オネフルバトル

 

 

作者:ヒラマ コウ

 

 

 

比率:【2:0】

 

 

上演時間:【20分】

 

 

 

 

登場人物

 

 

ズッキーニ(綾瀬 剛)・・・BAR魅惑の楽園に入って半年の新人オネエ

 

 

ライム・・・(篠原 源一朗)・・・BAR魅惑の楽園に入って2年になる先輩オネエ

 

 

 

 

 

 

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CAST

 

 

ズッキーニ:

 

 

ライム:

 

 

 

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(BAR魅惑の楽園 楽屋裏)

 

 

 

 

ライム:「今日もお店へ来るお客様は多そうだし、頑張らなきゃ~。

     やだっ・・・! また目尻のシワが濃くなってる~。あ~若さが欲しいわ~。

     あら、ズッキーニ、おはよう~」

 

 

 

ズッキーニ:「ねぇ~、私の名前って、何でズッキーニなのかしら・・・」

 

 

 

ライム:「さぁ~。私達の源氏名はママが決めてるんだし、文句ならママに言ったら~」

 

 

 

ズッキーニ:「それが出来たら、苦労しないわよ~。どうして、私だけ野菜なのよ・・・」

 

 

 

ライム:「そういえば、そうよね~。あんただけ、野菜の名前ってのが、不思議~」

 

 

 

ズッキーニ:「人が悩んでるのに、鼻毛抜きながら、答えないでよ~」

 

 

 

ライム:「楽屋裏なんだから、許してよ~。そんなに眉間にシワ寄せてたら、あっという間に老けるわよ~」

 

 

 

ズッキーニ:「やだっ! それは困る~。ちょっとライム、そのフェイスローラー貸して」

 

 

 

ライム:「これは駄目よ。あんた用は外にあるわよ~」

 

 

 

ズッキーニ:「外ってどういう事よ?」

 

 

 

ライム:「ほらっ、窓の外、良く見て~」

 

 

 

ズッキーニ:「どれよ~」

 

 

 

ライム:「あれよあれ。あんたにピッタリ~」

 

 

 

ズッキーニ:「ちょっと、あれ、道路整備のロードローラじゃない!!!」

 

 

 

ライム:「あんた専用のローラーよ~」

 

 

 

ズッキーニ:「あれで、どうやって、顏をコロコロするのよ!?」

 

 

 

ライム:「簡単よ~。良い? 私が言う通りするのよ~。まず、地面に寝転びま~す」

 

 

 

ズッキーニ:「まず、地面に寝転ぶ」

 

 

 

ライム:「次に~、ローラーが来るまでの間、この呪文を5回唱えま~す。私はこれで、アンジェリナ・ジョリー」

 

 

 

ズッキーニ:「私はこれで、アンジェリナ・ジョリー」(5回言う)

 

 

 

ライム:「ローラーが通過したら、顏も綺麗に~」

 

 

 

ズッキーニ:「ぎゃあああああああああああああ!!!」

 

 

 

ライム:「やだっ、本当に試すなんて思わなかった。ジョークなのに~」

 

 

 

ズッキーニ:「死ぬかと思ったわ・・・」

 

 

 

ライム:「おかえり~、一反木綿」

 

 

 

ズッキーニ:「誰が一反木綿よ! そこまでペラペラになってないわ!」

 

 

 

ライム:「怒ると、ほうれい線が濃くなるわよ~」

 

 

 

ズッキーニ:「誰のせいよ~」

 

 

 

ライム:「それより、あんたがアンジェリナ・ジョリーを唱えてる間に、ママ来たわ~」

 

 

 

ズッキーニ:「ママはどんな用事だったの?」

 

 

 

ライム:「あんたの事探してたから、外でロードローラーで美顔チャレンジしてま~すって答えたら・・・

     笑いながら部屋に戻ってったわ~」

 

 

 

ズッキーニ:「ママ! 天然!? そこまで聞いたなら、止めてよ~」

 

 

 

ライム:「ママ、お茶目な部分あるから、仕方ないわ~」

 

