白い虎と気高き王女

 

  

作者 ヒラマ コウ

 

 

登場人物

 

エミリア・ウルマノフ・・・ウルマノフ王国、王女

 

アーデルベルト・ノルドグレーン・・・エミリアの前に現れる、銀髪の男

 

 

比率:【1:1】

 

 

上演時間:【20分】

 

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CAST

 

アーデルベルト・ノルドグレーン

 

エミリア・ウルマノフ

 

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エミリア(M):「・・・今年も、凍寒の季節がやって来た。私は、今でも忘れない・・・。

         お前の、雄姿を。その姿を・・・」

 

 

 

(城への帰り道)

 

 

 

エミリア:「くっ・・・。賊の集まりか・・・。城に戻るこの道で待ち伏せをしてたようだな・・・。

      怯むな! こんな賊など、恐れるに足りん!!! 者共、戦え!!!」

 

 

 

 

エミリア(M):「私は・・・、あの時、お前に誓ったんだ・・・。生きて、お前の分まで、精一杯、生き抜くと!!!」

 

 

 

 

エミリア:「・・・思ってたより、数が多い・・・。いや、違う! 亡者も召喚し呼び出したわけか・・・!

      このままでは、全員、生きて城に戻れない!」

 

 

 

エミリア:「者共! 引け!!! 一時、撤退して体制を整える!!!」

 

 

 

エミリア(M):「これで幾分、時間は稼げるはず。今の内に次の戦略を・・・」

 

 

エミリア:「ぐああああああああ!!!!」

 

 

 

エミリア(M):「チッ・・・。死角から狼の群れだと・・・! 利き腕をやられた・・・。

         ・・・私の命運も此処までか・・・。・・・すまない、ベルンハルド。・・・約束は守れそうには・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「何をぼさっとしている! まだ、生き残りたいなら、避けるんだ!!! 右から来る!!!!」

 

 

 

エミリア:「あぁ!!!」

 

 

 

アーデルベルト:「よし、上手くかわせたようだ! 今の内に、逃げるぞ! 付いて来い!!!」

 

 

 

エミリア(M):「誰なんだ? 兎に角、今は、こいつに従うしかないようだ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

アーデルベルト:「はぁ、はぁ、はぁ・・・。・・・どうやら追っては、来てないようだ」

 

 

 

エミリア:「助けてもらい感謝する・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「礼など良い。それより、傷を見せろ。手当てする」

 

 

 

エミリア:「このくらいの傷、平気だ」

 

 

 

アーデルベルト:「平気なわけあるか。良いから、俺に任せるんだ」

 

 

 

エミリア:「・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「思ってたより、傷が深いな。・・・少し沁みると思うが、我慢しろ」

 

 

 

エミリア:「ぐっ・・・!!! ・・・随分と慣れているな・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「そんな事無い。ただの見様見真似だ」

 

 

 

エミリア:「一体、誰の?」

 

 

 

アーデルベルト:「俺の恩人のだ。・・・そいつは俺が怪我する度、手当なんか必要ないのに、

         丁寧にこうして、治療してくれた。・・・よし、これで良いだろう」

 

 

 

エミリア:「すまない・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「そう思うなら、戦闘中に、諦めたりするな。最後まで戦い抜け! それでこそ、誇り高き剣士だろ!」

 

 

 

エミリア:「それはわかっている。わかっていたが、死角から攻撃され、利き腕もやられ、

      これ以上、戦えないと・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「だから、あのまま狼に喰い殺されようと思ったのか・・・」

 

 

 

エミリア:「その通りだ・・・。私も、どうやら焼きが回っていたようだ。・・・お前のおかげで、思い留まる事が出来た。

      感謝する。・・・良ければ、名前を教えてくれないか?」

 

 

 

アーデルベルト:「俺は、アーデルベルト・ノルドグレーン。・・・そこらに居るような、剣士だ」

 

 

 

エミリア:「そうか。アーデルベルト、改めて礼を言う。

      私は、ウルマノフ王国、王女、エミリア・ウルマノフだ」

 

 

 

アーデルベルト:「エミリア・・・」

 

 

 

エミリア:「どうかしたのか?」

 

 

 

アーデルベルト:「何でもない。此処も時期に見つかる。場所を変えよう」

 

 

 

エミリア:「それなら少し行った先に、私だけが知っている洞窟がある。そこに行こう」

 

