Liber
作者 片摩 廣
登場人物
久世 さやか(くぜ さやか)・・・ 四宮 セイゴ達の前に現れた女性
織田 アイリ(おりた あいり)・・・ 四宮 セイゴの彼女
四宮 セイゴ(しのみや せいご)・・・ 織田アイリの彼氏
瀬戸 キョウスケ(せと きょうすけ)・・・ 織田アイリと四宮 セイゴの同僚
実は・・・???
比率:【2:2】
上演時間:【60分】
台本名、Liber
※リベル
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CAST
久世 さやか:
織田 アイリ:
四宮 セイゴ:
瀬戸 キョウスケ:
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織田:「セイゴ! おっはよ~う!」
四宮:「アイリ、朝から元気一杯だな・・・」
織田:「人一倍元気なのは、私の取り柄だもん! それより~、もうすぐクリスマスイヴだよ」
四宮:「またその話か・・・。当日は、皆、仕事なんだ。・・・だからパーティーなんて出来ないよ」
織田:「何よ! セイゴのケチ!!! 私は、皆でパーティーじゃなくて、二人っきりで・・・」
四宮:「何か言ったか?」
織田:「何でもないよ~だ!! この鈍感!!!」
四宮:「鈍感ってなんだよ」
織田:「さあね~」
瀬戸:「よっ! 相変わらず、朝から元気だな~」
四宮:「瀬戸、目の下のクマ、凄いな。さては、また徹夜かよ?」
瀬戸:「いや、ちゃんと寝たよ。寝ながら、今やってるゲーム、何処まで行けるか試してただけだ」
織田:「それ、完全に寝てないし。そんな事ばかりしてるから、女性からモテないのよ」
瀬戸:「織田みたいに、恋愛一直線ってのもな~」
織田:「ゲーム馬鹿より、ましよ。・・・それより、今日から新しい子、入るんだっけ?」
四宮:「もう、そろそろ来ると思・・・」
久世:「みんな! おっはよう~!!!」
瀬戸:「おは・・・」
織田:「よう・・・」
四宮:「・・・」
久世:「もう~、皆、朝は元気じゃなくっちゃ駄目よ~。ほらっ、元気元気っ!!!」
織田:「とは、言ってもね~」
瀬戸:「えっと、君が今日から、入る・・・」
久世:「やだ私ったら・・・。今日から、この会社に入社しました久世 さやかです! おっちょこちょいな部分もありますが、
元気なのは、誰にも負けません! よろしくお願いしま~す!」
織田:「うわっ・・・。キャラ、モロ被り・・・」(小声)
瀬戸:「織田、落ち着け」(小声)
四宮:「元気一杯だね。僕は四宮 セイゴ。こっちの子が、織田 アイリ。そして、そっちのが、瀬戸 キョウスケだよ。よろしくね」
久世:「紹介・・・、ありがとう・・・」
織田:「良い雰囲気の所、ごめんね~。私は、織田 アイリよ。これでも、この部署のチームリーダー、やってるの」
久世:「良かった~! アイリちゃんだね! よろしくね!」
織田:「よろしく・・・」
瀬戸:「おい、セイゴ・・・」
四宮:「何だよ?」
瀬戸:「こりゃあ、面白い事になるかもな・・・」
四宮:「どういう意味だ?」
瀬戸:「見てたらわかるよ。この先な・・・」
久世:「・・・」
四宮:「ん? 俺の顔に何か付いてる?」
久世:「・・・やっと、巡り合えた・・・。この時を、ずっと待っていたよ・・・」
四宮:「え? ・・・俺達、何処かで会った事、あるっけ?」
瀬戸:「おいおい、何だよ、何だよ・・・。ひょっとして、何処かで二人は、出会ってたのか!?」
織田:「何それ!? セイゴ・・・、ちゃんと説明して・・・」
四宮:「それが・・・、何処で会ったのか、記憶に無くてさ・・・」
織田:「はぁ~~~!!!!?」
久世:「セイゴは・・・、覚えてないかもしれないけど・・・、私は、あの時の約束、ちゃんと覚えてるからね・・・」
織田:「ちょっと、久世さんだっけ? さっきから、訳が分からない事ばかり、発言してるけど、
私達の分かるように、説明してくれないかしら?」
久世:「駄目・・・。これは、セイゴと私の二人だけの秘密だもん・・・」
織田:「むっか~!!! あっそ!!! 御勝手に!!! ・・・キョウスケ、行くわよ!!」
瀬戸:「え? 俺・・・!?」
織田:「午後からの会議の資料、作るから手伝って!!!」
瀬戸:「えええええ~!!!」
織田:「何よ、その返事。・・・ほらっ、行くわよ」
瀬戸:「いててててて・・・!!! 耳、引っ張るの止めろよ~・・・!!!」
間
久世:「ふふふ・・・。二人共・・・、相変わらず、仲が良いな~・・・」
四宮:「久世さんは・・・」
久世:「その呼び方、他人行儀で嫌。・・・さやかって呼んで良いよ」
四宮:「会ったばかりの人、名前で呼んだりは出来ないよ・・・。
それよりも、久世さんは、アイリとキョウスケにも、会ったことがあるのか?」
久世:「うん・・・、あるよ・・・。
・・・どう説明したら納得してもらえるか分からないけど・・・、二人と仲が良かったの・・・。
あんな風に、アイリがキョウスケの耳、引っ張りながら連れて行くのも・・・、
久しぶりに見れたから、つい懐かしくなっちゃった・・・」
四宮:「・・・君は一体・・・」
間
織田:「もう!!!! 何なのよ!!! 久世 さやか・・・、久世 さやか・・・。あ~~~、駄目だ!!!