 

 

ズッキーニ:「お茶目で済ますのが、ブラックよ! もう・・・ライムのせいで、顏がカサカサよ」

 

 

 

ライム:「仕方ないわね~。私がよく使う泥パック、やらせてあげる」

 

 

 

ズッキーニ:「泥パックって高くないの?」

 

 

 

ライム:「仲間の肌がカサカサなのは、放っておけないわ~」

 

 

 

ズッキーニ:「ライム・・・」

 

 

 

ライム:「私の泥パックには準備が、必要なのだけど、手順を間違えると、効果が半減するから、言う通りに行動してね」

 

 

 

ズッキーニ:「わかったわ」

 

 

 

ライム:「まず、目を瞑って」

 

 

 

ズッキーニ:「目を瞑る」

 

 

 

ライム:「今居る場所から、2m程、歩いてね」

 

 

 

ズッキーニ:「2m・・・」

 

 

 

ライム:「泥を用意するから、そこで待っててね」

 

 

 

ズッキーニ:「随分、手が込んでるわね」

 

 

 

ライム:「特製だから、仕方ないわ~。じゃあ、準備が出来たから、お願いしま~す」

 

 

 

ズッキーニ:「ゴボゴボゴボゴボゴボゴボ・・・・」(タンクローリーから、セメントが降り注がれる)

 

 

 

ライム:「特製の泥を多めに出すように、頼んだから、楽しんで~」

 

 

 

 

 

 

ズッキーニ:「・・・固まって・・・来て・・・動けない・・・」

 

 

 

ライム:「早速、効果が出てるわね~」

 

 

 

ズッキーニ:「ライム・・・あんた・・・これ、セメントじゃない・・・」

 

 

 

ライム:「嘘ッ! 私ったらドジっ子、発揮しちゃったわ~」

 

 

 

ズッキーニ:「ドジっ子で済むか!!!!」

 

 

 

ライム:「やだ! ズッキーニちゃんったら、怪力~! 流石、剛って名前ね~」

 

 

 

ズッキーニ:「もう! 本名は呼ばないで! その名前は、この世界に入る時に捨てたのよ!」

 

 

 

ライム:「名前は捨てても、怪力はちゃんと残ってるのね~」

 

 

 

ズッキーニ:「これは、バリバリの男だった時、ボディービルダーで鍛えてたから・・・」

 

 

 

ライム:「ママも言ってたわよ~。ズッキーニちゃんったら、顏はごついし、

     体も岩みたいでゴツゴツしてて、ガサツだから、もう少し、御淑やかになって欲しいって~」

 

 

 

ズッキーニ:「私、これでも頑張ってるわ。でも、お客様に体触られそうになって、つい条件反射で、突き飛ばしちゃって・・・」

 

 

 

ライム:「つい、でお客さん、3m吹き飛ばしちゃうのは、流石にヤバいわよ~。

     あのお客さん、壁にぶつかって、『アベシ!』的な事、言ってたし~相当なダメージよ~」

 

 

 

ズッキーニ:「だってだって、油ギッシュのお腹出てるハゲ親父だったから、生理的に無理で~」

 

 

 

ライム:「それでもお客様は、神様よ~。せめて1mにしとかなきゃ、駄目よ~」

 

 

 

ズッキーニ:「そうよね。次回はそうするわ・・・。力の加減って、本当、難しいわ~。

       所で、さっきの疑問に戻るのだけど、どうして、私だけ、野菜なのかしら~」

 

 

 

ライム:「それもそうよね~。見た目からすると、男爵イモとか、パンプキンとか、別の野菜になってそうよね~」

 

 

 

ズッキーニ:「誰が見た目で判断しろと言ったのよ~! 論点がズレてる!」

 

 

 

ライム:「ねぇ、ズッキーニ。そんなにこの源氏名が嫌なら、ママに頼んで、変えてもらうのはどう?」

 

 

 

