ラヴ・ディシジョン

 

 

作者:ヒラマ コウ

 

 

登場人物

 

蓮翔(れんと)

 

涼音(すずね)

 

 

比率【1:1】

 

上演時間【20分】

 

 

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CAST

 

蓮翔:

 

涼音:

 

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涼音:「初めまして。涼音です。こういう場に参加は初めてで緊張してます・・・」

 

 

 

蓮翔:「蓮翔です。趣味は読書。休日には美術館に行って絵画鑑賞したり、まったり過ごしてます」

 

 

 

涼音(N):「一目、彼を見た時、良いなって思った」

 

 

 

蓮翔:「こういう場は俺も初めなのと、これでも人見知りで、緊張してます・・・」

 

 

 

 

涼音(N):「私と同じだと思わず微笑んでしまった」

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮翔:「あの・・・」

 

 

 

涼音:「はい」

 

 

 

蓮翔:「自己紹介の時から、何だか気になっちゃった・・・」

 

 

 

涼音:「え・・・?」

 

 

 

蓮翔:「俺達って似てるなって」

 

 

 

涼音:「うふふ」

 

 

 

蓮翔:「あれ? ひょっとして、俺の勘違い・・・」

 

 

 

涼音:「そうじゃないの。私達、同じ事、考えてたんだなって思って、つい」

 

 

 

蓮翔:「なんだ~。てっきり俺なんて眼中にないって、笑い飛ばされたかと思った」

 

 

 

涼音:「そんな酷い事、出来ないって。私、そこまで魅力もないし・・・」

 

 

 

蓮翔:「そんな事ないって! 涼音さんは可愛いよ! いや、もっと言うなら美人だよ!」

 

 

 

涼音:「お世辞は良いわよ。なんだ~。友達の言ってた事って、本当にあるんだ。何だか可笑しい」

 

 

 

蓮翔:「またそうやって笑ってる」

 

 

 

涼音:「ごめんなさい。でも、こういうサービスに参加するの初めてで、内心、そんな事ないって思ってたからさ」

 

 

 

涼音:「友達の言った通り、男性に褒められて、まるでお姫様になった気分」

 

 

 

蓮翔:「涼音さんがお姫様なら、俺はさしずめ白馬の王子様・・・かな?」

 

 

 

涼音:「容姿端麗な白馬の王子様ね」

 

 

 

蓮翔:「そんなに褒めないでよ」

 

 

 

涼音:「少しは謙遜してよ。もう・・・」

 

 

 

蓮翔:「謙遜? 何それって感じ」

 

 

 

涼音:「ひょっとして、さっきの自己紹介、猫被ってた?」

 

 

 

蓮翔:「ちょびっと」

 

 

 

涼音:「それ、本当かな~。怪しい~」

 

 

 

蓮翔:「本当だって! この俺の澄んだ瞳を見て見て」

 

 

 

涼音:「どれどれ~」

 

 

 

蓮翔:「今だ隙あり~」(涼音が目の前に近付いてきて、ほっぺにキスしようとする)

 

 

 

涼音:「その手には乗らないわよ~」

 

 

 

蓮翔:「チェッ。良い手だと思ったのにな~」

 

 

 

涼音:「今のでわかった。・・・連翔さんって、おみコンに参加するの初めてじゃないな~?」

 

 

 

蓮翔:「それ言うなら、涼音さんこそ、何だか楽しんでるし、常連っぽい」

 

 

 

涼音:「もし、常連だったらどうする? 実は人妻で~、愛する旦那もいて、

    理想的な一戸建てに住んでて、ついでに可愛いペットも居て」

 

 

涼音:「こういう場には、アバンチュールを求めて来てたら?」

 

 

 

蓮翔:「旦那にばれないなら、それも大人の付き合いとして、ありって感じ」

 

 

 

涼音:「本当に?」

 

 

 

蓮翔:「修羅場になっても、旦那と殴り合いにならなければ」

 

 

 

涼音:「ようするに、修羅場になるような事はしたいんだ。私と」

 

 

 

蓮翔:「そりゃあ、健全な男子だし、したくないなんて、言えるわけないよね~」

 

 

 

涼音:「正直なんだから~。そういう野性的な人も良いわね~」

 

 

 

