パルトネール

 

 

作者:ヒラマ コウ

 

 

登場人物

 

佐藤洋子(さとう ようこ) 24歳(♀):ホテル・レジェンドのフロント。明るい性格でムードメーカーなのだけど、

                     いまいち責任感が無く、頼りない。

 

佐藤洋子(さとう ようこ) 34歳(♀):ホテル・レジェンドのフロントマネージャー。明るい性格でムードメーカーなのだけど、

                     いまいち責任感が無く、頼りない。

 

 

阿部武(あべ たけし) 25歳(♂):ホテル・レジェンドのフロント。温厚な性格なのだけど、仕事の時は厳しい面もあり。

 

阿部武(あべ たけし) 35歳(♂):ホテル・レジェンドのサブフロントマネージャー。温厚な性格なのだけど、

                   仕事の時は厳しい面もあり。頼りがいがあり、頭が切れる。

 

 

 

比率:【1:1】

 

上演時間:【30分】

 

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CAST

 

佐藤洋子:

 

阿部武:

 

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(ホテル・レジェンドの前に立って、一人、ホテルを見上げてる武)

 

 

 

 

武:「此処が、今日から働く職場か。最初の挨拶は肝心だから、しっかりしないとな・・・」

 

 

 

 

洋子:「あの~、もしかして貴方も、今日から此処で働く方?」

 

 

 

 

武:「そうだけど、貴方も?」

 

 

 

 

洋子:「良かった~! 思ってたよりも大きなホテルで、迷ってた所だったのよ~。あっ、私は佐藤洋子。宜しくね」

 

 

 

武:「俺は阿部武だ。迷ってたのなら、まずはフロントに行って、訊けば良いだろう・・・」

 

 

 

 

洋子:「え~。それは嫌よ・・・。今日から働く職場で、初日から迷ってたなんて・・・、口が裂けても言えるわけ無いわよ・・・」

 

 

 

 

武:「遅刻するよりは良いだろう・・・。それにだ。事前に従業員入口の場所は、教えてもらってるはず・・・」

 

 

 

 

洋子:「それが・・・忘れちゃって。ホテルに行けば、何とかなるかなって・・・」

 

 

 

 

武:「おいおい・・・。仮にもこれから一緒に働くんだから、もっとしっかりしてくれ・・・。まぁ良い。従業員入口は、こっちだ」

 

 

 

 

洋子:「やった。助かる~」

 

 

 

 

 

 

 

 

武:「さて、従業員入口は此処で、その先、暫く廊下を行って左側にある部屋が更衣室だ。後は、自分でどうにかしろよ。

   流石に、中までは案内なんて出来ないからな・・・」

 

 

 

 

洋子:「流石にそこまでは頼まないわよ・・・。これから宜しくね。頼りにしてるわ」

 

 

 

 

武:「頼りにって・・・。お前、少しは反省しろ・・・」

 

 

 

 

洋子:「考えとく~」

 

 

 

 

武:「全く・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

武:「さてと、気持ちを切り替えて、着替えるか!」

 

 

 

 

 

 

 

(更衣室の鏡の前で身なりをチェックする武)

 

 

 

 

武:「よし。髪もオッケー。ネクタイも曲がってない。準備完了だ! さてと、事務所に向かうか!」

 

 

 

 

(ホテル・レジェンド、事務所入り口)

 

 

 

武:「いよいよだ・・・。それにしても緊張するな・・・。駄目だ駄目だ、こんな弱気では!

   何と言っても、最初の挨拶は肝心だ。しっかり、元気に挨拶しなきゃな。・・・失礼します!!!」

 

 

 

 

洋子:「あっ、随分と遅かったわね」

 

 

 

 

武:「何だ・・・。お前か・・・。身だしなみに時間かけてたんだ。それよりも、その制服・・・!?」

 

 

 

 

洋子:「どうやら私達、同じフロント配属みたいね。改めて、これから宜しくね!」

 

 

 

 

武:「あぁ・・・。宜しく・・・」

 

 

 

 

洋子:「阿部さん、わかりやすいわね・・・」

 

 

 

 

武:「何がだ?」

 

 

 

 