初めて会ったはずなのに・・・、何でこんなにイラつくのよ~・・・!!!」
瀬戸:「なぁ、アイリ・・・」
織田:「何!!!!?」
瀬戸:「顏、怖っ!!!!」
織田:「何ですって~!!!」
瀬戸:「そんなに眉間に皺ばかり寄せてたら、セイゴに嫌われるぜ」
織田:「そんな事、分かってるわよ・・・。ねぇ・・・、あの二人・・・、何処で出会ったんだろうね・・・」
瀬戸:「セイゴは、覚えてないみたいだけど、あの子は、何か意味深な言葉ばかりだったな・・・」
織田:「・・・セイゴに限って、浮気なんてしてないわよね・・・」
瀬戸:「どうだろうな~・・・。あいつも男だから、浮気も~」
織田:「キョウ~・・・スケ~・・・!!!!」
瀬戸:「わ~!!!! 冗談だって!!! セイゴは、そんな事、出来る根性、無いよ・・・!!!」
織田:「当然よ!!! セイゴは・・・、私の彼氏で、最高の相手なんだから・・・」
瀬戸:「お熱い事で・・・。・・・所でさ・・・」
織田:「何よ」
瀬戸:「会議の資料、作るんだよね?」
織田:「そうよ」
瀬戸:「此処、屋上だけど・・・」
織田:「分かってるわよ!!! 少し、叫びたくなったから来ただけよ・・・。
あ~スッキリした~!!
ほらっ・・・、資料作りに行くわよ・・・!!」
瀬戸:「おっと、耳は引っ張らせないからな」
織田:「あっそ・・・」
間
久世:「・・・ねぇ、セイゴ・・・。・・・本当に何も覚えてない・・・?」
四宮:「・・・ごめん・・・。・・・悪いけど、覚えてないよ・・・。俺達、一体、何処で・・・」
久世:「はぁ~・・・。・・・今回も駄目なんだね・・・。・・・どうして上手く行かないのかな・・・。もう良い・・・。
・・・ねぇ、聞いてるんでしょう!!! 此処も違ったから終わらせて・・・」
四宮:「終わらせる・・・? 何を言ってるんだ・・・。・・・ん!? 地震か・・・!?」
久世:「相変わらず・・・、対応は早くて助かるよ・・・」
四宮:「何してるんだ!? 早く逃げないと!!!」
久世:「大丈夫・・・。すぐに終わるから・・・」
四宮:「え!?」
間
織田:「やだ!? 地震!? ・・・かなり大きいわよ!!!!」
瀬戸:「・・・」
織田:「聞いてるの!? ねぇ、キョウスケ!!!!」
瀬戸:「え? 何!?」
織田:「もう、たまにぼーっとしてる性格なのも分かるけど、こんな時は、しっかりして!!!」
瀬戸:「悪い、考え事してた・・・。うわ!!! 何で揺れてるんだ!?」
織田:「地震だからでしょ!!! ほらっ、逃げるわよ!!!」
瀬戸:「おう!!!!」
間
四宮:「揺れが落ち着かない・・・!!! このままじゃ、此処も・・・」
久世:「大丈夫だよ・・・。痛みは一瞬だもん・・・」
四宮:「何を言ってるんだ!!! 死んだら、終わりだろう・・・!?」
久世:「死ぬ・・・。・・・死より辛い事なんて・・・沢山・・・」
四宮:「天井に亀裂が・・・!? 危ないっ!!!!?」
久世:「セイゴ・・・。・・・またね・・・」
四宮:「くそっ!!! 間に合えええええええええええええええええええ!!!!!」
(天井が崩壊して、二人は巻き込まれる)
長い間
織田:「・・・起きろ・・・。いつまで寝てるんだ・・・。・・・キョウスケ!!!」
四宮:「・・・はっ!? 危ない!!!!」
織田:「は? ・・・一体、何が危ないんだ? もしや、敵か!?