 

 

アーデルベルト:「わかった。案内、頼む」

 

 

 

 

 

 

エミリア:「よし、洞窟の周りには、敵の気配もない」

 

 

 

アーデルベルト:「そのようだ。だが、油断はするな」

 

 

 

エミリア:「言われなくても、わかっている。・・・さっ、付いてこい」

 

 

 

アーデルベルト:「・・・」

 

 

 

エミリア:「此処も、何も変わっていないな・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「・・・此処には、よく来るのか?」

 

 

 

エミリア:「いいや・・・、此処に来たのは、久しぶりだ・・・。

      無駄話も良いが、まずは暖を取る準備だ・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「それなら、木を探してくる」

 

 

 

エミリア:「わかった。但し、くれぐれも気を付けろ。良いな?」

 

 

 

アーデルベルト:「何も、そんな遠くには行かない。心配、無用だ。行って来る」

 

 

 

 

 

エミリア(M):「悪い人物ではなさそうだ・・・。しかし、タイミング的に上手く行きすぎている。

         油断させておいて、隙をついて、殺そうと・・・。

         駄目だ・・・、思ってたより、疲れてるようだ・・・。

         馬を失った今、城に戻るには半日・・・。今夜は此処で野宿だな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

エミリア:「・・・すまない・・・、ベルンハルド・・・。

      私は・・・、お前に護られてばかりだった・・・。

      もっと強くなって、お前の分まで・・・。

      ん・・・、いつの間にか寝てたのか・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「目、覚めたみたいだな。戻ってみたら、壁にもたれて寝てたから、焚き火をおこした。

         ・・・随分と、魘されていたが、大丈夫か?」

 

 

 

エミリア:「あぁ、平気だ。・・・昔の夢を見ていただけだ・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「ベルンハルドも、関係あるのか?」

 

 

 

エミリア:「貴様、どうしてその名を!」(剣を抜こうとする)

 

 

 

アーデルベルト:「落ち着け・・・! さっき寝言で、ベルンハルドの名前、言ってたから、そう思っただけだ・・・」

 

 

 

エミリア:「それは、すまなかった・・・。

      若しや、ベルンハルドの死に、関係するのかと思ったから、つい・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「大事な存在だったんだな・・・」

 

 

 

エミリア:「あぁ。・・・命の恩人だ。・・・ベルンハルドとは、此処で会った」

 

 

 

アーデルベルト:「・・・」

 

 

 

エミリア:「あれは・・・、私がまだ10歳の頃だった・・・。

      今回のように、城への帰り道・・・、私を乗せた馬車は、賊に襲われ、

      命からがら、この洞窟まで逃げて来た。

      猛吹雪で、体もすっかり冷えきり・・・、私は、その場で倒れた・・・。

      このまま死ぬのだと、覚悟したその時だった・・・!

      洞窟の奥から、一匹の白い虎が、ゆっくりと、私の元に近付いて来たのだ・・・。

      私は、人生を恨んだよ・・・。・・・このまま、喰い殺されるなんて、酷過ぎると・・・。

      しかし、そうはならなかった。あろう事か、その白い虎は、私の側でしゃがみ込み、

      自分の体毛で私を包み込んだのだ・・・。そのおかげで、私は命を救われた・・・」

 

 

 

 

アーデルベルト:「奇跡のような話だ・・・」

 

 

 

エミリア:「そうだな・・・。でも、現実に起きた事だ。私は、その白い虎と共に、城に戻った」

 

 

 

アーデルベルト:「ふっ・・・」

 

 

 

エミリア:「いきなり、どうした? 私の話は、そんなに可笑しかったか?」

 

 

 

アーデルベルト:「すまない。・・・ただの思い出し笑いだ」

 

 

 

エミリア:「タイミングを考えろ。私の事かと思ったぞ」

 

 

 

アーデルベルト:「続き・・・、聞かせてくれ」

 

 

 

エミリア:「王と王妃に、最初は猛反対されたが、私の命を救った事を伝えたら、

      飼っても良いと、お許しを頂けた。私とベルンハルドは、いつでも一緒だった。

      そう、ベルンハルドが死ぬ時まで・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「・・・」

 

 

 

