華麗なる罠 エピソード0
作者:ヒラマ コウ
登場人物
マイク:みんなにアホと言われてるが、実は凄腕のハッカー。
だが、実際はそうではなく、アホのフリして、ベンに近付き、ベンの仲間となる。
全ては、ベンに復讐する為に・・・。
ケイト:感情を表に出すのが苦手。だけど計算と距離や深さを的確にわかる才能を持つ。
眼鏡に三つ編み。
その姿は偽りで、実際の性格は、大胆不敵。
強欲で欲しい物、手にする為には、手段を選ばない。
比率:【1:1】
上演時間:【30分】
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CAST
マイク:
ケイト:
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マイク(M):「あの日の屈辱は、今も決して忘れない・・・。
ベンの、たった一言のせいで・・・、俺は・・・、
いや・・・、俺達、家族は・・・、何もかも失ってしまった・・・」
マイク(M):「俺はベンを・・・。ベンの大事な物、全て・・・! この手で、破滅させてやる・・・」
マイク(M):「その為には・・・、どんな手段も問わない。・・・そう、あの時、誓ったんだ・・・」
ケイト(M):「私は望まれて、産まれたわけではなかった・・・。
私の母は、大富豪の愛人として過ごし、その大富豪と母の間に出来たのが、私・・・」
ケイト(M):「世間からは、良き愛妻家と思われている陰では、母と会っては、情事を楽しんでいた・・・。
母は、その大富豪に夢中で、私には、愛情を向けてくれた事は無かった・・・
お金だけ、私に渡すと、さっさとそいつの元に行く母・・・」
ケイト(M):「だから私は・・・、世の中で信じられるのは、お金だけとなった・・・」
ケイト(M):「愛情なんて、ただの瞞(まやか)しだ・・・」
マイク:「華麗なる罠」
ケイト:「エピソード0」
間
(ビルの屋上から、潜入する屋敷の下見をしているマイク
そこにケイトが現れる)
マイク:「今回の下見は・・・こんな所かな」
ケイト:「ねぇ、貴方、同業者? そこは前から、私が狙ってた場所なんだけど」
マイク:「質問に答えるから、その銃は下ろしてよ・・・」
ケイト:「流石、同業者って感じね。振り向きもせず、銃、向けられてるのに、気付くなんて」
マイク:「君も、全く動揺しない感じからすると、相当、この業界で長そうだね」
ケイト:「えぇ。貴方が想像出来ないくらい、沢山、危険を潜り抜けたわ。
そういう貴方も、只者では無さそうね」
マイク:「それは、どういう意味かな?」
ケイト:「言葉通りよ。早く、その銃、しまって」
マイク:「へぇ~、銃、構えてる事に、よく気付いたね。褒めてあげるよ」
ケイト:「貴方に、近付こうとした時、物凄い殺気が周囲に溢れてたわ。それでよ。
まぁ、私程の腕じゃなければ、気付かず、撃たれてると思うけど」
マイク:「君、面白いね。・・・気に入ったよ」
ケイト:「気に入ってくれて良かった。なら、そのターゲットは、私に譲って」
マイク:「それとこれとは別・・・。俺にも、大事なターゲットだからね」
ケイト:「そう。・・・交渉決裂ってわけね。じゃあ、実力行使しかないかしら」
マイク:「俺相手に、実力行使・・・? それは止めといたら?」
ケイト:「どうして? 私が、負けるからとでも言いたいの?」
マイク:「その通り。・・・流石の君でも、気付いてないみたいだね」
ケイト:「何がよ?」
マイク:「遙か後方のビルから、スナイパーライフルで、狙われてる事に」
ケイト:「え!? 貴方、仲間が居たの!?」
マイク:「仲間・・・。確かに居るけど、今は居ない。俺、一人だ。