・・・。(辺りを見回す)
・・・何だ、敵なんて、何処にもいないでは無いか・・・」
四宮:「敵・・・? アイリ・・・、一体、何を言ってるんだよ・・・。おい、お前、その恰好・・・」
織田:「この格好がどうした・・・? 別に普通だが・・・」
四宮:「アイリに、サバゲーの趣味があったとはな~・・・。そのライフルも、本物みたいだ・・・」
織田:「おい、さっきから、何を訳が分からない事、言ってるんだ・・・」
瀬戸:「織田隊長!!! 只今、戻りました!!!」
織田:「おう、戻ったか!!! 偵察、御苦労だった・・・。それで、敵の動きは・・・?」
瀬戸:「・・・この基地から距離にして、約15kmの地点まで、進行して来てます・・・」
織田:「・・・もう、そんな所まで・・・。・・・ん? あいつは何処にいる?」
久世:「隊長、私なら此処に!!!」
四宮:「久世、無事だったのか!?」
久世:「・・・」
織田:「久世隊員・・・敵国への侵入、ご苦労だった・・・」
久世:「隊長・・・、敵国は、新しい生物兵器の研究を終えようとしてます・・・。
・・・私が持ってきた、この資料を御確認下さい・・・」
織田:「うむ・・・。・・・。・・・なるほど、この生物兵器は不眠不休で・・・、再生能力もあるのか・・・。
これ程までとは・・・。・・・此処も危ないかもしれないな・・・」
瀬戸:「隊長・・・、風の噂では・・・、遥か彼方に、古の古代兵器が眠っているとか」
織田:「・・・遥か昔からの伝承に過ぎない・・・。そんな非科学的な物に頼る訳には・・・」
久世:「ですが、このままでは、この基地も3日と持たずに、攻め入られ滅ぼされます・・・」
織田:「うむ・・・」
四宮:「あの~・・・。・・・さっきから、何を言ってるか、理解が出来ないから、説明して欲しいのだけど・・・?」
瀬戸:「説明だと? おい、セイゴ、一体、どうしたんだ!?」
四宮:「御前の方こそ、どうしたんだ? 敵国・・・、潜入・・・。意味が分からない・・・」
瀬戸:「・・・隊長、セイゴは、どうしたんですか・・・?」
織田:「それが、私にもさっぱり分からないのだ・・・。さっき、起こしに行ったら、この状態で・・・」
瀬戸:「まさか!? 敵国の開発した神経ウイルスに感染したのでは・・・?」
織田:「なるほど・・・。念には念を入れておくか・・・。・・・久世隊員、四宮隊員を、医務室へ連れて行き、治療を頼む」
久世:「分かりました。・・・さぁ、こっちよ。・・・付いてきて・・・」
四宮:「あぁ・・・」
間
久世:「さぁ、此処よ・・・。そこの医療ポッドに寝て頂戴」
四宮:「・・・久世・・・だよな・・・?」
久世:「・・・此処なら二人っきりだし・・・、大丈夫かな・・・。ええ、そうよ・・・。
・・・言ったでしょう? 痛みは一瞬だって・・・」
四宮:「俺達・・・、あの後・・・」
久世:「会社の天井が崩壊して・・・、下敷きになったわ・・・」
四宮:「じゃあ、俺達は、死んだのか・・・?」
久世:「・・・理論上、死んだ事になるのかしら・・・」
四宮:「・・・なら、此処は死後の世界なのか・・・。・・・酷い世界だな・・・」
久世:「・・・セイゴと一緒に居られるなら、こんな世界でも・・・私は良いの・・・」
四宮:「俺は、悪いけど・・・、こんな世界はごめんだ・・・」
久世:「そうよね・・・。・・・私も、最初は同じ気持ちだった・・・。
でもね・・・、2年も此処に居たら、嫌でも、慣れちゃうものよ・・・」
四宮:「2年だと!? ・・・俺には、つい、昨日の事にしか・・・」
久世:「・・・セイゴの居ない2年間・・・。覚悟はしてたけど・・・、辛かった・・・。
アイリとキョウスケは、別人みたいに変わってたけど・・・、
唯一、耳を引っ張ったりは・・・、変わってなくて、ホッとしたの・・・」
四宮:「・・・久世、・・・君は・・・、俺と何処で出会ったのか、教えてくれないか・・・?」
久世:「・・・」
四宮:「お願いだ・・・」
久世:「セイゴ・・・、私ね・・・!」
織田:「久世隊員、・・・四宮隊員の症状は、どうだ?」