エミリア:「私が15歳の時だった・・・。国が隣国から攻撃を受け、場内にも敵の兵士が入り込み、

      再び私は、命からがら、逃げる羽目になった・・・。

      王と王妃、第一王女、第二王女の姉達も、城から脱出して、私も、もう少しで逃げられるはずだった。

      しかし、運悪く敵の兵士達に捕まり、剣を振り下ろされ、今度こそ、死を覚悟した。

      その時だった。ベルンハルドが、私の前に飛び出し、私の代わりに、その兵士の剣を受けた。

      怖くて動けない私を庇い、何度も何度も、その身に剣を受け・・・、

      それでも、ベルンハルドは私を守り続けた。・・・やがて、従者が私を見つけ、敵の兵士も倒し、

      私は生き延びることが出来たが、ベルンハルドは、血塗れになり、その場で倒れたのだ・・・。

      私は泣き叫んだ! しかし、従者に此処は、危険だと、体を引っ張られ、その場を立ち去るしかなかった・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「ベルンハルドの最後を看取ってやれなかったんだな・・・」

 

 

 

エミリア:「出来る事なら、ちゃんと埋葬してあげたかった。

      だが、それも出来ず・・・、ベルンハルドは、さぞかし私を恨んだだろう・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「そんな事はない。ベルンハルドはきっと恨んでなんか・・・」

 

 

 

エミリア:「お前に、何がわかる!!! 私の、あの時の気持ちなど、誰にも理解できない・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「・・・」

 

 

 

エミリア:「すまない。・・・言い過ぎた・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「良いんだ・・・。辛い事を思い出させてしまい、すまない・・・」

 

 

 

エミリア:「どうやら、吹雪いて来たようだ。・・・そろそろ、寝るとしよう。

      明日の為にも、体力を回復させねば・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「心配するな。お前は、俺が必ず守る・・・」

 

 

 

エミリア:「利き腕もこんな様だ・・・。頼りにしてる。アーデルベルト」

 

 

 

アーデルベルト:「あぁ、安心して休め。エミリア」

 

 

 

 

 

 

 

(翌日)

 

 

 

エミリア:「・・・もう、朝なのか・・・。どうやら、吹雪は治まったようだな。

      ・・・ん? これは、マント・・・。そっか・・・あいつ、余計な事を・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「目覚めたようだな。・・・吹雪も止んだし、周りに敵の気配もない。さっさと出発するぞ」

 

 

 

エミリア:「アーデルベルト、これは何の真似だ?」

 

 

 

アーデルベルト:「お前は怪我人なんだ。冷やさないように、毛布代わりに掛けたまでだ」

 

 

 

エミリア:「私はそこまで、弱くはない! 余計なお世話だ!」

 

 

 

アーデルベルト:「どうやら、体力も回復したようだな」

 

 

 

エミリア:「お陰様でな。だが・・・、利き腕では、剣は振れそうにない・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「慣れない腕で、振ろうとするな・・・。城まで俺が護衛する」

 

 

 

エミリア:「お前はどうして、そこまでして、私を守ろうとする?」

 

 

 

アーデルベルト:「特に理由はない。目の前に、困ってる人がいた。ただ、それだけだ。

         理由なんて、それ以外に必要か?」

 

 

 

エミリア:「それもそうだな・・・。・・・改めて、護衛、宜しく頼む」

 

 

 

アーデルベルト:「任せておけ。・・・よしっ、出発だ」

 

 

 

 

 

 

 

(城への道中)

 

 

 

 

エミリア:「アーデルベルト・・・、一つ質問だ」

 

 

 

アーデルベルト:「何だ? 言ってみろ」

 

 

 

エミリア:「お前、家族は居るのか?」

 

 

 

アーデルベルト:「俺の家族は、小さい頃、亡くなった」

 

 

 

エミリア:「両親ともか?」

 

 

 

アーデルベルト:「そうだ」

 

 

 

エミリア:「だったら、提案がある」

 

 

 

アーデルベルト:「どんなだ?」

 

 

 

エミリア:「私の側近として・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「エミリア、危ない!!!」

 

 

 

エミリア:「え!?」

 

 

 

アーデルベルト:「・・・危なかった。・・・エミリア、怪我はないか!?」

 

 

 

エミリア:「大丈夫だ・・・。だから、もう離してくれないか?」

 

 

 

アーデルベルト:「あぁ・・・」

 

 

 

エミリア:「アーデルベルト、その傷・・・!?」

 

 

 

アーデルベルト:「どうやら、今の矢がかすったようだ・・・」

 