洋子:「私と一緒なの嫌なんでしょ?」

 

 

 

 

武:「そんなわけ・・・、いや・・・、あるな」

 

 

 

 

洋子:「そこは、ちょっとは、否定しなさいよ!」

 

 

 

 

武:「俺は素直なだけだ。それにだ。これから働く職場で道に迷ってた姿を見てるんだ。

   一緒なんて聞いたら、微妙な気持ちになるだろう・・・」

 

 

 

 

洋子:「失礼ね! あれはたまたまよ・・・。私も緊張してたのよ!」

 

 

 

 

武:「やれやれ・・・。これから先、思いやられるな・・・」

 

 

 

 

洋子:「それはこっちの台詞! いちいち細かいし、すぐ説教するし、一緒にやっていけるか心配よ・・・」

 

 

 

 

武:「何だと! そこまで言うなら、どっちがお客様に、ありがとうと、言われるか勝負だ!」

 

 

 

 

洋子:「馬鹿らしい。そんなの勝負にならないわよ。どうせ、私が勝つに決まってるわ」

 

 

 

 

武:「ほう~。負けた時が、楽しみだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

(数時間後、フロントマネージャーに呼ばれ、怒られる武と洋子)

 

 

 

 

洋子:「・・・あ~、腹が立つ! マネージャーも、先輩も、あんなに怒らなくても良いのに!」

 

 

 

 

武:「仕方ないだろ・・・。あれは、俺達が悪い・・・」

 

 

 

 

洋子:「何でよ? お客様、凄く喜んでたじゃない!」

 

 

 

 

武:「俺にはそうは見えなかった・・・。お客様は・・・、引きつった笑顔をしてたよ・・・」

 

 

 

 

洋子:「どうして? 私達、あんなに必死に、頑張ったのよ・・・」

 

 

 

 

武:「・・・まぁ、こんな所で、立ち話もなんだ。お互い、今日はこれで、仕事上がりなんだし、飲みに行かないか?」

 

 

 

 

洋子:「え? 奢ってくれるの?」

 

 

 

 

武:「世の中そんなに甘くない。勿論、割り勘だ!」

 

 

 

 

洋子:「ケチ!」

 

 

 

 

武:「文句ばかり言ってないで、さっさと着替えて、支度しろ」

 

 

 

 

 

 

(着替え終わり、ホテルから出て、居酒屋に到着した武と洋子)

 

 

 

洋子:「え? 此処なの・・・?」

 

 

 

 

武:「居酒屋だけど、何か文句あるのか?」

 

 

 

 

洋子:「仮にも私、女よ・・・。飲みに誘ってくれるのは、嬉しいけど、

    もっと、お洒落なお店、期待しちゃうものなの・・・」

 

 

 

 

武:「馬鹿だろ・・・。お前・・・」

 

 

 

 

洋子:「いきなり何よ!」

 

 

 

 

武:「お洒落なお店も良いけど・・・、まずは、ホテル周辺のお店をチェックする為もあるんだ」

 

 

 

 

洋子:「なるほど・・・。それなら納得した・・・」

 

 

 

 

武:「わかったなら、入った、入った」

 

 

 

 

 

 

 

 

洋子:「へ~、思ってたより、雰囲気が良いわね~」

 

 

 

 

武:「メニューの値段も、まずまずの手頃だな。

   さて、此処で問題だ。どうして、ホテル周辺のお店をチェックしてるでしょう?」

 

 

 

 

洋子:「何よ、その問題。そんなの簡単。ホテルに泊まるお客様に聞かれた時の為でしょ?」

 

 

 

 

武:「正解。・・・少し、お前の事、見直した。ちゃんとお客様の事、考えてるみたいだな」

 

 

 

洋子:「当たり前でしょ! 私は、そこまで馬鹿じゃないわよ・・・」

 

 

 

 

武:「それじゃあ、何で俺達が、怒られたのかも、わかるよな?」

 

 

 

 

洋子:「・・・あの時の私達は、勝負にムキになり過ぎて、お客様の心と、ちゃんと向き合えてなかった・・・。

    何を望んでいられるのか・・・、もっと考えて、お客様の為に、行動するべきだった・・・」

 

