そして、少女は銃を置いた                        

                                

 

作者:ヒラマ コウ

 

 

上演時間:【30分】

 

比率:【2:2】

 

 

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登場人物

 

ヨウコ・・・記憶喪失の少女。瀕死の怪我をしてる所をタクヤに助けられ暗殺者として育てられる

 

タクヤ・・・ヨウコとアイラを暗殺者に育て社会的に不必要と判断した人物を抹殺する仕事をしている

 

エイジ・・・ヨウコの幼馴染。死亡したはずのヨウコを街中で見つけた日から、単独でヨウコを探していた。

 

アイラ・・・ヨウコの先輩的立場。効率重視で冷酷、残忍、妖艶と、その時によって使いこなす。

 

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ヨウコ:

 

タクヤ:

 

エイジ:

 

アイラ:

 

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001 ヨウコ:1・・2・・・3・・・4・・・ (腕立て伏せをしている)

 

002 アイラ:ここにいたの・・・。相変わらず真面目にトレーニング、他に楽しみはないの?

 

003 ヨウコ:依頼を完璧にこなす為にトレーニングは必須。用がないなら邪魔だから出てって。

 

004 アイラ:生意気・・・。貴女がそこまで依頼をこなせる様になったのは誰のおかげだと思ってるの?

 

005 ヨウコ:貴女のおかげです、感謝してます、とでも言って欲しいのか?

 

006 アイラ:そういう・・・口の利き方が生意気なんだよ! (腕立てを続けてるヨウコを思いっきり蹴る)

 

 

007 アイラ:前から気に入らなかったんだよ!タクヤは、お前が来てからはお前にかまけてばかり!

         あたしがどんなに頑張ってもタクヤは冷たい・・・!全部お前がここに来てからなんだ!

 

 

008 ヨウコ:・・・。

 

009 アイラ:痛みで声も出せないのかよ?あははは!もっと苦しめよ!オラッ!オラッ! (さらにヨウコを強く蹴り続ける)

 

010 ヨウコ:あんたの・・・蹴りなんて・・・たいした事ない。

 

011 アイラ:ああそうかよ!じゃあ、これでおしまいだ!あの世でその言葉、後悔しやがれ!

 

012 ヨウコ:(覚悟を決める)

 

013 タクヤ:そこまでだ!アイラ!

 

014 アイラ:タクヤ!なんで止めんだよ!

 

015 タクヤ:それ以上やったら、ヨウコが死んでしまう。依頼も来てるのだ、勝手な真似は許さん!

 

016 アイラ:チッ!運が良かったな、ヨウコ!だけど、せいぜい夜道には気を付けなよ!あはははは!

 

 

 

(アイラ退場)

 

 

 

017 タクヤ:アイラにも困ったもんだ。ヨウコ、1人で立てるか?

 

018 ヨウコ:これくらい・・・何も問題ない。新たな依頼?

 

 

019 タクヤ:ああ、そうだ。今回のターゲットは金剛財閥の社長。私腹を肥やして、金も相当貯めこんでる。

         明日の昼、自社ビルにて新製品の発表会でスピーチを開く。その時を狙い、殺せ。

 

 

020 ヨウコ:殺し方はどうするの?

 

 

021 タクヤ:スナイパーライフルで、隣のビルから狙え。武器保管庫に用意はしてある。

         いいか、失敗は許されない。確実に息の根をとめろ、わかったな。

 

 

023 ヨウコ:任せて。完璧にこなしてみせる。

 

024 タクヤ:以上だ。明日の為に早く寝ろ。

 

025 ヨウコ:1つ訊いて良い?

 

026 タクヤ:なんだ?

 

027 ヨウコ:タクヤは、なんで私をあの時、助けた?