 

 

エミリア:「待ってろ。今、手当てする」

 

 

 

アーデルベルト:「そんな時間はない・・・。どうやら、敵に見つかったようだ・・・」

 

 

 

エミリア:「でも!!!」

 

 

 

アーデルベルト:「良いから、下がって居ろ! くっ・・・!」

 

 

 

エミリア:「どうした? まさか、さっきの矢に・・・!」

 

 

 

アーデルベルト:「あぁ・・・。今度の敵は、慎重派みたいだったようだ・・・」

 

 

 

エミリア:「なら、私も戦う!」

 

 

 

アーデルベルト:「利き腕も使えないだろ! 足手まといだ!」

 

 

 

エミリア:「うるさい! 私は、もう誰も目の前で、死なせたくないんだ!!!」

 

 

 

アーデルベルト:「エミリア・・・」

 

 

 

エミリア:「くっ・・・。こんな傷、痛くも・・・、ない・・・!

      さぁ、賊共!!! どっからでも、かかって来い!!!」

 

 

 

アーデルベルト:「わかった・・・! お前の背後は、俺が守る!!! だから!!!」

 

 

 

エミリア:「あぁ!!! わかってる! お前の背後は、私が守る!!!」

 

 

 

アーデルベルト:「あぁ、頼む!」

 

 

 

エミリア:「・・・アーデルベルト、死ぬなよ!」

 

 

 

アーデルベルト:「・・・エミリア、お前もな! よしっ、行くぞ!!!」

 

 

 

エミリア:「でぃやあああああああああああ!!!!!」

 

 

 

アーデルベルト:「やるじゃないか! 俺も負けてられないな!!! せぃやあああああああああああ!!!!」

 

 

 

エミリア:「でえええい!!! アーデルベルト・・・!」

 

 

 

アーデルベルト:「ふんっ!!!! ・・・何だ!? 戦闘中は、目の前の敵に集中しろ!」

 

 

 

エミリア:「私は、お前と一緒に戦えて、光栄だ!」

 

 

 

アーデルベルト:「俺もだ!!! でぃやあああああああああああ!!!!」

 

 

 

エミリア:「よしっ、だいぶ敵も減って来た! これなら、上手く切り抜けられ・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「危ない!!!!! エミリア!!!!」

 

 

 

エミリア:「何だと!?」

 

 

 

アーデルベルト:「ぐわあああああああああ!!!!」

 

 

 

エミリア:「アーデルベルト!!!」

 

 

 

アーデルベルト:「だから、戦闘中は油断するなって、言っただろう・・・。でぇえええええええい!!!!」(敵を薙ぎ払う)

 

 

 

エミリア:「すまない・・・!!!」

 

 

 

アーデルベルト:「お前が無事なら、それで良い・・・」

 

 

 

エミリア:「アーデルベルト、しっかりしろ!!! もうすぐ、ウルマノフ王国に辿り着くんだ!!!」

 

 

 

アーデルベルト:「わかっている・・・。エミリア、お願いがある・・・」

 

 

 

エミリア:「何だ! 言ってみろ・・・!」

 

 

 

アーデルベルト:「・・・ウルマノフで、一番、綺麗な景色を見せてくれないか・・・?」

 

 

 

エミリア:「わかった! それまで、死ぬんじゃないぞ!」

 

 

 

アーデルベルト:「あぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

(ウルマノフ王国 場内)

 

 

 

エミリア:「着いたぞ。・・・此処が、ウルマノフ王国だ。

      だが、お前の望む場所は、もう少し先だ。大丈夫か?」

 

 

 

アーデルベルト:「平気だ・・・。その場所に連れて行ってくれ・・・」

 

 

 

エミリア:「わかった・・・」

 

 

 

 

 

 

 

(ウルマノフ王国 見晴台)

 

 

 

アーデルベルト:「くっ・・・」

 

 

 

エミリア:「もう少しだ、アーデルベルト! この丘を登ったら、すぐそこだ!」

 

 

 

アーデルベルト:「どんな景色か、楽しみだ・・・」

 

 

 

 

 

 

エミリア:「・・・さぁ、着いたぞ。此処が、ウルマノフ王国で、一番の景色だ!」

 

 

 

アーデルベルト:「此処が・・・、そうなのか・・・。(激しい咳)」

 

 

 

エミリア:「アーデルベルト! しかっりしろ!!! 待ってろ!!! 今すぐ医者を呼んでくる!!!」

 

 

 

アーデルベルト:「待ってくれ・・・。もう、良いんだ・・・」

 

 

 

エミリア:「ふざけるな!!! 助かるかもしれないのに、簡単に命を諦めるな・・・!!! 

