

 

 

内藤:「5」

 

 

有園:「待って!? 10!!!」

 

 

内藤:「4」

 

 

有園:「30!!!」

 

 

内藤:「3、2、1」

 

 

有園:「50!!!!」

 

 

内藤:「0・・・。・・・」(0と同時に有園の腹をナイフで刺す)

 

 

有園:「うっ・・・」

 

 

内藤:「所詮、貴方にとっては、偽りのデートだったんだ・・・。僕は、あの夜の光景、今も忘れません。

    沢山の蛍が綺麗で、まるで僕達を祝福してるようでした」(刺す)

 

 

有園:「うっ・・・」

 

 

内藤:「あっ、正解は~、100匹以上ですよ~。有園先輩!!!」(刺す)

 

 

有園:「うっ・・・。止めて・・・」

 

 

内藤:「嫌です」(刺す)

 

 

有園:「うっ、私は・・・、何も・・・、悪くなんか・・・」

 

 

内藤:「僕の心、弄びました」(刺す)

 

 

有園:「それは・・・。・・・あんたが勝手に・・・」

 

 

内藤:「勝手にじゃない!!!!」(強く刺す)

 

 

有園:「あああああああああ・・・!」

 

 

内藤:「痛いですよね!!! ・・・その痛みは、僕の心の痛みと、あの時の体の痛みです!!!

    存分に、堪能してください~。ほらっ。ほらっ。ほらっ!」(連続で刺す)

 

 

有園:「うっ。うっ。うっ。・・・これ以上は・・・」

 

 

内藤:「突き飛ばされて、車に跳ねられた時の痛みは、こんな物じゃないですよ!

    それだけじゃない・・・! 突き飛ばし、僕が車に轢かれた後、貴方は、そのまま逃げ去りましたよね!!!

    あの時、味わった絶望感は、こんなもんじゃ・・・なかった!!!」(刺す)

 

 

有園:「うっ、・・・ごめん・・・なさい・・・。・・・もう許して・・・」

 

 

内藤:「まだ、これからですよ。死ぬなんて、許しませんよ!!! ほらっ。ほらっ。ほらっ。」(更に刺す)

 

 

有園:「うっ、うっ、うっ・・・。・・・もう、無理・・・。・・・殺して・・・」

 

 

内藤:「あれ~? 生きたかったんじゃないんですか~?」

 

 

有園:「・・・お願い」

 

 

内藤:「折角、死なないように、楽しんでたのに、根性ないですね~。わかりました。

    終わりにしてあげます」

 

 

 

有園:「ありがとう・・・」

 

 

内藤:「いえいえ」(刺す)

 

 

有園:「ごふっ、・・・これで、楽に・・・」

 

 

内藤:「あっ、深く刺しましたけど~、まだ死ぬまでには、時間かかると思いますよ~。

    終わりにするってのは、僕が刺すのをです。

    誰も、一気に殺すなんて、一言も言ってませんよ~」

 

 

 

有園:「嘘・・・。・・・ねぇ。それじゃ、話が違うじゃない・・・! 早く殺して・・・!

    私を愛したのでしょ! だったら、殺して!!!」

 

 

 

内藤:「嫌ですよ~。勝手に、一人で、苦しみながら、これまでの事、後悔しながら、死んでってくださ~い。

    有園先輩には感謝してますよ~。僕に、憎愛って感情、教えてくれて!!!

    じゃあ、さようなら・・・。有園先輩~。あはははははは!!!!!」

 

 

 

(有園を一人置いて、部屋を出ていく内藤)

 

 

 

有園:「あっ、待って・・・、待って!!!

    ・・・こんなの嫌。嫌・・・。嫌よ。お願い・・・! 戻ってきて!!! 

    嫌あああああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ニュースキャスター:「続いてのニュースです。先週から、行方不明だった警察官、有園 美沙さんが、遺体で発見されました。

           有園さんは、全身を複数刺されており、何らかの事件に巻き込まれたのではないかと、

           捜査が続いております。なお、同僚の警察官、内藤 直樹さんも行方不明となっており、

           行方を、警察は捜査してるそうです」

 

 

 

 

終わり