久世:「検査は、これからですが、恐らく・・・、軽い記憶喪失かと・・・」
織田:「記憶喪失・・・。くっ・・・。
何としても・・・、記憶の回復をするのだ・・・。・・・全く・・・、今は、一人の戦力も欠かせないというのに・・・」
久世:「ふう・・・、どうやら、作戦室に戻ったみたいね・・・」
四宮:「・・・さっき、俺の居ない2年間と言ってたが・・・、二人は俺の事、知ってるのは何故なんだ?」
久世:「言葉が足らなかったようね・・・。・・・正確には、この世界にも、貴方は既に存在していた・・・。
でも、私の事は知らない別人で・・・、まるでゲームのモブのように、この世界で戦争に参加していたわ・・・。
・・・昨日までね・・・」
四宮:「・・・今朝、俺がこの世界に来た事によって・・・、中身が入れ替わったのか・・・?」
久世:「入れ替わった・・・。或いは、上書きされた・・・と言う事かしら・・・」
四宮:「なるほど・・・」
久世:「さっきの質問だけど・・・」
瀬戸:「よっ! 久世・・・、ちょっと良いか?」
久世:「何か用なの?」
瀬戸:「作戦室に、来てくれないか?」
久世:「隊長の命令・・・?」
瀬戸:「あぁ・・・。敵国の生物兵器について、分からない事、教えて欲しいそうだ」
久世:「分かった、すぐに行くわ・・・。ごめんなさい・・・、四宮隊員・・・。
この医療ポッドは自動で動くように設定してあるから、検査が終了したら、向こうにある部屋で待っていて・・・」
四宮:「分かった、そうする・・・」
久世:「さっ、瀬戸隊員、行くわよ」
瀬戸:「あぁ」
間
(作戦室に向かいながら、話し合う二人)
久世:「はぁ・・・、どうして上手く行かないの・・・」
瀬戸:「・・・気持ちは分かるよ・・・。この戦争・・・、いつになったら終わるんだろうな・・・」
久世:「・・・瀬戸は・・・、この世界、どう思う・・・?」
瀬戸:「・・・夢だったら良いのにと思う事はあるぜ・・・。だが、現実逃避してばかりじゃ、戦争は終わらないだろう?
例え、命がけになったとしても・・・、この先の未来の為になるなら・・・、俺は死んでも構わないと思ってる・・・」
久世:「死ぬのが怖くないの・・・?」
瀬戸:「・・・怖いさ・・・。怖いに決まってるだろう・・・。
でも・・・、自分の死より・・・、大好きな人の死を間近で見る方が、もっと怖い・・・。
だから・・・、俺は、そうならないように、全力で守るって決めたんだ・・・」
久世:「・・・同じね・・・。私も、大事な人を守りたい・・・。生きて一緒に過ごしたい・・・。ただ、それだけなのに・・・」
瀬戸:「久世・・・」
織田:「二人共、呼び出して済まない・・・。・・・座ってくれ・・・」
久世:「隊長、生物兵器について、分からない事とは・・・?」
織田:「このファイルを見てみろ・・・」
久世:「こんなファイル・・・、見た事がありません・・・。一体、何処に・・・」
織田:「余程、重要な事なんだろう・・・。・・・厳重にプロテクトが施されていた・・・」
瀬戸:「中身は見たのですか?」
織田:「あぁ・・・。・・・とても信じられないが・・・、私は、真相を確かめる事にした・・・」
久世:「これは、まさか・・・!? そんな事はあり得ないわ・・・」
瀬戸:「・・・嘘ですよね? こんな事が・・・!? じゃあ、俺達の今までは・・・?」
織田:「・・・もしかしたら、私達は、最初から、踊らされていただけなのかも知れないな・・・」
久世:「・・・こんな情報、嘘です!?」
織田:「嘘かどうかは・・・、本人に聞いてみようじゃないか・・・。瀬戸隊員、彼を呼び出したまえ」
瀬戸:「はっ! 直ちに・・・!」
久世:「こんなの、信じられない・・・」
間
四宮:「おい・・・、何をそんな怖い顔してるんだよ・・・。此処は?」
瀬戸:「連れてきました・・・!!」
織田:「ご苦労・・・! さて・・・、四宮隊員・・・、説明して貰おうか・・・。
これは一体、どういう事だ!?」 (ファイルを巨大ディスプレイに映し出す)
四宮:「・・・この写された資料が何だってんだ? 俺は、何も知らない・・・」