 

 

 

武:「俺も、あの時、効率ばかり考えて・・・、アテンドの時も、館内の説明、疎(おろそ)かにしていた・・・。

   そのせいで、お客様は迷い・・・、クレームになり・・・、見かねた先輩は、代わりに応対してくれた。

   ・・・マネージャーも、先輩も、何も俺達が憎くて怒ってるんじゃない・・・。

   ちゃんと出来る事を、やらずに、お客様に迷惑をかけたから、あんなに怒ったんだ」

 

 

 

 

 

洋子:「それくらい、わかってるわよ・・・。心の中で、何処か私はちゃんと出来る! って自惚れてた・・・。

    その結果、私達は、怒らせてしまった・・・」

 

 

 

 

武:「そうだな・・・。これからは、心からのおもてなしを、考えないといけないな・・・」

 

 

 

 

 

洋子:「心からのおもてなし・・・。お客様の気持ち、第一に考えて、これからは、頑張る」

 

 

 

 

 

武:「さてと、反省会も終わったし、乾杯しよう。何はともあれ、一日目、お疲れ様でした! 乾杯!」

 

 

 

 

洋子:「乾杯!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洋子:「ふ~。飲みすぎちゃった・・・。でも良い気分・・・」

 

 

 

 

武:「おいおい、一人で帰れるか?」

 

 

 

 

洋子:「大丈夫よ。少し酔い冷ましてから、帰るから先に帰って良いわよ~」

 

 

 

 

武:「・・・本当に大丈夫か?」

 

 

 

 

 

洋子:「心配しすぎよ。・・・今日はありがとう。あのね・・・」

 

 

 

 

武:「あの・・・」(洋子のあのねと同時に)

 

 

 

 

洋子:「うふふ・・・。何?」

 

 

 

 

 

武:「また腹が経った時とか、愚痴言いたい時は、俺で良ければ付き合うから、飲みに行こう」

 

 

 

 

洋子:「阿部さん・・・。・・・ええ! 喜んで!」

 

 

 

 

 

武:「じゃあ、また明日」

 

 

 

 

洋子:「また明日、職場でね」

 

 

 

 

 

(翌日、ホテル・レジェンド、フロント裏、事務所)

 

 

 

 

武:「おはようございます」

 

 

 

洋子:「おはよう」

 

 

 

武:「佐藤さん。昨日は、あれからちゃんと帰れたのか?」

 

 

 

洋子:「御心配なく。ちゃんと帰ったわ。それより、一緒の日に入社した同期なんだし、事務所とか外では呼び捨てで良いわよ。

    その方が、気楽だし」

 

 

 

 

武:「とは言っても、いきなりはな・・・」

 

 

 

 

洋子:「うふふ。それもそうね。じゃあ、少しずつ慣れて言ったら呼んで。私もそうする」

 

 

 

 

武:「あぁ、そうする」

 

 

 

 

 

(1年後、ホテル・レジェンド、エントランス)

 

 

 

 

洋子:「またのお越しを心よりお待ち申し上げております。行ってらっしゃいませ!」

 

 

 

 

武:「よっ! お疲れ様」

 

 

 

 

洋子:「武。チェックアウトは終わったの?」

 

 

 

 

武:「終わったよ。今のお客様でラストだ。それより、洋子。此処はホテルのエントランスって事、忘れてないか・・・?」

 

 

 

 

洋子:「他のお客様はいないし平気よ。心配しなくても、お客様の居る時は、阿部さんって呼ぶわよ」

 

 

 

 

武:「そうしてくれ。佐藤さん」

 

 

 

 

洋子:「・・・ねぇ、今夜だけど空いてる?」

 

 

 

 

武:「どうしてだ?」

 

 

 

 

洋子:「もう・・・、その言い方だと、やっぱり忘れてる・・・。今日は、私達がこのホテルに入社してから1年よ」

 

 

 

 

武:「もう1年になるのか。早いな・・・」

 

 

 

 

洋子:「ねぇねぇ、記念に、飲みに行かない?」

 

 

 

 

武:「おっ、いつもの居酒屋か?」

 