ズッキーニ:「そう簡単に、変えてくれるかな~? それに、ママも私の事、考えて一生懸命、考えてくれたのかもだし・・・

       ママの気分を害しても、それはそれで嫌だし・・・。でも・・・この名前でこれからもやっていくのは・・・」

 

 

 

ライム:「あんたが悩んでる間に、ママ来たわよ~。だから聞いてみた」

 

 

 

ズッキーニ:「嘘ッ! 気付かなかった~」

 

 

 

ライム:「目瞑って、あれやこれと悩んでたら、それは気付かないわよ~」

 

 

 

ズッキーニ:「それで、ママなんだって・・・? やっぱり名前変えたいって思ってるのショック受けて・・・」

 

 

 

ライム:「あぁ、良いわよ! 的に、指でサインして、笑顔で部屋に戻ってったわ~」

 

 

 

ズッキーニ:「ママ! 軽! 私の名前、どんな気持ちで考えたのか、逆に気になる~!」

 

 

 

ライム:「そういうと思って、ママから手紙預かってる。これよ」

 

 

 

ズッキーニ:「どれどれ・・・。

      『ズッキーニちゃんへ。貴方がそんなに名前の事で、悩んでるとは思わなかった・・・

       その名前はね、ママ、かなり悩んだの~。

       フルーツの名前を源氏名にしてきたから、貴方にも、そうしなきゃって。

       だけどね、運命の悪戯は恐ろしいわね・・・。ママ、その時、とてもお腹空いてて、

       その時に、ふとテレビを見たら、ズッキーニ使った夏野菜カレーが出てて、

       あ! ズッキーニのカレー食べたい! そう思ったの・・・。以上よ。ママより』」

 

 

 

ライム:「ママ流石・・・。泣ける話だわ~」

 

 

 

 

ズッキーニ:「待て待て待て待って! 以上よって、どういう事よ~?」

 

 

 

 

ライム:「要するに、ママはズッキーニのカレーのCMを観て、あんたの源氏名、決めたって事ね~。ママったら天才~」

 

 

 

 

ズッキーニ:「私の名前の考え方、雑!!! これは流石にショックだわ・・・」

 

 

 

 

ライム:「元気出しなさい! ハウスバーモントカレー」

 

 

 

ズッキーニ:「私の名前、ついにカレーになっちゃった! 誰がリンゴとハチミツが隠し味よ! やかましいわ!」

 

 

 

ライム:「そんなに怒ると、ズッキーニから、茹でダコになっちゃうわよ~」

 

 

 

ズッキーニ:「野菜ですら無くなってる・・・。こうなったら、新しい名前、考えるわよ!」

 

 

 

ライム:「え~。面倒~。良いじゃない。そのままの、夏野菜がゴロゴロ入ってるカレーって源氏名で~」

 

 

 

ズッキーニ:「長いわよ! お客さん、私の名前、言うだけで疲れちゃうわよ!」

 

 

 

ライム:「そんな事無いわよ~。良い、今からシュミレーションするわよ」

 

 

 

ズッキーニ:「良いわよ」

 

 

 

ライム:「じゃあ、私がお客やるわね。行くわよ」

 

 

 

ズッキーニ:「ええ」

 

 

 

 

 

 

ライム:「この店は初めてだ。へ~、指名制か。どれどれ、どんな子がいるんだ。

     ・・・ライムちゃん、可愛い子じゃないか。

     他には・・・。おっ、この子にするか! すいません! この夏野菜がゴロゴロ入ってるカレーちゃん、お願いします!」

 

 

 

 

ズッキーニ:「御指名ありがとうございま~す! 夏野菜がゴロゴロ入ってるカレーです!」

 

 

 

ライム:「思ったより、見た目がごついんだね・・・。宣材写真の方が細いような・・・」

 

 

 

ズッキーニ:「やだ! お客さん。それは気のせいですよ! それより、何、飲みます?」

 

 

 

ライム:「夏野菜がゴロゴロ入ってるカレーちゃんのオススメはなんだい?」

 

 

 

ズッキーニ:「え~、じゃあ、私、ピンドンが飲みたいな~」

 

 

 

ライム:「ピンドンか~。夏野菜がゴロゴロ入ってるカレーちゃんは、見た目より、大胆なんだね!」

 

 

 

ズッキーニ:「私の為に、ピンドン頼んでくれる❤?」

 

 

 

ライム:「夏野菜がゴロゴロ入ってるカレーちゃんの頼みだ! 