蓮翔:「俺達、気が合うね! うんうん。世の中は、純愛が一番なんて言ってるけど、大人なんだから、色々な形もあって良いよ」

 

 

 

涼音:「今の発言でわかった。判定を言い渡す」

 

 

 

蓮翔:「え? 判定!?」

 

 

 

涼音:「連翔さん、貴方は、私の好みではありません。出直してくださいって感じ」

 

 

 

蓮翔:「あちゃ~、浮気は駄目なタイプだったか~。まんまと騙されたよ~」

 

 

 

涼音:「女をそう簡単に、騙そうなんて甘いわよ。私、そんな軽い女じゃないの」

 

 

 

蓮翔:「こりゃあ、鉄壁の女だ~」

 

 

 

涼音:「だって、私、失敗しないので」

 

 

 

蓮翔:「此処でその台詞をさらりと言っちゃうのか~。よっ、おみコンマスター」

 

 

 

涼音:「マスターか~。良い響き。またいつでも、挑戦待ってるわ」

 

 

 

蓮翔:「くそ~。次こそは、攻略してやる~」

 

 

 

涼音:「楽しみにしてる。また次のおみコンでね」

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮翔:「すみません。マドモアゼル。ご一緒して宜しいでしょうか?」

 

 

 

涼音:「ええ。宜しくてよ」

 

 

 

蓮翔:「貴女のように可憐で、気高い一輪のバラのような、レディーに出会えたのは、今日一番の至福です」

 

 

 

涼音:「あら? お世辞がお上手です事。何が目的なのかしら?」

 

 

 

蓮翔:「それは勿論、貴女のハートを撃ち抜く事に決まってるじゃありませんか」

 

 

 

涼音:「恋のキューピットを味方にして、私の心を奪い去るおつもりね。でも、お生憎様。それは貴方には出来ないわ」

 

 

 

蓮翔:「それはどうしてです?」

 

 

 

涼音:「私は・・・幸せを望みませんの。・・・むしろ妬み、怨みが活力となってますわ」

 

 

 

涼音:「此処だけの秘密にしてくださる? 私は魔女なの」

 

 

 

蓮翔:「魔女?」

 

 

 

涼音:「ええ。こう呼ばれてますわ。黒曜の魔女と・・・。だから、キューピットの矢は効かないの」

 

 

 

蓮翔:「魔女ですか。じゃあ、私の愛で、貴女を生まれ変わらせましょう」

 

 

 

涼音:「望むところよ。貴方のその純白な心、黒曜石のように、深い闇に染めてあげるわ」

 

 

 

蓮翔:「あの・・・」

 

 

 

涼音:「何かしら?」

 

 

 

蓮翔:「俺の負けで良いよ。・・・何? その適応力? 黒曜の魔女!?」

 

 

 

 

涼音:「我ながら、上手く浮かんだと思う」

 

 

 

蓮翔:「完敗だよ。その発想は、どこから出た?」

 

 

 

涼音:「いや、私さパワストーンとか天然石好きで、よく見るのだけど、最近のマイブームが黒曜石なのよ」

 

 

 

蓮翔:「そうだとしても、あの咄嗟に思いつくとは・・・天才だ~。いずれは女優も夢じゃないかもな・・・」

 

 

 

涼音:「もう褒め過ぎだって! でも、そんなに名演技だった? これなら、オスカーも狙えるかな?」

 

 

 

蓮翔:「その発言でわかった。判定を言い渡す」

 

 

 

涼音:「判定!?」

 

 

 

蓮翔:「涼音さん。貴女は俺の妻には相応しくありません。もっと謙虚になってから、出直してくださいって感じ」

 

 

 

涼音:「うわ~。そう来たか~」

 

 

 

蓮翔:「へへっ。前回の仕返し」

 

 

 

涼音:「おみコンマスターの座は、今回は譲る・・・。クッ・・・!」

 

 

 

蓮翔:「ありがとう~。次、合う時は、また受けて立つよ。はっはっは!」

 

 

 

涼音:「覚えてろよ~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

涼音:「はぁ~」

 

 

 

蓮翔:「よっ、久しぶり。溜息なんてついてどうした?」

 

 

 

涼音:「実はね・・・。私、好きな人が出来たかも」

 

 

 

蓮翔:「へ~。それは、おめでとう」

 

 

 

涼音:「ありがとう。・・・でも、正直、悩んでる」

 