 

 

洋子:「そうだけど、駄目かしら?」

 

 

 

武:「洋子・・・。俺が、お前の誘い、断った事、あるか?」

 

 

 

洋子:「そういえば、無いわね。それじゃあ、オッケー?」

 

 

 

 

武:「勿論、オッケーだ」

 

 

 

 

洋子:「やった! さてと、午後からのチェックインも、はりきって頑張るわよ!」

 

 

 

武:「張り切り過ぎて、ドジるなよ?」

 

 

 

洋子:「もう、わかってるわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

武:「高橋様、お待ちしておりました。どうぞ、おかけください。

      それでは、まずこちらの御宿泊カードに御名前と御住所の御記入をお願い致します。

      はい。ありがとうございます。それでは高橋様、ツインルームにて1泊2食付のプランでお伺いしております。

      まず、本日の御夕食ですが地下1階にございます、和食レストラン、漣(さざなみ)にて

      18時に御予約いただいております。お時間になりましたら、レストラン入り口にてスタッフに、お名前を、お伝え下さいませ。

      続きまして、明日の御朝食ですが1階にございます(アヴェク・トワ)にて7時から9時の間に

      ご用意してございます。ビュッフェとなっておりますのでご自由にお召し上がりくださいませ。

      明日のチェックアウトは11時になっております。その他ご質問等ございましたらお気軽にフロントまでお申し付けくださいませ。          

      それでは、高橋様。ごゆっくりお寛ぎ下さいませ」

 

 

 

 

 

 

 

洋子:「高橋様、ごゆっくりお寛ぎ下さいませ」

 

 

 

 

 

武:「チェックインも残り1件だな。・・・しかし、夕食の時間を予約されてるお客様だから、心配だな・・・」

 

 

 

 

洋子:「予約してた夕食時間まで1時間・・・。気になるわね・・・。あっ、内線・・・。これってもしかして・・・」

 

 

 

 

武:「恐らく、レストランからの確認だろうな・・・」

 

 

 

 

洋子:「え・・・? 何て、言えばいいのよ・・・」

 

 

 

 

武:「とりあえず前半の時間に予約をされてるから、間に合わなかった時の為に、後半の時間に変更も可能か、訊いてみてくれ」

 

 

 

 

洋子:「わかったわ・・・。・・・お疲れ様です。フロント佐藤です。・・・はい、夕食を予約されてるお客様の件ですよね・・・。

    まだ、到着されてません・・・。・・・いえ、お客様からの連絡もないままで・・・。

    ・・・はい、わかりました。到着されてチェックインの際、連絡致します・・・。

    ・・・はい、申し訳ありませんでした・・・。次からは気を付けます・・・。はい、それでは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

武:「どうだった?」

 

 

 

 

洋子:「後半でも席は変更可能だけど、もっと早く連絡してくれと怒られたわ・・・」

 

 

 

 

武:「あのレストランマネージャーは、きっちりした性格だからな・・・」

 

 

 

 

洋子:「もう少し、優しくても良いのに・・・」

 

 

 

 

武:「違いない・・・。それにしても・・・本当に到着が遅いな・・・。明日の予約分の準備もあるし・・・。

   すまないが、裏で準備、頼めるか?」

 

 

 

 

洋子:「予約カードチェックと朝食券とか、館内の案内文のセットね。わかったわ」

 

 

 

 

武:「ありがとう。助かるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(後半の夕食の時間が近付いても、お客様は到着されず再びレストランから内線がはいる)

 

 

 

 

武:「こちらフロント、阿部です。お疲れ様です。・・・はい。すみません。まだ到着されてません・・・。・・・そうですね。

   その可能性もありますので、わかり次第、また連絡します・・・。・・・はい。それでは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

洋子:「明日の準備、終わったわよ。どう? ・・・お客様は、到着された?」

 

 

 

 

 

武:「いいや・・・、まだだ・・・」

 

 

 

 

 

洋子:「え? もう20時になるわよ・・・。それじゃあ・・・」

 

 

 

 

 

武:「レストランも最悪・・・、不泊を考えた方が良いって・・・」

 

 

 

 

 

洋子:「そんな~」

 

 

 

 

 

武:「夜勤が出勤した後に、引き継ぎとか考えると・・・今夜は無理だな・・・。

   洋子、すまない・・・。また別の日に飲みに行こう。

   じゃあ、俺も少し休憩に行ってくるから、フロント、任せた」

 

 

 

 

 

洋子:「ええ・・・。行ってらっしゃい

    ・・・折角、楽しみにしてたのにな・・・」

 

 

 

 

 

洋子:「お帰りなさいませ。高橋様。御夕食は、いかがでございましたか?