 

028 タクヤ:・・・同じ目をお前はしていて、ほっとけなかった。理由はそれだけだ。

 

029 ヨウコ:私は、タクヤに助けられる前の記憶がない。

 

 

030 タクヤ:過去の記憶はどうでもいい。大事なのは今、俺の側にお前がいるという事だ。

         俺の為にこれからも働いてくれるな、ヨウコ。

 

031 ヨウコ:うん。

 

032 タクヤ:俺はお前を手離さない。何があってもな。

 

033 ヨウコ:タクヤ・・・。

 

034 タクヤ:話は以上だ。

 

035 ヨウコ:おやすみ

 

036 タクヤ:おやすみ、そして幸運を、罪人には裁きを。

 

 

 

 

 

 

 

(翌日)

 

 

 

037 ヨウコ:配置に付いた。いつでも可能。(インカムごしに)

 

038 タクヤ:了解、アイラは配置に付いたか?

 

039 アイラ:配置に付いたけど、周りが少し騒がしいの。ねぇ、2、3人、殺っちゃって良い?

    

040 タクヤ:駄目だ。お前の仕事はヨウコのサポートだ、余計な事は考えるな。

 

041 アイラ:チッ・・・。

 

042 タクヤ:アイラ、わかったなら返事しろ。

 

043 アイラ:了解・・・。

 

 

 

 

 

 

044 タクヤ:ヨウコそろそろ時間だ。

 

045 ヨウコ:任せて。

 

 

 

 

 

 

046 タクヤ:今だ。撃て。

 

 

(銃声)

 

 

047 ヨウコ:ターゲット沈黙確認。任務完了。

 

048 タクヤ:よくやった、予定通り、そこを離れて2人共戻ってこい。通信は以上だ。

 

049 ヨウコ:了解。

 

 

050 アイラ:了解・・・。この任務だって、あたしならもっと上手く出来るのに、なんで、ヨウコばかり・・・。

         憎い、憎い、憎い・・・。

 

 

 

 

 

 

051 ヨウコ:人混みに紛れてさっさと立ち去り戻る、他は考えない。(小さく呟いてる)

 

052 エイジ:あの!すみません!

 

053 ヨウコ:・・・。

 

054 エイジ:お願い!待ってください!

 

055 ヨウコ:何?

 

056 エイジ:・・・。

 

057 ヨウコ:用が無いなら、邪魔だから消えろ。

 

058 エイジ:もしかして、ヨウコなのか・・・?俺だよ、エイジだ!

 

059 ヨウコ:お前なんて知らない。

 

060 エイジ:間違いない!ヨウコだよな!その目の下のホクロ、ヨウコなんだろう?

 

061 ヨウコ:何を言ってるかわからない。

 

 

 

062 エイジ:俺の事覚えて無いのか・・・?あれから5年経ってるから仕方ないよな・・・。

         お前のお母さんに、事故で死んだって訊かされてからも、信じられなかった・・・。

         1か月前にこの街で、お前に似た人を見かけてから、もしかしてと思い、探してたんだ。

 

 

 

063 ヨウコ:人違い、忙しいから消えろ。

 

064 エイジ:人違いなわけないだろ!こんな事してられない、今すぐお前のお母さんに連絡を・・・。

 

065 ヨウコ:いい加減にしろ!(エイジのお腹を殴る)

 

066 エイジ:ヨウコ・・・。

 

 

067 ヨウコ:これ以上、痛い目にあいたくないなら、追いかけて来るな。

         次に会ったら、その時は、殺す。

 

 

068 エイジ:待って・・くれ!ヨウコ!!!!

 

 

 

 

 

 

069 アイラ:ふーん、あの2人、何かありそう・・・。上手く行けば使えるかもしれないわね。

         ヨウコ、待ってなさい、絶対に後悔させてやるんだから!

 

 

 

 

 

 

 

070 ヨウコ:ただいま。

 

071 タクヤ:遅かったな、何か問題があったか?

 

072 ヨウコ:・・・。

 

073 タクヤ:話してみろ、どう対処するかは聞いてからだ。

 

074 ヨウコ:私の事を、知ってるかもしれない男に会った。

 

075 タクヤ:続けて。

 

076 ヨウコ:目の下のホクロの事、5年前にいなくなった事、色々話してきた・・・。

 

077 タクヤ:・・・。

 

078 ヨウコ:私は一体誰なの・・・?