 

 

蓮翔:「どうして?」

 

 

 

涼音:「だって、こうして連翔と、おみコンで会うたびに、馬鹿な事して、楽しむ時間が、私にとっていつの間にか、

    楽しみになってた・・・」

 

 

 

蓮翔:「それは、俺も気持ちわからなくもない。こういう場で、こういう楽しみ方は、不謹慎かもしれないけど、

    俺も、涼音と会うのが、待ち遠しくなってた・・・」

 

 

 

 

蓮翔:「だからかな・・・。好きな人が出来たって聞いて、俺・・・。今、予想以上に、ショック受けてる」

 

 

 

 

涼音:「連翔・・・」

 

 

 

 

蓮翔:「本音言うとさ、今すぐ、その好きな相手にあって、文句言ってやりたいよ!

    俺の大事な涼音を、よくも奪いやがったなって!」

 

 

 

 

蓮翔:「だけど・・・それは俺の自己満にしかならない。・・・本当に好きなら、好きになった相手の幸せは、応援しなきゃな。

    それが大人ってもんだ」

 

 

 

涼音:「私は・・・!」

 

 

 

 

蓮翔:「その先は言ったら駄目だ。言ったら戻れなくなる。・・・俺達、友達のままが一番なんだよ」

 

 

 

 

涼音:「ずっと友達なら、別れて疎遠になったりもないわね」

 

 

 

 

蓮翔:「その通りだ。その方が断然良い」

 

 

 

涼音:「わかった。・・・私、彼の妻になる。正直に言うと、結婚式のチャペルや披露宴とかも、もう日取り決まってるの。

    彼も御両親も優しくてね・・・。私には勿体ないくらい・・・」

 

 

 

蓮翔:「良かったじゃないか。それ聞いて安心した。その彼と、幸せにな。

    ・・・もし良ければさ、結婚式には呼んでくれ。友人として参加するからさ」

 

 

 

涼音:「わかった。考えとく」

 

 

 

蓮翔:「じゃあ、俺、早いけど、帰る。・・・またな」

 

 

 

 

涼音:「待ちなさいよ」

 

 

 

蓮翔:「・・・」

 

 

 

涼音:「蓮翔の意気地なし! どうしてそこで素直に諦めるのよ~! 私の存在って、そんなものだったの!?」

 

 

 

 

蓮翔:「・・・」

 

 

 

 

涼音:「鈍感! 馬鹿!!! 男なら、そんな彼がいても奪ってやるぐらい言いなさいよ!」

 

 

 

 

蓮翔:「・・・」

 

 

 

涼音:「私は、・・・私は! 蓮翔の事が大好きなの!!! どうしようもなくなるくらい・・・大好きなの・・・」

 

 

 

蓮翔:「・・・女はズルいな。・・・そうやってすぐ泣いてしまうんだから」

 

 

 

蓮翔:「そんなに泣かれたら、俺も耐えられない」

 

 

 

涼音:「・・・え?」

 

 

 

蓮翔:「本当に俺で良いのか? ひょっとしたら、とんでもないチャラ男で、借金もあって、ろくでもない浮気性かもしれないし」

 

 

 

涼音:「そんなの平気よ。私が更生してみせる!」

 

 

 

蓮翔:「もの凄い飽き性で、1年も経たない内に、他の女を作って、お前を捨てるかもよ」

 

 

 

涼音:「それでも構わない! 私が絶対に、飽きさせたりしないんだから!」

 

 

 

蓮翔:「その彼や御両親にも、何言われるか・・・」

 

 

 

涼音:「それも、ちゃんと覚悟してる」

 

 

 

蓮翔:「・・・」

 

 

 

涼音:「答えて! ・・・連翔!」

 

 

 

蓮翔:「負けたよ・・・。・・・本当、お前、馬鹿だ。こんなに本気にさせたんだ。・・・後悔しても遅いからな」

 

 

 

涼音:「後悔なんてしない! 大好き! 蓮翔!!!」

 

 

 

蓮翔:「俺もだよ! 涼音!」

 

 

 

蓮翔:「よし、じゃあ、色々とこれから決めないとな。まずは、相手への謝罪か・・・。

    ・・・俺、殴られるのも覚悟しないといけないな~」

 

 

 

 

 

 

涼音:「それじゃあ、判定を言い渡す」

 