    ・・・お気に召していただけて、何よりです。

    今夜は、バーラウンジで、ピアノ演奏もございますので、

    この後も、ごゆっくりお寛ぎ下さいませ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

武:「ただいま。お客様は到着されたか?」

 

 

 

 

洋子:「見ての通りよ・・・。本当、いつになったら、来られるのかしら・・・」

 

 

 

 

武:「洋子、ちょっとフロント裏に来てくれ」

 

 

 

 

洋子:「え? 何よ・・・」

 

 

 

 

武:「そんな顔するな。・・・ほら、珈琲。これ飲んで、もうひと頑張りだ!」

 

 

 

 

洋子:「ありがとう・・・。・・・あっ、じゃあ私も・・・。はい、これ」

 

 

 

武:「チョコレートか。・・・サンキュー。やっぱり、疲れた時は、甘い物に限るな」

 

 

 

洋子:「ええ」

 

 

 

武:「入社から1年、色々あったけど・・・、俺達、頑張ったよな。

   お疲れ様、洋子。・・・乾杯」

 

 

 

 

洋子:「武・・・。これからも宜しくね。・・・乾杯」

 

 

 

 

 

 

 

 

(5年後、ホテル・レジェンド、オープンテラス

 一人、海を眺める洋子。そこに、武がやってくる)

 

 

 

 

 

武:「此処に居たのか・・・。洋子」

 

 

 

 

洋子:「武・・・」

 

 

 

 

武:「総支配人から聞いたよ。・・・フロントマネージャー、昇進おめでとう」

 

 

 

 

洋子:「ありがとう・・・。武こそ、サブマネージャー昇進、おめでとう」

 

 

 

 

武:「ありがとう・・・。どうした? 折角、フロントマネージャーに昇進したって言うのに、浮かない顔だな? 

   昇進した事、嬉しくないのか?」

 

 

 

 

洋子:「うん・・・。正直に言うと・・・何で私なんだろうって考えてたわ・・・。

    フロントマネージャーなら、武の方が、私より適任だと思うし・・・」

 

 

 

 

武:「そんな事はない。洋子、お前の方こそ、適任だ」

 

 

 

 

洋子:「どうしてよ・・・?」

 

 

 

 

武:「そりゃあ、俺の方が、お前よりしっかりしてるし、正直、向いてるだろう・・・。

   だが、お前には俺にはない、お客様へのサプライズ精神、おもてなしの心がある。

   それが、俺からしたら、羨ましいよ・・・」

 

 

 

 

洋子:「武・・・。そんなの貴方にもあるじゃない。私は・・・貴方のいざという時の対応の早さ、羨ましいわ・・・」

 

 

 

 

 

武:「そっか・・・。じゃあ、俺達、丁度良いかも知れないな」

 

 

 

 

 

洋子:「え? どういう事?」

 

 

 

 

武:「2人で、このホテル・レジェンドを支えるって事だよ。

   1人では難しくても、洋子、お前となら、これからも上手く出来そうな気がするんだ。

   俺は、サブマネージャーとして、これからも、お前を支えるよ。

   だから、フロントマネージャーとして、しっかりと胸を張っていてくれ」

 

 

 

 

洋子:「・・・武。・・・そこまで言われたら、仕方ないわね! 