      私はお前を死なせたく・・・ないんだ・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「すまない・・・。また、お前を泣かせる事になったな・・・」

 

 

 

エミリア:「まただと!? 一体、どういう意味だ・・・!?」

 

 

 

アーデルベルト:「・・・もう、時間が来たようだ・・・。この姿も、もう保てない・・・。

         ぐっ・・・」(人間の姿から、白い虎に姿を変える)

 

 

 

 

 

 

エミリア:「その姿・・・! そうか・・・! お前だったんだな・・・! ベルンハルド・・・!

      すまない・・・! 私は、お前に、謝らなければ・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「謝らなくて良い・・・」

 

 

 

エミリア:「私を、恨んでないのか・・・?」

 

 

 

アーデルベルト:「恨むわけないだろ・・・。・・・エミリア、俺に触れるんだ」

 

 

 

エミリア:「・・・あぁ」

 

 

 

 

 

 

 

エミリア:「これは、あの時の記憶・・・」

 

 

 

 

 

(過去)

 

 

エミリア:「ベルンハルド・・・!!!! いや、離して!!! ベルンハルドをこのまま一人にするなんて嫌よ!!!!」

      ベルンハルド・・・!!!!!!

 

 

アーデルベルト(M):「エミリア・・・。もう良いんだ。・・・俺はお前を護れて幸せな人生だった・・・。

            初めて、お前と会った時、私はお前を喰い殺そうとも考えた・・・。

            自分が生きる為なら、仕方ないと・・・。だが、お前を見た瞬間、その考えは、消えたんだ。

            お前は、最後まで、生きようと足掻き続けた・・・。だから俺は、お前の命を救う事を決めたんだ。

            王国に来てからも、俺を熱心に愛してくれて、嬉しかった・・・。

            この先もお前を命尽きるまで、護り通したかったが、それも此処までのようだ・・・。

            エミリア、どうか、強く逞しい、気高き王女になって、この国を立て直してくれ・・・」

 

 

 

 

 

(過去、終了)

 

 

 

 

 

 

 

エミリア:「・・・ベルンハルド、すまなかった・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「謝る必要はない・・・。お前は、俺との約束を・・・、立派に果たしたじゃないか・・・」

 

 

 

エミリア:「当然だ・・・。天国に居るお前に・・・、この素晴らしき、ウルマノフ王国の景色を見せたくて、

      頑張ったんだ・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「よく、頑張ったな・・・。これで、俺の役目も、本当に終わる・・・」

 

 

 

エミリア:「・・・今まで、私を護ってくれて、感謝する・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「随分と強くなったな・・・。俺が護って居た頃とは、まるで違う・・・」

 

 

 

エミリア:「お前を亡くした日から、強くなるために、剣術の腕も磨いたんだ・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「そうか、それなら、もう、俺がいなくても・・・、平気か・・・?」

 

 

 

エミリア:「あぁ・・・。・・・安心して、天国に戻って良いぞ・・・」

 

 

 

アーデルベルト:「わかった・・・。それともう一つ・・・、言い忘れた事がある・・・」

 

 

 

エミリア:「何だ?」

 

 

 

アーデルベルト:「・・・さっきの提案だが・・・、

         生まれ変わって・・・、いつかお前と再会したら、その時は、俺をお前の側近にしてくれ」

 

 

 

エミリア:「あぁ、勿論だ。・・・エミリア・ウルマノフの名に誓って、その時は約束を果たす」

 

 

 

アーデルベルト:「ありがとう。気高き王女、エミリアに、この先も、祝福を・・・。

         またいつの日か、エミリア・・・」

 

 

 

エミリア:「あぁ、またいつの日か・・・。ベルンハルド・・・!」

 

 

 

(満足そうな顔で、光になって、天に昇っていくベルンハルド)

 

 

 

 

エミリア(M):「ありがとう・・・、ベルンハルド。私は、もう大丈夫だ。

         お前と、またいつか再会するその時まで、気高き王女として、この国を守る。・・・約束だ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

終わり