 

079 タクヤ:その男とは二度と会うな。過去の事など思い出さなくて良い。

 

080 ヨウコ:うん・・・。

 

 

081 タクヤ:この件については俺がなんとかする、お前は心配するな。

         これまで通り、俺の依頼を遂行するんだ。良いな。

 

 

082 ヨウコ:わかった・・・。

 

083 タクヤ:良い子だ・・・。もう遅い、部屋に戻れ。

 

084 ヨウコ:うん。

 

 

 

(ヨウコ退場)

 

 

 

085 タクヤ:ヨウコの過去を知る男か・・・。このままでは厄介な事になるな。

 

086 アイラ:あーら、困り事かしら?

 

087 タクヤ:アイラ、何か用か?

 

 

088 アイラ:相変わらず冷たいのね、でもそんなタクヤを熱くする情報、持ってるのだけど

         聞きたくない?

 

 

089 タクヤ:見返りはなんだ?

 

 

090 アイラ:そうねー、貴方の体かな。この火照った体をどうにかしてくれるかしら?

         昔、何度もそうしてきたように、激しく抱いて。

 

 

091 タクヤ:・・・。

 

092 アイラ:嫌なら、情報は闇に葬るわ。

 

093 タクヤ:良いだろう、抱いてやる。

 

094 アイラ:ねぇ、こっちに来て。

 

095 タクヤ:さっさと情報を話せ。

 

096 アイラ:せっかちねー、まずは楽しみましょう。久しぶりなんだからー。

 

097 タクヤ:・・・。

 

 

 

098 アイラ:仕方ないわねー、ヨウコの過去を知ってる男だけど、かなりヨウコに会いたがってたわー。

         あの様子だと、上手く近付いて誘導すれば簡単に付いてくるわよー。

         ああん、そこ、もっとよー。

 

 

 

099 タクヤ:上手く連れてこれるのか?

 

 

 

100 アイラ:勿論よー、連れてきた後は、どうするのー?尋問してー、痛ぶっちゃうー?

         それともー、この私(あたし)の体の虜にして、腹上死させちゃうとかー?

         骨を1本ずつ、折ってくのも良いかもー。

 

 

 

101 タクヤ:お前に任せる、ヨウコが過去の記憶を取り戻す前に、その男を殺せ。

 

102 アイラ:了解、殺し方は私に任せてくれるなんて嬉しいわー。

 

103 タクヤ:失敗は許されないぞ、確実に殺せ。

 

104 アイラ:殺気に満ちたタクヤ、たまんないわー。もっと激しく抱きしめてー。

 

 

 

 

 

 

105 ヨウコ:あの男は一体誰・・・。何であの男の事を考えると胸が苦しくなる・・・。

         わからない、わからない、わからない・・・。

 

 

 

 

 

 

106 アイラ:おはようー、タクヤ。

 

107 タクヤ:昨夜の事はわかってるな。

 

 

 

108 アイラ:ヨウコには絶対に秘密にしとくから安心してよー。

         女は、ミステリアスな方が魅力的でしょー?

            タクヤと秘密が共有出来て嬉しいわ。

            私達、これで運命共同体ねー。

 

 

 

109 タクヤ:・・・、任せたぞ。

 

 

110 アイラ:じゃあ、行って来るわねー。

 

 

 

 

 

 

 

 

(駅前でヨウコを探しているエイジ)

 

 

 

111 エイジ:ヨウコ、一体どこに行ったんだ・・・。

 

112 アイラ:すみませーん。ちょっとお時間良いですか?

 

113 エイジ:はい・・・、何か用ですか?

 

114 アイラ:ヨ・ウ・コ。

 

115 エイジ:え!?

 

 

116 アイラ:その反応だと間違いないわね。探してるんでしょ、ヨウコの事?

      お姉さんが力、貸してあげようか?

 

 

117 エイジ:どうして力を?

 

118 アイラ:そんなに怖がんないでー、あたしはただ、貴方の力になりたいだけよ。

 

119 エイジ:ヨウコの居場所、知ってるのですか?

 

120 アイラ:知ってるわよ、連れてってあげるから、大人しく付いて来なさい。

 

121 エイジ:わかりました・・・。

 

122 アイラ:正直な男の子って可愛いー、ねぇ、ヨウコとはどんな関係?