     仕方ない・・・。すみません、夏野菜がゴロゴロ入ってるカレーちゃんの為にピンドンを・・・」

 

 

 

ズッキーニ:「ストップ!!!!」

 

 

 

 

ライム:「もう! 何よ~。盛り上がって来たのに~」

 

 

 

ズッキーニ:「私の名前、夏野菜がゴロゴロ入ってるカレーちゃんって、やはり長いわよ!

       何回もお客さん、呼んでる内に、胃もたれするわよ!」

 

 

 

ライム:「カレーだけにね~」

 

 

 

ズッキーニ:「上手くないわ!!!」

 

 

 

ライム:「じゃあ、他の名前、考えないとね~。はぁ・・・面倒臭い・・・(小声)」

 

 

 

ズッキーニ:「他の名前、何が良いかしら~。私も、やっぱ、皆と同じ、フルーツの源氏名に憧れちゃう~」

 

 

 

ライム:「じゃあ、まだ使われてない、フルーツの名前、言ってくから、気に入ったのがあったら、教えて。行くわよ~」

 

 

 

ズッキーニ:「わかったわ」

 

 

 

ライム:「まずは、パーシモン!」

 

 

 

ズッキーニ:「は? 何よそれ!」

 

 

 

ライム:「柿よ。常識よこれくらい。次、行くわよ。ロークァット!」

 

 

 

ズッキーニ:「パードゥン!?」

 

 

 

ライム:「ロークァットよ! ・・・もう、わからないなんて、どうかしてるわ! ビワよ!」

 

 

 

ズッキーニ:「へ~~~」

 

 

 

ライム:「どんどん行くわよ~。カムクァット!」

 

 

 

ズッキーニ:「待って! さっきとどう違うのよ! ローがカムになっただけじゃない!」

 

 

 

ライム:「素人ね! 全然違うわ! 今のはカムクァットで、さっきのはロークァットよ!」

 

 

 

ズッキーニ:「何が、よ!よ。違いは何よ!」

 

 

 

ライム:「カムクァットはキンカンよ!」

 

 

 

ズッキーニ:「微妙! 微妙過ぎるわよ! もっと、メジャーなフルーツ、カモン~!」

 

 

 

ライム:「仕方ないわね~。じゃあ、行くわよ。そうね・・・これなんてどう? ドリアン!」

 

 

 

ズッキーニ:「ドリアン!!!」

 

 

 

ライム:「凄い驚きよう・・・。余程、気に入ったのね~。じゃあ、決定・・・」

 

 

 

ズッキーニ:「させるか! ジャーマンスープレックス!!!」

 

 

 

ライム:「グヘッ!!!」

 

 

 

ズッキーニ:「危ない危ない・・・。この名前だけは死守しなきゃ・・・」

 

 

 

ライム:「いきなりプロレス技、かけるんじゃないわよ! 首がグキッってなったわよ!」

 

 

 

ズッキーニ:「自業自得よ・・・。ドリアンなんて源氏名ついたら、こうなるに決まってるわ! 強制シュミレーションスタート!」

 

 

 

 

ライム:「さてさて、このお店は初めてだけど、どんな子がいるかな・・・。・・・ライムちゃん、可愛い子だな。この子以外も、

     期待できそうだ。さて・・・次のページは~。えっと、ドリアン・・・。うわっ、こいつはパス・・・」

 

 

 

ズッキーニ:「てな感じになって、ドリアンって源氏名のせいで、指名0の日々が、続いて、果ては・・・私、クビよ! クビ!!!」

 

 

 

 

ライム:「流石にそこまでにはならない・・・」

 

 

 

ズッキーニ:「いいえ! なるわ! 誰が、あんな臭(にお)うフルーツの名前、気に入るのよ! いたとしてもレアケースよ!!!」

 

 

 

ライム:「仕方ないわね・・・。じゃあ、続けるわよ。他のフルーツだと・・・良いのあったわ! デコポン!!!」

 

 

 

ズッキーニ:「何処が良い名前よ! 御指名ありがとうございま~す! デコポンで~す!!!