 

 

蓮翔:「なん・・だと・・・」

 

 

 

涼音:「蓮翔さん、貴方は私の夫には相応しくありません。

    ・・・もう少し常識を持って、大人らしい節度ある行動を心掛けてくださいって、感じ」

 

 

 

蓮翔:「待て待て! じゃあ、彼と結婚するってのも?」

 

 

 

涼音:「勿論、フィクションよ。見事に騙されたわね」

 

 

 

蓮翔:「ふざけるな・・・! 俺の純粋な心を返せ!!!」

 

 

 

涼音:「あら? それは無理よ。だって、私は黒曜の魔女ですもの!」

 

 

 

蓮翔:「この前の続きだったのかよ!!!」

 

 

 

涼音:「そういう事。あれだけ、悔しい思いしたんだし、やり返すなら、倍返し以上をってね」

 

 

 

蓮翔:「倍返しどころか、俺の心にどでかい穴を見事に開けたよ・・・」

 

 

 

涼音:「私の魔法の威力、思い知ったなら、良かった! おみコンマスターの座は返してもらうわ」

 

 

 

蓮翔:「悔しい・・・!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

涼音:「あら? 久しぶり。暫く見掛けなかったけど、どうしたの?」

 

 

 

蓮翔:「色々と考えてた」

 

 

 

涼音:「色々?」

 

 

 

蓮翔:「仕事でちょっとね」

 

 

 

涼音:「もしかしてクビになったとか?」

 

 

 

蓮翔:「馬鹿野郎。そんな事になったら、こんな事してる場合じゃないだろ」

 

 

 

涼音:「それもそうね。じゃあ何なの?」

 

 

 

蓮翔:「2週間後、ニューヨークに転勤になったんだ」

 

 

 

涼音:「え・・・。じゃあ・・・」

 

 

 

蓮翔:「この遊びも、今回でお終い」

 

 

 

涼音:「残念・・・」

 

 

 

蓮翔:「もしかしたら罰が当ったのかもな。真剣な付き合いを考えてる人達からしたら、イレギュラーな存在だっただろうし」

 

 

 

涼音:「そんな事無い。恋愛の形って人それぞれよ。・・・こんな出会い方、楽しみ方があっても、良い」

 

 

 

蓮翔:「ありがとうな。肯定してくれる相手がいるって、嬉しいもんだ。

    ・・・涼音は、どうする? このまま、おみコンには参加し続けるのか?」

 

 

 

涼音:「それは、わからない・・・」

 

 

 

 

蓮翔:「そっか・・・」

 

 

 

涼音:「白状するとさ、このまま次に参加しても、今以上に楽しく過ごせる相手なんて、

    見つからないかもしれないって思ってる・・・」

 

 

 

蓮翔:「そりゃあ、無理だろうな。俺はなんたって特別だから!」

 

 

 

涼音:「ええ。その通りよ。・・・私にとって、貴方は特別」

 

 

 

蓮翔:「おいおい、そこは、少しは謙遜しなさいよ。だろ?」

 

 

 

涼音:「馬鹿・・・。今はそんなジョークなんて言えない・・・」

 

 

 

蓮翔:「・・・」

 

 

 

涼音:「ねぇ、どれくらいで日本に戻って来れるの?」

 

 

 

蓮翔:「それはわからない。仕事の進み具合にもよるし・・・。もしかしたら・・・」

 

 

 

涼音:「何・・・?」

 

 

 

蓮翔:「5年、いや10年、もしくは、戻って来ないかも・・・」

 

 

 

涼音:「どうして・・・?」

 

 

 

蓮翔:「俺にとってはビッグチャンスなんだ! 会社に入って、ようやく認められて、

    大きなプロジェクトを任せてもらえて! だから、逃したくないんだ・・・」

 

 

 

涼音:「私と仕事・・・」

 

 

 

蓮翔:「馬鹿。それは流石にズルいよ・・・。・・・頼むから、俺の決心をこれ以上、揺らがせないでくれ・・・」

 

 

 

涼音:「でも・・・!」

 

 

 

蓮翔:「ごめんな・・・。・・・涼音と会えなくなるのは、辛いさ・・・。でも、これで良いんだ」

 

 

 

涼音:「蓮翔・・・」

 

 

 