織田:「ほう・・・。とぼけるつもりか・・・。瀬戸隊員!!」
瀬戸:「はっ! ・・・資料によりますと・・・、敵国の新しい生物兵器は・・・、
以下に記した死亡し回収した人物のDNAを元に、作成し・・・、実用すると書かれいます・・・。
・・・死亡者の名前は・・・、四宮 セイゴ・・・」
織田:「ご苦労・・・。瀬戸隊員・・・」
四宮:「死んだなんて嘘だ・・・、俺はこうして、生きてるじゃないか・・・」
織田:「・・・敵国の技術は恐ろしいものだ・・・。本物の四宮 セイゴ、そのままに見えるのだからな・・・」
四宮:「・・・馬鹿を言うな・・・! 俺は死んでない!? 本物の・・・、四宮 セイゴだ!!!」
瀬戸:「・・・織田隊長、続きを読みますか・・・?」
織田:「結構だ・・・。そんな物、もう、必要ない・・・」
久世:「はっ!? セイゴ、逃げてえええ!!!」
織田:「からな!!!」 (セイゴに向けて銃を撃つ)
四宮:「危なっ! いきなり何するんだ!!!」
織田:「決まっている! 貴様を処分するんだ!!! この・・・、敵国の生物兵器めええええええ!!!!」 (銃を撃ち続ける)
四宮:「くそっ・・・!!! このままじゃ、殺される・・・」
久世:「こんなの・・・嫌・・・。お願いだから、もう止めてえええええええ!!!」
四宮:「久世、馬鹿、こっちに来るな!! 離れろ!!!」
久世:「うっ!!!!」
四宮:「久世えええええええええええええええええ!!!!」
織田:「敵国の生物兵器を庇うなど、愚かな・・・」
四宮:「久世!!! 久世!!! しっかりしろ・・・!!!」
久世:「セイゴ・・・。・・・ごめんね・・・。・・・この世界でも・・・、一緒に居られない・・・」
四宮:「馬鹿・・・、もう、喋るな・・・。・・・早く、手当を・・・」
久世:「・・・でも、諦めない・・・。いつか、貴方と一緒に・・・」
四宮:「久世・・・、おい、駄目だ!!! 逝くな!!!」
織田:「安心しろ・・・。貴様も、すぐ、向こうで会える・・・!」
四宮:「え・・・?」
(銃声)
間
瀬戸:「おいっ・・・!!! セイゴ!!! 大丈夫か!?」
四宮:「んん・・・。あれ? 俺、アイリに、撃たれたんじゃ・・・」
織田:「はぁ? 何よ、輪ゴム鉄砲で撃っただけじゃない・・・、大げさよ・・・」
瀬戸:「とは言ってもな、脚立に上ってる相手に撃ったら、驚いて転ぶだろう? 少しは考えろよ・・・」
織田:「悪かったわよ・・・。あ~あ、いつになったら、準備、終わるのよ~!!」
瀬戸:「ボヤいていても、終わらないんだ・・・。皆、気合入れて、用意、頑張るんだ」
四宮:「此処は・・・、学校の教室・・・?」
久世:「セイゴ・・・、大丈夫? 頭、打ったりしてない?」
四宮:「久世・・・、無事だったのか・・・?」
久世:「無事? 一体、何の事・・・?」
四宮:「久世・・・、覚えて無いのか・・・?」
織田:「ちょっと、そこの二人!!! 何、良い雰囲気になってるのよ!!!」
瀬戸:「そうだ、そうだ。・・・幾ら、今度の文化祭で、主役とヒロインに選ばれたとしても、
その準備をサボって言いわけにならないんだからな・・・!!」
織田:「そう、その通り。たまには良い事、言うじゃん! 家来Aと森の木B!」
瀬戸:「褒めてくれて、ありがとうよ! 魔女!!!」
四宮:「文化祭で・・・、俺が主役・・・」
瀬戸:「おい・・・、本当に大丈夫かよ・・・?
・・・アイリ・・・、主役のセイゴが、こんなんじゃ、文化祭の舞台・・・、出来ないぜ・・・」
織田:「仕方ないわね・・・。ほらっ、セイゴ・・・。・・・保健室に、行くわよ・・・!!!」
四宮:「・・・痛っ・・・。おい・・・、耳を引っ張るの止めろよ・・・!」
久世:「ふふふ・・・。二人共・・・、仲が良いんだ・・・から・・・」
瀬戸:「久世・・・、どうかしたか?」
久世:「あれ、何か・・・違う・・・。・・・アイリと仲が良いのは・・・、セイゴじゃなくて・・・」
瀬戸:「久世・・・、思い出さなくて良いんだよ・・・。
君は・・・、殺伐とした世界では無くて、皆と笑いあえる世界を望んだんだろう・・・?