 

123 エイジ:幼馴染です。

 

124 アイラ:幼馴染かー、ひょっとして、ヨウコの事好きとかー?

 

125 エイジ:どうしてですか!?

 

126 アイラ:赤くなっちゃって、可愛いー。好きなのね?

 

127 エイジ:はい・・・。

 

128 アイラ:青春ねー、羨ましい。ねぇ、喉乾かない?

 

129 エイジ:少し・・・。

 

130 アイラ:待ってて、何か買ってくる。

 

131 エイジ:あっ、はい・・・。

 

 

 

 

 

 

132 アイラ:お待たせー、私はお酒、エイジ君は未成年だからこっちのジュースねー、どうぞ。

 

133 エイジ:ありがとうございます、いただきます・・・。

 

134 アイラ:どう?美味しい?

 

135 エイジ:はい、おいし・・・い・・・。あれ・・・?なんだか・・・眠く・・・。

 

136 アイラ:馬鹿な子、こんな簡単な手にかかるなんて。ゆっくり眠りなさいー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

137 タクヤ:上手くいったか?

 

138 アイラ:ええ、簡単すぎてビックリしちゃったくらい。

 

139 タクヤ:ヨウコは?

 

140 アイラ:部屋でトレーニングじゃない?

 

141 タクヤ:そうか、絶対に気づかれるなよ。

 

142 アイラ:任せて頂戴。

 

143 タクヤ:俺は少し外に出る。何か起きたら必ず知らせろ、良いな。

 

144 アイラ:勿論よー、行ってらっしゃーい。

 

 

 

(タクヤ退場)

 

 

 

145 アイラ:じゃあ、作戦開始ねー。ヨウコ、待ってなさい!

 

 

 

 

 

 

146 アイラ:準備完了ー、さてと・・・、いつまで寝てんだよ!起きやがれ!

 

147 エイジ:ここは・・・どこですか?

 

148 アイラ:ああん?ヨウコのいる所だよ。

 

149 エイジ:なんで俺、鎖に繋がってるの・・・?

 

150 アイラ:やっと気付いたか、鈍チン野郎。ここはなー、拷問するにはちょうど良いんだ!

 

151 エイジ:拷問・・・?

 

 

152 アイラ:怖いか?怖いよな~、おしっこをちびりたかったら、遠慮せず出して良いぞ!

         それでも、止めないがな!あはははは!

 

 

153 エイジ:それが、お姉さんの本性ってわけですか・・・・。

         ヨウコは、何処にいるんです!?

 

 

 

154 アイラ:あぁ、そうだ。ヨウコ、部屋でトレーニングしてるんじゃないかー。

         どいつもこいつも、ヨウコ、ヨウコ、ヨウコ、本当うぜえんだよ!!!

         これから、ヨウコの事、嫌いになるくらい、拷問してやるよ!

 

 

 

155 エイジ:やれるものなら・・・。それでも俺は、ヨウコの事嫌いになりません!

 

156 アイラ:良い覚悟だ、じゃあ、まずはこうだな!(エイジの指を1本折る)

 

157 エイジ:(悲鳴)

 

158 アイラ:良い声で鳴くじゃないか!ほら、次は人差し指だ!

 

159 エイジ:(悲鳴)

 

160 アイラ:どうだ~?痛くて、意識が飛びそうだろ?でもまだまだこれからだ!

 

161 エイジ:ヨウコだけは・・・手を出さないで・・・。

 

 

 

162 アイラ:ああん?まだヨウコの事、心配出来る余裕があるのか、じゃあ、お次はこれだな~。

         どうだ、立派な五寸釘だろ!(釘と金づちを持つ)

            これを手に突き刺したら、どんな甘美な声が聴けるか楽しみ~。オラッ!良い声で鳴いてみろ!

 

 

 

163 エイジ:(悲鳴)

 

 

164 アイラ:まずは1本だ~、指折られる時とはまた違う痛みはどうだ~?手が痛くて痛くて仕方ないだろ?

      いい加減、ヨウコの事なんかどうでも良くならないか~?