蓮翔:「身勝手な俺が、こう言うのも何だけど、涼音・・・、幸せになってくれ」

 

 

 

涼音:「当たり前よ・・・! 蓮翔以上に、幸せになってやるんだから!」

 

 

 

蓮翔:「そうしてくれ」

 

 

 

涼音:「当日は何時の便?」

 

 

 

蓮翔:「・・・17時05分の便」

 

 

 

涼音:「わかったわ。見送りに行く」

 

 

 

蓮翔:「別に、来なくて良いよ」

 

 

 

涼音:「お願い。・・・これは私自身のけじめでもあるの」

 

 

 

蓮翔:「・・・わかったよ。・・・じゃあ、当日、空港でな・・・」

 

 

 

涼音:「ええ」

 

 

 

 

 

 

 

 

涼音:「どうして、道が混んでるのよ。今の時刻は・・・。・・・大丈夫、16時50分、間に合った。

    ニューヨーク行きの便、17時05分のは・・・」

 

 

 

 

涼音:「え? そんな便、無いじゃない・・・。どういう事・・・」

 

 

 

 

涼音:「すみません! 17時05分のニューヨーク行きは時間、変更になったのですか!?

    ・・・え? そんな便はない・・・。・・・ニューヨーク行きなら、16時25分に出発した・・・」

 

 

 

 

 

涼音:「そうですか・・・。わかりました・・・」

 

 

 

【回想】

 

 

涼音:「当日は何時の便?」

 

 

 

蓮翔:「・・・17時05分の便」

 

 

 

【回想終了】

 

 

 

涼音:「馬鹿・・・。・・・見送りくらいさせてくれても良いじゃない! ・・・蓮翔の馬鹿!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

蓮翔:「判定を言い渡す」

 

 

 

涼音:「え!? 蓮翔・・・?」

 

 

 

蓮翔:「涼音さん、貴女は俺の妻として・・・」

 

 

 

涼音:「・・・妻として?」

 

 

 

蓮翔:「その優しさ、思いが、痛いほど、伝わりました。よって、俺の妻として合格しました。以上」

 

 

 

涼音:「じゃあ、ニューヨークに転勤ってのも・・・?」

 

 

 

 

蓮翔:「全部、真っ赤な嘘。・・・俺の別名は~、深紅の魔王! 俺の巧妙な嘘に染められたご感想は?」

 

 

 

涼音:「馬鹿!!! ・・・最高に最悪よ!!!」

 

 

 

蓮翔:「なら? 妻にはならないか・・・」

 

 

 

涼音:「この鈍感! 貴方みたいな大嘘つき、この黒曜の魔女しか、相手いないわよ」

 

 

 

蓮翔:「それもそうか。んじゃ、これからどうぞ、末永く宜しくな。魔女さん」

 

 

 

涼音:「望むところよ。魔王さん」

 

 

 

 

 

 

涼音:「でさ・・・」

 

 

 

蓮翔:「何だ? まだあるのか?」

 

 

 

涼音:「私、失恋のショックに備えて、1週間、会社に休み貰ったのだけど・・・」

 

 

 

蓮翔:「そりゃあ、長い休みだな~」

 

 

 

涼音:「馬鹿! この休みどうしたら良いのよ!」

 

 

 

蓮翔:「じゃあ、思い切って今から、新婚旅行に行くか! 俺も偶然だけど、1週間休みあるし」

 

 

 

涼音:「は!?」

 

 

 

蓮翔:「結婚式の前に、新婚旅行ってのも可笑しいけど、まっ、何とかなる!」

 

 

 

涼音:「あのね・・・。用意も何もしてないし、どうするのよ・・・」

 

 

 

蓮翔:「行く? 行かない? どっちなんだ? はっきりしろ!」

 

 

 

涼音:「今の発言でわかったわ」

 

 

 

蓮翔:「え?」

 

 

 

涼音:「蓮翔さん、貴方は私の夫として・・・」

 

 

 

蓮翔:「まだ、それ続けるのか?」

 

 

 

涼音:「勿論よ! おみコンマスターは卒業したけど・・・、夫婦マスターの座は、まだまだこれからよ!」

 

 

 

蓮翔:「仕方ない。その勝負、受けて立ってやる!」

 

 

 

涼音:「負けないんだから!」(笑顔で微笑む)

 

 

 

 

 

 

終わり