だったら、今が、楽しい世界じゃないか・・・」
久世:「そう・・・。私は・・・、皆と・・・」
間
織田:「ほらっ・・・、セイゴ、此処に座って・・・。・・・えっと確か、ここら辺に救急箱が・・・」
四宮:「良いよ。自分で手当てくらい出来る・・・」
織田:「お願い・・・、手当くらいさせてよ・・・」
四宮:「アイリ・・・。・・・分かった・・・」
織田:「・・・ありがとう・・・」
四宮:「・・・」
織田:「・・・」
四宮:「・・・あの」
織田:「セイゴは・・・、アイリの事・・・、どう思ってる・・・?」
四宮:「何だよ、いきなり!?」
織田:「良いから、答えて・・・!!」
四宮:「・・・。・・・嫌いじゃないよ・・・」
織田:「何それ・・・、そんな答えなら・・・、いっそ、嫌われた方がましじゃない・・・」
四宮:「・・・嫌いになれるわけないだろう・・・。だって、俺達は・・・」
織田:「・・・親友だからでしょ・・・。・・・今の私にとっては、残酷な呪いの言葉だよ・・・」
四宮:「・・・アイリ・・・、ごめん・・・。・・・俺には、好きな人が・・・」
織田:「はい・・・。手当、終わり・・・。・・・あ~あ、振られちゃった~・・・。
・・・最後まで、言わなくても分かるよ・・・。・・・久世の事が好きなのよね?」
四宮:「あぁ・・・、そうだ・・・」
織田:「薄々、気付いてたけど・・・、本人から直接は、やっぱりきついな~・・・。
もう、疲れたよ・・・。
あ~あ・・・、明日、世界が滅んだら・・・、この苦しみも・・・、何もかも、消えて無くなるのかな~・・・」
瀬戸:「・・・アイリ、君は、心から、そう願うのかい?」
四宮:「キョウスケ、いつの間に!?」
織田:「うん、望む・・・。こんな世界、もう、どうでも良い・・・」
瀬戸:「願いは、聞き届けたよ・・・。さぁ・・・、時は満ちた。・・・世界を終わらせよう!!!!」
四宮:「キョウスケ、お前、何を!!! くそっ、また地震か!?」
瀬戸:「地震? いいや、違う・・・。世界が崩壊していっているんだ・・・。そこから外を見てごらん」
四宮:「・・・街が、灰色に変わって消えていく・・・」
瀬戸:「・・・そう・・・、あの時のようにね・・・」
久世:「セイゴ!!! 無事!?」
四宮:「久世・・・?」
瀬戸:「おやおや・・・、どうやら、記憶を取り戻したようだね・・・」
久世:「ええ、取り戻したわよ・・・。・・・キョウスケ・・・。いや・・・、創造主よ・・・。
私達を一体、どうする気なの!?」
瀬戸:「・・・どうするも何も・・・。君達、人間が望む世界を与えようと、努力してるのではないか・・・」
久世:「だったら、私は・・・、セイゴ達と幸せに暮らせる世界を望むわ!!!」
四宮:「久世・・・」
瀬戸:「君達は、本当に興味深い人間だね・・・。・・・そう思わないかい? アイリ・・・」
織田:「残念・・・。もう、楽しむ時間は終わりって事ね・・・。
セイゴ、好きになったり・・・、敵対したり・・・、二人に対する試練としては頑張った方よね?」
瀬戸:「あぁ・・・、予想以上の活躍だったよ・・・」
四宮:「試練・・・? じゃあ、その試練は、いつ終わるんだ? それと、俺達は、本当に生きてるのか・・・?」
瀬戸:「試練は、もう、これで終わりだ・・・。生きてるかに関しては、何処から説明すれば良いだろうね。
簡単に言うと・・・君達は、クリスマスイヴの日に、死んだんだよ」
久世:「・・・」
瀬戸:「正確には・・・、この地球、そのものが消えたから・・・、全ての人間がだがね・・・」
四宮:「・・・一体、何が起きたんだ・・・?」
瀬戸:「当時の出来事を見せる事は出来るが・・・、見たいかい?」
四宮:「あぁ、見たい・・・」
瀬戸:「良かろう・・・。では、心して見るが良い・・・」
四宮:「・・・あれは、俺達だ・・・。・・・クリスマスイヴを楽しんでる・・・」
瀬戸:「あぁ、その通りだ・・・」
間
織田:「・・・皆、グラスは行き渡ったかしら?」
瀬戸:「おい、アイリ・・・。俺のグラスが無いぜ・・・」
織田:「ごめ~ん、忘れてた・・・」
瀬戸:「おいおい・・・」
久世:「はい、キョウスケ」
瀬戸:「サンキュ・・・、さやか」
織田:「今度こそ、皆に生き渡ったわね・・・。それじゃあ、改めまして、カンパ~」
四宮:「おい、皆、外を見てみろ!!!?」