 

 

165 エイジ:ヨウコ・・・。

 

166 アイラ:本当・・・うぜえええ!次は右手だぁぁぁ!オラッ!(2本目打ち込む)

 

167 エイジ:(悲鳴)

 

 

 

 

 

 

168 ヨウコ:悲鳴・・・?アイラが誰か拷問してるのか?なんだ、この胸騒ぎ・・・。

         駄目だ、気になる・・・。

 

 

 

 

 

 

169 アイラ:オラッ!どうだ~、これでもまだヨウコの事嫌いにならないのか~?

         早く嫌いにならないと、死んじまうぜ!

 

 

170 ヨウコ:本当、悪趣味だな。悲鳴がこっちまで聴こえて来た。

 

171 アイラ:あ~ら、ヨウコ、待ってたのよ~。ね?エイジ君?

 

172 ヨウコ:エイジ・・・、あんた、何で此処にいる?

 

173 エイジ:ヨウコ・・・、逃げろ・・・。

 

174 ヨウコ:逃げろ?どういう意味・・・?

 

 

 

175 アイラ:エイジ君はね、あんたの事、心配で心配でたまらなかったんだよ!

         本当、誰からも愛されて、むかつく、むかつく、むかつく!!

         ヨウコ、そこで見てなさい!エイジ君の断末魔をね!!

 

 

 

176 ヨウコ:私には関係ない。

 

 

177 アイラ:関係ないだ!?本当、そのクールぶってる顔をぐちゃぐちゃに

         歪ませてやりたいよ!二度と逆らえないようにな!

 

 

178 ヨウコ:やれるものなら、やってみれば。

 

179 アイラ:本当、生意気~。お望み通りまずはお前から殺してやるよ!!

 

 

 

(アドリブで1分程、ヨウコとアイラで格闘入れても良いです)

 

 

 

180 アイラ:どうした?腕が訛ったか?そんなパンチ、屁でもないぞ?

 

181 ヨウコ:そっちこそ、パンチが弱い。

 

182 アイラ:じゃあ、これならどうだよ!(強めの蹴り)

 

183 ヨウコ:(嗚咽)

 

 

184 アイラ:少しは効いてるようだな!どうだ?あたしの蹴りは格別だろ?

         このまま、内臓破裂で終わらせてやるよ!

 

 

185 エイジ:ヨウコ・・・、逃げろおおおおおおおお・・・!

 

 

 

(銃声)

 

 

 

186 タクヤ:そこまでだ!アイラ、これはどう言う事だ?

 

 

187 アイラ:あーら、タクヤ、帰りが早いじゃない。

         どういう事って、ただ、遊んでただけよー。

 

 

188 タクヤ:遊んでただけ?

 

189 アイラ:ええ、そうよー。

 

190 タクヤ:ヨウコ、大丈夫か?

 

191 ヨウコ:・・・。

 

192 タクヤ:あばら骨が2、3本いってるかもしれない。部屋で待ってろ。

 

 

193 アイラ:本当、ヨウコばかり・・・。タクヤ~!言われた通り、男の始末してた所よ~!

         あたしへの褒美は無いの?

 

 

194 タクヤ:・・・。

 

195 ヨウコ:どういう事・・・?

 

 

196 アイラ:ヨウコ・・・本当、何も知らないお馬鹿さんだよな!あたしは、タクヤに頼まれて、

      この男を始末しようとしただけだよ!ねぇ、タクヤ!

 

 

197 タクヤ:・・・。

 

 

 

198 アイラ:それだけじゃない!お前の記憶が戻らないように、確実に殺せとも言ってた!ヨウコ、

      あんたに記憶が戻ってもらったら、まずい事情がタクヤにはあるんだよ!

      所詮、お前達の関係なんてこんなものさ!!!

 

 

 

199 ヨウコ:本当なの?タクヤ・・・。

 

200 タクヤ:あぁ、その通りだ。俺はお前に記憶が戻るのを恐れていた。

 

201 ヨウコ:どうして?