       なんて言って現れたら、完全なネタ要員じゃない!!!」

 

 

 

ライム:「じゃあ、八朔(はっさく)、伊予柑(いよかん)、天草(あまくさ)、小夏(こなつ)、スルガエレガント!!!」

 

 

 

ズッキーニ:「全部、みかん類じゃない! それに全部、可愛くな~い!!!」

 

 

 

ライム:「そう? スルガエレガントはワンチャン、ありかも~って思わない?」

 

 

 

ズッキーニ:「思・わ・な・い! どう考えても・・・お客様の頭の中、???になるわよ!」

 

 

 

ライム:「じゃあ、ズッキーニは、どんな名前が良いのよ?」

 

 

 

ズッキーニ:「そうね~。可愛い感じだと、プラムとか!」

 

 

 

ライム:「駄目ね。それ、前にいて、ママと大喧嘩して、辞めた子の源氏名だったわ~」

 

 

 

ズッキーニ:「それは流石にまずいわね・・・。じゃあ・・・私には可愛すぎるかもしれないけど、チェリー!」

 

 

 

ライム:「身の程を知りなさいよ・・・」

 

 

 

ズッキーニ:「何か言った?」

 

 

 

ライム:「ううん。何でもないわ。そうね・・・その名前もママが激怒すると思うわ~」

 

 

 

 

ズッキーニ:「またママが関係してくるの~?」

 

 

 

ライム:「その名前は、ママの元彼が、使ってたわ~。しかも、その元彼、別のお店にスカウトされて、

     ママを振って出てっちゃったのよ~」

 

 

 

ズッキーニ:「ゲロヤバッ! そんな源氏名にしたら・・・」

 

 

 

ライム:「源氏名みたいに、真っ赤に染まるでしょうね~」

 

 

 

ズッキーニ:「冗談じゃないわよ! 違う名前にするわ! う~ん、そうだ! パパイヤ!」

 

 

 

ライム:「鈴木」(小声)

 

 

 

ズッキーニ:「気のせいかしら? 何か聴こえたような・・・。ねぇ、パパイヤよ! どう? パパイヤ!」

 

 

 

ライム:「鈴木」

 

 

 

ズッキーニ:「絶妙なタイミングで、鈴木言うんじゃないわよ! 今のははっきり聞こえたわ! 誰がパパイヤ鈴木よ!」

 

 

 

ライム:「そのフルーツなら、使われてないし、良いかもしれないわ! 決まって良かったわね! 剛!」

 

 

 

ズッキーニ:「誰が、剛じゃ!」

 

 

 

ライム:「よ! 綾瀬 剛!」

 

 

 

ズッキーニ:「本名で呼ぶのは止めて~。その名前、ゴツイし、綾瀬はるかに似てるって私には、逞しすぎ・・・」

 

 

 

ライム:「パードゥン!?」

 

 

 

ズッキーニ:「何度も言わせないでよ・・・。恥ずかしい・・・。だから、綾瀬はるかにそっくりな私には・・・」

 

 

 

ライム:「おrrrrrrrrrrrrrrr」

 

 

 

ズッキーニ:「うわ! 何で吐くのよ!!!」

 

 

 

ライム:「流石に、その発言は、胃もたれ大爆発で、おrrrrrrrになったわよ・・・」

 

 

 

ズッキーニ:「失礼ね! 源一郎!」

 

 

 

ライム:「ちょっと! 今なんて言った?」

 

 

 

ズッキーニ:「よ! 篠原 源一郎!!!」

 

 

 