織田:「ちょっと、セイゴ!!! 乾杯の邪魔しないで・・・よ・・・。嘘・・・、何よ、あれ・・・」
瀬戸:「おい、嘘だろう!!! 地面が裂けて、ビルが次々と、倒れて飲み込まれていく・・・!!」
織田:「何の冗談なのよ・・・!! 此処もやばいわ・・・。皆、急いで逃げるわよ・・・!!」
瀬戸:「おう!!!」
四宮:「あぁ!!!」
久世:「うん・・・!! ・・・あっ、アイリ・・・、そこ、危ない!!」
織田:「え!? 嘘でしょ・・・。きゃあああああ!!!! 落ちる!!!!」
瀬戸:「アイリいいいいいいいい!!! 俺の手に掴まれ・・・!!!!」
織田:「キョウスケ・・・!!!!」
瀬戸:「・・・くっ・・・、・・・絶対に、この手、放すなよ・・・」
織田:「うん・・・!!」
四宮:「二人共・・・、頑張れ!!! 今、手を貸しに行く!!!」
久世:「はっ・・・、セイゴ、駄目!!!! 天井が!!! 危ない!!!」
四宮:「え!? うわあああああ!!!!」
瀬戸:「セイゴ~!!! さやか~!!!! くそっ・・・」
織田:「ねぇ・・・? 二人は、無事なの・・・!? ねぇ、答えて!!!?」
瀬戸:「・・・分からない・・・。二人の上に瓦礫が落ちて来て・・・。くそっ・・・」
織田:「そんな・・・」
瀬戸:「良いか? 俺達だけでも、生き残る事、考えるんだ・・・。大丈夫、きっと、助かる・・・」
織田:「危ない、キョウスケ、上っ!!!」
瀬戸:「え!? ・・・ぐはっ!!!」
織田:「キョウスケ!!!」
瀬戸:「へへ・・・、大丈夫だ・・・。瓦礫が少し・・・、当たっただけだから・・・、うっ・・・」
織田:「キョウスケ・・・!!! 手の力が・・・。 きゃああああああああああ!!!!」
瀬戸:「すまない・・・。・・・アイリ・・・」
織田:「・・・謝らないで・・・。・・・キョウスケと一緒なら・・・、私・・・」
織田:(M)「・・・何も出来ずに、死ぬのなんて嫌・・・? お願い・・・、神様・・・。
・・・私は、どうなっても良い・・・。・・・キョウスケと皆は助けて・・・!! お願い!!!」
間
四宮:「・・・痛っ・・・。くそっ、瓦礫が・・・。・・・さやか、無事か・・・!?」
久世:「・・・セイゴ・・・、聞いて・・・。此処も、もう持たない・・・。・・・早く逃げて・・・」
四宮:「・・・それなら一緒に・・・!!」
久世:「駄目・・・、瓦礫で塞がれて、そっちに行けない・・・。私の事は良いの・・・。・・・だから早く・・・」
四宮:「そんなの駄目だ!!! 待ってろ・・・。今、誰か助けを呼んでくるから!!!」
久世:「・・・セイゴ・・・。・・・何で、こんな事に・・・。
・・・今日は・・・、セイゴに・・・、私の思い・・・、伝えるはずだったのに・・・な・・・。
お願い・・・神様・・・。・・・セイゴと一緒に幸せに暮らせる世界に・・・」
間
四宮:「そうだ・・・思い出した・・・。俺は、それから、人を呼びに行ってる間に、床が倒壊して・・・」
瀬戸:「全員、死んだ・・・。そこで、君達、人類は終わるはずだった・・・」
久世:「だが、違った・・・、でしょ?」
瀬戸:「その通りだ・・・。織田 アイリと・・・、久世 さやか、君の強い望みが・・・、創造主である私に、届いたのだ」
織田:「創造主はね・・・私達、人間を創り出し、今まで見守って来たのだけど・・・。
人間の愚かな行動によって、地球は汚染されて、その命を削る一方だったのが、悲しかったみたいなのよ・・・。
だから、こう考えた・・・」
瀬戸:「あぁ、その通り。だから・・・このまま苦しませるくらいなら・・・、せめて、一瞬で滅ぼそうと考えていた・・・」
織田:「そう・・・。滅ぼして・・・、また違う新たな人種を作る予定だったのよね?」
瀬戸:「・・・そのはずだったが・・・、君達、二人の願いを見て・・・、こう思った・・・。
・・・もう一度、君達にチャンスを上げようと・・・」
織田:「でも、ただ上げるだけでは、駄目だと思った創造主は、私に貴方達、二人の試練役に抜擢したのよ。条件付きでね」
四宮:「条件だと?」
織田:「・・・試練の間、キョウスケと一緒に過ごせるようによ。
・・・但し・・・、試練の間は、私自身の、記憶はリセットされる条件付きだけど・・・」
瀬戸:「・・・記憶があるままでは、いつ君達に、私の事を伝えるか、分からなかったからね・・・。
・・・ただ、一方的では悪いと思ったので、私も、この瀬戸 キョウスケの中で、