 

202 タクヤ:5年前、事故でお前の記憶を無くさせたのは、この俺だ。

 

203 ヨウコ:そんな・・・。

 

 

 

 

204 タクヤ:俺は当時、この仕事を、1人で遂行していた。ある日、上から、次の仕事は女が良いと言われ

         アイラが指名されるだろうと思ってた。だけど、違った。少女が良いと言われたんだ。

         少女なんてあてがなく、俺は困って、公園にいた。

         その時に、お前と出会ったんだ。

         困り果ててる俺に、無邪気に笑いかけたお前を見て、俺は思った、これしか無いと。

         後は、簡単だった。車のスピードを上げて、お前を轢いた。

 

 

 

205 ヨウコ:その時の衝撃で、わたしは記憶を無くした・・・。

 

 

 

206 タクヤ:上手くいくなんて、正直思ってなかった。後は、電話して、お前を車に乗せた後、

         組織の医者に、体の傷を治してもらったんだ。

         たまたま、お前はあの公園にいた。運が悪い少女、それだけだ。

 

 

 

207 アイラ:お前が来てからは、タクヤはずっと、お前を気にかけていた。そりゃ、初めは、気の毒なガキだなと、同情もしたし、

         あたしも相手はしてやった。だが、成長していくにつれ、タクヤがお前に愛情をむけてるのが、わかった。

         それは日に日に増していき、本当、見てて、むかついたよ!

         あたしがいた場所を、お前が、まんまと掻っ攫ったんだよ!!

 

 

 

208 ヨウコ:・・・。

 

 

209 アイラ:だけど、まさかそんな理由だったとはな!本当、見事な程に哀れだな!ヨウコ~!!

         さてと・・・、タクヤ~、全て知られたんだしー、この2人、殺っちゃおうよー。

         貴方には、あたしが、ずっと側にいてあげる。

 

 

 

210 タクヤ:そうだな・・・。

 

 

211 アイラ:タクヤ~、大好き!!、じゃあ、最後だし、少しだけ時間あげるー。

         せいぜい、その間に最後の別れを楽しむんだなー、あははははは!!

 

 

 

(アイラ、タクヤ退場)

 

 

 

212 エイジ:ヨウコ、ごめん・・・。

 

213 ヨウコ:なんでお前が謝る。お前は、巻き込まれただけだ、私の方こそ、すまない・・・。

 

214 エイジ:お前に、何が起きたのか、知られただけでも、良かったよ・・・。

 

215 ヨウコ:どうして・・・お前は、私にこだわる?

 

 

216 エイジ:俺は・・・、ずっと、ヨウコの事が好きだった。幼馴染ってのもあるけど

         お前の笑顔を、一生守りたいと思った。・・・片思いで、告白なんて、出来なかったんだけどな。

 

 

217 ヨウコ:そうか・・・。だけど、私は・・・お前の事、思い出せない。

 

218 エイジ:それで良い。お前は、何も悪くない。

 

219 ヨウコ:すまない・・・。

 

220 エイジ:謝ってばかりは嫌だな。お願いだ、笑ってくれ。

 

221 ヨウコ:こんな時に笑えるものか。それに・・・、長い間、ちゃんと笑ってないから、笑い方が、わからない。

 

222 エイジ:お前を、ここまで変えたあいつが、本当、憎い・・・・。ヨウコ、お前だけでも今のうちに逃げろ。

 

223 ヨウコ:お前は、どうするんだ?

 

 

224 エイジ:俺は、どの道、無理だ・・・。鎖の鍵も見つからないし、それに、お前の足手纏いになる・・・。

         良いから、奴らが戻って来る前に逃げるんだ。

 

 

225 ヨウコ:・・・。

 

226 エイジ:何をしている?急ぐんだ。

 

227 ヨウコ:私は、お前を置いて逃げない。

 

228 エイジ:何を言い出すんだ!

 

229 ヨウコ:お前を、1人にしたくない。

 

230 エイジ:ヨウコ・・・。

 

231 ヨウコ:死ぬ時は一緒だ。これが・・・私の覚悟だ。(無理に笑顔を作る)

 

232 エイジ:馬鹿野郎・・・、こんな時に、笑顔見せるな・・・。

 

 

233 アイラ:お2人共、別れは済んだかしらー?

 

234 エイジ:あぁ・・・。

 

235 ヨウコ:・・・。

 

 

236 アイラ:そう!じゃあ、そろそろ、この世との終わりにしてあげるー!!