ライム:「本名は止めて~。その名前は捨てたの! 第一、篠原涼子みたいなクールビューティーな私には、似合わない・・・」

 

 

 

ズッキーニ:「おrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr」

 

 

 

ライム:「待って! 吐くの早すぎ! まだ一回しか言ってないわ~!」

 

 

 

ズッキーニ:「流石に耐えきれなかったわ・・・。あんたがクールビューティー、しかも篠原涼子・・・。

       よくその顔で、言えるわね・・・」

 

 

 

ライム:「あら! 心外だわ! あんたなんて、見た目、ゴリラじゃない! 山に帰りなさいよ!」

 

 

 

ズッキーニ:「あんたこそ、ムンクの叫びみたいなガリガリじゃない! 少しは肉付けなさいよ!」

 

 

 

ライム:「やだ! 遅れてる! 世の中は、私みたいな、スリムなオネエを求めてるのよ!」

 

 

 

ズッキーニ:「何がスリムなオネエよ! いいえ! 今の世の中、この包容力溢れる、

       母性たっぷりのガッチリボディーのオネエを求めてるわ!」

 

 

 

ライム:「あんたに抱きしめられたら、お客さん、病院行きよ!」

 

 

 

 

ズッキーニ:「そうしたら、ナース姿で、看病してあげるわ! 私の愛で、お客様はたちまち元気・・・・」

 

 

 

ライム:「おrrrrrrrrrrrrrrrrrr」

 

 

 

ズッキーニ:「何でそこで吐くのよ!!!」

 

 

 

ライム:「あんたのナース姿は、バイオハザード級よ・・・。想像しただけで、吐くわ・・・」

 

 

 

ズッキーニ:「うっさい! そんなに言うなら、店にナース服、あるし勝負よ!」

 

 

 

ライム:「良いわよ! どっちが、お客様のハートを射止めれるか勝負ね!」

 

 

 

ズッキーニ:「私が勝ったら、私の源氏名は、マスカットよ!!!」

 

 

 

ライム:「良いわよ! じゃあ、私が勝ったら、あんたの源氏名、デコポンだからね!」

 

 

 

ズッキーニ:「へ~、そう来る・・・。じゃあ、あんたが負けたら、あんたの源氏名、スルガエレガントよ!」

 

 

 

ライム:「面白いじゃない! じゃあ、急いで着替えるわよ! あんたなんかに、絶対負けないんだから!」

 

 

 

ズッキーニ:「それは、こっちの台詞よ!」

 

 

 

 

 

 

 

ライム:「着替え終わったわね」

 

 

 

ズッキーニ:「ええ!」

 

 

 

ライム:「最初のお客様の到着よ・・・。いざ勝負!!!」

 

 

 

ズッキーニ:「負けないんだから!!!」

 

 

 

 

ライム:「いらっしゃいませ~! ねぇ~、私達の~」

 

 

 

ズッキーニ:「どっちに~、愛の看病~、されたいですか~?」

 

 

 

ライム:「・・・やだ! お客様、倒れちゃった!」

 

 

 

ズッキーニ:「あんたの猫撫で声+ナース服のせいよ!」

 

 

 

ライム:「よく言うわ! あんたの気持ち悪い声とナース服のせいでしょ!

     ・・・あ、ママ・・・。これには事情が・・・」

 

 

 

ズッキーニ:「そうなんです・・・。私達は悪くないの・・・。・・・だから許して~!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

(翌日 BAR魅惑の楽園)

 

 

 

 

ライム:「いらっしゃいませ! BAR魅惑の楽園へ!!! 御指名ありがとうございます! スルガエレガントで~す!!!」

 

 

 

ズッキーニ:「同じく御指名ありがとうございます! デコポンで~す!!!」

 

 

 

ライム:「私達、二人合わせて~」

 

 

 

ズッキーニ:「蜜柑系オネエで~す!!!」

 

 

 

ライム(M):「・・・よりにもよって、どうして~!!!」

 

 

 

ズッキーニ(M):「こんな源氏名になるのよ~!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終わり