二人が試練を乗り越えるのを・・・、静かに見守っていたのだよ・・・」
織田:「そういう事・・・。・・・そして、もう一つ・・・。
貴方達、二人が新たに創造する世界で、・・・キョウスケと一緒に幸せに暮らせる条件・・・。この二つよ・・・」
四宮:「俺達が、創造する世界・・・」
久世:「ええ、私達・・・、二人で造るのよ・・・。その為に、今までの試練に耐えたのだから・・・。
・・・貴方と離れさせられたり・・・、死別したり・・・、大変だったんだから・・・」
瀬戸:「我々の試練の数々に、よくぞ、乗り越えたものだ・・・」
四宮:「我々・・・?」
織田:「エへへ・・・。試練に、どんな世界が良いかは、創造主と私で、話し合って決めました~」
瀬戸:「・・・人間と考える世界も・・・、悪い物では無かったよ」
織田:「でしょう! ・・・もっと楽しみたい気持ちもあるけど・・・、二人の気持ちが通じ合った見たいだしね・・・」
瀬戸:「その通りだ・・・。さぁ・・・、久世 さやか、四宮 セイゴ・・・。時は満ちた・・・。
今こそ・・・、新たな世界を創造するのだ・・・!!」
織田:「どんな世界でも、キョウスケと一緒なら、私は構わないわよ。ほらっ、早く・・・!」
四宮:「・・・だとよ・・・。・・・どうする? さやか・・・?」
久世:「私は・・・、セイゴと一緒に・・・、新しい世界、造りたいな・・・。
そして、その世界で・・・、今度こそ・・・、一緒に幸せになりたい・・・!!」
四宮:「さやか・・・。・・・あぁ、分かった・・・。じゃあ、一緒に造ろう・・・。新しい世界を・・・!!」
久世:「ええ!!!」
四宮:「せ~~!!!」
久世:「の~っ!!!!」
織田:「うわああああああ~!!!! 見てみて~、綺麗~!!!」
瀬戸:「あぁ、・・・新しい世界の輝きだ・・・」
織田:「ねぇ? 創造主・・・」
瀬戸:「何だ? 人間よ」
織田:「貴方は、これから、どうなるの・・・?」
瀬戸:「私は・・・、この体・・・、瀬戸 キョウスケの中で、君達、人間がこれから先、
どのように世界を守っていくか、見届ける事にするよ・・・」
織田:「・・・安心して、私達は・・・、今度こそ・・・、守ってみせる・・・。ねっ?」
四宮:「あぁ、必ず!!」
久世:「そこから、安心して見守って居て頂戴!!」
瀬戸:「あぁ、そうさせて貰うよ・・・」
長い間
織田:「・・・ねぇ、起きて・・・。・・・ねぇ、セイゴってば!!!!」
四宮:「ん? ・・・此処は・・・?」
織田:「何、寝ぼけてるのよ・・・。電車の中じゃない・・・。・・・降りそびれたら、会社に遅れるわよ・・・」
四宮:「全部、夢だったのか・・・?」
織田:「・・・一体、何の話・・・?」
瀬戸:「おっ・・・、同じ電車だったのか・・・。ほほう、朝から、お熱いね~」
織田:「何、朝から変な事、言ってるのよ・・・! ・・・あっ、ほらっ、降りる駅よ・・・」
四宮:「あぁ・・・」
織田:「もう・・・、まだ、そんな調子なの・・・。ねぇ・・・、さやかからも言ってやってよ・・・」
四宮:「え? さやか・・・?」
久世:「ふふふ・・・、一体、どんな夢、見てたの? ・・・おはよう、セイゴ・・・」
四宮:「あぁ、おはよう・・・」
瀬戸:「お? 何だ、二人して微笑んじゃって・・・。・・・もしかして!?」
織田:「はいはい、そこまで!! 全く、キョウスケ・・・、あんたって人は!! ほらっ、降りるわよ!!!」
瀬戸:「痛たたたた!!! その耳を引っ張る癖、どうにかしろよ~!!!!」
織田:「うるさい!!! 黙って歩く!!!」
四宮:「はははは・・・」
久世:「・・・二人共、相変わらず、仲が良いんだから・・・」
四宮:「・・・さやか、その台詞・・・?」
久世:「ん? どうかした・・・?」
四宮:「なぁ・・・、俺達・・・、本当に、世界を・・・」
久世:「さぁ、それは、どうでしょうね~・・・!!」
四宮:「何だよそれ~・・・。でも、まぁ、良いか・・・。・・・世界は、こんなにも、平和なんだから・・・」
織田:「何してるの~!! 二人共、遅刻するわよ~!!」
瀬戸:「早くしないと、置いてくぜ~!!!」
久世:「今、行く~~!!! ・・・ほらっ、セイゴ、行きましょう!!!」
四宮:「あぁ!!!」
終わり
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