         タクヤ!良いわよねー?(銃を2人に向ける)

 

 

237 タクヤ:あぁ、終わりにしろ。

 

238 アイラ:じゃあ、お2人共、あの世で仲良くね!!ばいばーい!!!

 

 

 

(2発の銃声)

 

 

 

 

 

 

 

239 アイラ:タクヤ・・・、どう・・・して・・・裏切った・・・の・・・。

      あたしは・・・本当に・・・、あんたの事をあ・い・し・ていたの・・・に・・・。

 

 

240 タクヤ:すまない、安らかに、眠ってくれアイラ。

 

241 ヨウコ:・・・どういう事?

 

 

242 タクヤ:話は後だ。此処は、アイラが爆発装置を、起動させた。

         これは、エイジ君を繋げてる鎖の鍵だ、急げ。

 

 

243 ヨウコ:わかった・・・。

 

244 エイジ:ヨウコ・・・、俺達、助かったのか・・・?

 

 

 

245 ヨウコ:あぁ、でも、もう少し待って・・・。。まだ最後の仕事が残ってる。タクヤ・・・!

     (背中を向けて去ろうとしてるタクヤに落ちてた銃を向ける)

 

 

246 タクヤ:どうした?撃たないのか・・・?俺は、無防備だし、抵抗しない、撃つならさっさと撃て。

      余計な感情など捨てろ。

 

 

247 ヨウコ:どうして・・・?私は、タクヤの事、信じてた。初めて、あの病室で会った時から。

 

 

248 タクヤ:俺は・・・、お前を利用しただけだ、自分の命を守るために。

         お前の事は、愛していない。

 

 

249 ヨウコ:・・・。

 

250 タクヤ:何をしている?さっさと撃て!それで、お前は俺から解放されるんだ!

 

251 ヨウコ:タクヤぁぁぁぁ!!!

 

 

 

(銃声)

 

 

 

252 タクヤ:どうして、外した?狙いは、しっかり定めろと、いつも言っただろう。

 

 

253 ヨウコ:私は・・・タクヤを、撃つ事なんて出来ない。

         お願い、早くこの場を立ち去って。

 

 

254 タクヤ:・・・。

 

 

255 ヨウコ:私は、もう・・・誰も殺したり、傷つけたりしない。

         こんな物は、もう必要ない。(銃を床に置く)

 

 

 

256 タクヤ:どうやら、俺はお前の優しさだけは、奪いきれなかったようだな・・・。

         お前達はこれで自由だ。何処にでも行って好きに生きろ。

         もう、二度と会う事も無いだろう。

 

 

 

257 ヨウコ:タクヤ、どんな事をしても、必ず生き延びて。

         それが、私の願いだ。

 

 

258 タクヤ:言われなくてもそうする。じゃあな・・・ヨウコ。

 

 

 

(タクヤ退場)

 

 

 

259 ヨウコ:エイジ、立ち上がれるか?

 

260 エイジ:あぁ、なんとか・・・。ヨウコ、頑張ったな・・・。

 

261 ヨウコ:私は、自分の意志に、従ったまでだ。

 

262 エイジ:そっか、今はそれで良い。

 

263 ヨウコ:不安は無いのか?

 

264 エイジ:不安?

 

265 ヨウコ:また、もし、私が、人を殺したり、誰かを傷つけたりしたら・・・。

 

266 エイジ:その時は、俺が止めてやる・・・。

 

267 ヨウコ:それでも、止まらなかったら?

 

268 エイジ:その時は・・・、俺がお前を殺す。

 

269 ヨウコ:あぁ、頼む・・・。(笑顔)

 

 

 

 

270 ヨウコ(M):元の生活に戻ってからも、この先、何が起こるかわからない。

            だけど、どんな事が起きても、私は二度と、銃は持たない。

            それが、私の生きる決意だ。

 

 

 

 

 

 

 

終わり

 

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作者のあとがき

 

この台本は、レンガさんのタイトルから、台本を書いてみようという企画から生まれたものです。

その呟きを見た瞬間、この物語が浮かびました。素敵な企画を考えてくださったレンガさん、

本当にありがとうございました。