    私も、フロントマネージャーとして、貴方を支えるわ。

    そして、これからは、このホテル・レジェンドを、お客様に心から愛してもらえる、立派なホテルにする!」

 

 

 

 

武:「あぁ! 沢山、お客様の笑顔が溢れる、素敵なホテルにしような!」

 

 

 

 

洋子:「ええ! ・・・あ~あ、何か一人で悩んでたのが馬鹿みたい~・・・」

 

 

 

 

武:「こんな綺麗な景色を見て、仕事が出来るんだ。一分一秒でも、落ち込んでたら勿体ないに決まってる!」

 

 

 

 

洋子:「それもそうね。・・・本当、此処から見る海は綺麗・・・。私達が入社して・・・もう5年か・・・」

 

 

 

 

武:「色々なお客様、そして、ホテルメンバーが居たな・・・」

 

 

 

 

洋子:「ええ・・・。それぞれの道、夢を目指して辞めた子、寿退社した子達も居たわね・・・。

    ・・・私も、結婚とかも、そろそろ考えなきゃいけないかしら・・・」

 

 

 

 

武:「おいおい、フロントマネージャーに昇進した途端にそれか・・・」

 

 

 

 

洋子:「心配しないで大丈夫よ。寿退社なんて、まだまだ先の話。・・・武こそ、結婚とか、どうなの?」

 

 

 

 

武:「今のところは特に考えて無いな・・・。誰かさんを、しっかり支えないと行けないし、当分の間、そんな余裕なんて、無いよ」

 

 

 

 

洋子:「本当、真面目なんだから・・・。でも、そんな武だからこそ、私は信頼、出来るのだけどね」

 

 

 

 

 

武:「それは俺も同じだ。これからも良いパートナーとして宜しくな。洋子」

 

 

 

 

洋子:「こちらこそ宜しく。武」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(更に時は流れ、面接を終え事務所で一息ついてる武に、近付き、珈琲を渡す洋子)

 

 

 

 

 

 

武:「ふ~。面接は以上で終わりだな・・・」

 

 

 

洋子:「そうね。・・・はい、珈琲」

 

 

 

 

武:「ありがとう。今回、面接に来た2人共、良い表情をしてたな。

   そのせいか、此処に入社した時を思い出したよ」

 

 

 

 

洋子:「上手く初心に戻れたわけね。・・・武と初めて入社の時に会ってから、もう10年・・・。

    本当、時が経つの、早く感じるわね」

 

 

 

 

武:「そうだな。もう俺達も、立派なホテルマンなんだ。これからも更に身を引き締めて、

   より一層、お客様の為に、頑張らないといけないな」

 

 

 

洋子:「勿論、そのつもりよ。・・・それで、この2人だけど・・・、タイプは違うけど、

    私は、このホテル・レジェンドの仲間として、良いと思うわ。

    武は、どうかしら?」

 

 

 

 

武:「俺も同じ意見だ。2人共、良い表情してたし、良いと思うよ。これから、どんな成長していくか、楽しみだ」

 

 

 

洋子:「それじゃあ、この中村君と、井上さんに決定ね。人事に後で伝えとくわ。・・・さてと、これから忙しくなるわよ。

    このホテル・レジェンドの良い所、教えたり、頑張らなくちゃ!」

 

 

 

 

武:「おいおい・・・ちゃんと駄目な所は怒ったり、出来るのか・・・?」

 

 

 

 

洋子:「それは武に任せるわ。私は、怒るのって苦手だから・・・。頼りにしてるわよ。阿部サブマネージャー!」

 

 

 

 

武:「そういう所は、いつまで経っても成長しないよな・・・。そんなんだと2人にも・・・」

 

 

 

 

洋子:「はいはい。お説教は此処までよ。そろそろ、チェックインの時間だから、気持ちを切り替える、切り替える!」

 

 

 

 

武:「全く・・・」

 

 

 

 

洋子:「ほら、最初のお客様が到着したみたいだし、出迎えるわよ! 阿部サブマネージャー!」

 

 

 

 

 

武:「わかったよ。佐藤マネージャー!」

 

 

 

 

 

 

洋子:「いらっしゃいませ! ○○様。ようこそ! ホテル・レジェンドへ! 

    スタッフ一同、心より、お待ち致しておりました! 

      どうか、ごゆっくりお寛ぎくださいませ!」(※出迎えたいと思う方の名前入れて、出迎えてください)

 

 

 

 

 

 

 

終わり