分からないなら、教えてあげるよ。
俺が作った、全自動操作出来るライフルさ。
・・・こうして背中越しでも、別の場所から、撮影してるドローンが、このビルの状況を教えてくれる。
その情報は、俺のコンタクトレンズに送られ、見れるってわけ。
だから、君が近付いた事なんて、最初からわかってたよ」
ケイト:「私も、運が悪いわね・・・。そう・・・。貴方が最近、業界を騒がしてる噂の・・・」
マイク:「・・・どうやら、俺の事は知ってるみたいだね。俺の名前は、マイク。
ねぇ、一つ質問良い?」
ケイト:「何かしら?」
マイク:「この業界は、危険と隣り合わせだ。なのに、そうまでして、選んだ理由はなんだい?」
ケイト:「復讐よ。世の中・・・。いいえ! ある大富豪を、破滅させる為に・・・。
だから、選んだ」
マイク:「復讐・・・。・・・それが君の理由か。どうやら、此処であったのも運命だったようだ。
俺も、友人への復讐の為、この道を選んだ。
ねぇ、俺達、手を組まない? 君となら、良い仕事が出来そうだよ」
ケイト:「条件があるわ」
マイク:「何だい?」
ケイト:「お互い、必ず目的を果たすまで、裏切らない」
マイク:「あぁ。約束するよ」
ケイト:「もし、裏切った時は、貴方を殺すわ」
マイク:「それで良いよ。俺も同じ事、考えてたから。じゃあ、交渉成立っと。
詳しくは、また今度、話し聴かせてよ。そろそろ仲間の元へ戻る時間だから」
ケイト:「わかったわ。じゃあ、これ私の連絡先。」
マイク:「ケイト・・・。良い名前だね」
ケイト:「私は、気に入って無いわ・・・。気に入るわけがない・・・」
マイク:「どうやら君も、闇が深そうだ。次会う時は、話し聞かせてよね」
ケイト:「考えとくわ。じゃあね」
マイク(M):「苦労したかいあって、やっと運が向いて来た。・・・これで、やっと始められるよ・・・」
間
(翌日 街中で歩いてるマイク)
マイク:「ベン!!! 悪いけど僕は、この後、用事あるから、ローガンとミッシェルに宜しくね。
じゃあ、また今夜!!!」
マイク(M):「(溜息)・・・ベンと居るのも楽しいけど、陽気なアホを演じるのは・・・、疲れるよ・・・」
(考え事して歩いてたせいか、女性とぶつかる)
ケイト:「きゃ・・・」
マイク:「ごめんね!!! 考え事して歩いてたから、気付かなかった・・・」
ケイト:「・・・いえ。・・・大丈夫です・・・」
マイク:「怪我してない!? あ~、僕とした事が、女の子に、酷い目、合わせるなんて・・・!!!」
ケイト:「・・・何処も怪我してないので・・・、平気です・・・」
マイク:「そっか~。なら良かった~! お詫びに、何か奢るよ。何が良い?」
ケイト:「そんな・・・。初めて会った人に・・・。そんな事まで・・・してもらう訳には、行きません・・・」
マイク:「遠慮は要らないよ~!!!」
ケイト:「でも・・・。・・・本当に、私・・・。・・・大丈夫ですので・・・」
マイク:「じゃあ、こういうのはどう? そこのホットドッグと珈琲、奢らせて。これくらいなら、良いでしょ?」
ケイト:「そこまで言うなら・・・」
マイク:「良かった。じゃあ、買ってくるから、そこで座って待ってて!」
ケイト:「・・・」
間
マイク:「お待たせ~!!! はい!!! どうぞ」
ケイト:「ありがとう・・・ございます・・・」
マイク:「ごめんね・・・。本当・・・」
ケイト:「もう大丈夫ですので・・・。謝らないでください・・・」
マイク:「君って、優しいね・・・。もっと怒っても良いのに」
ケイト:「わざとぶつかった訳では無いのですし、怒れませんよ・・・」
マイク:「へ~、珍しいタイプだね。・・・こんな都会だし、怒る人は、そこまで怒る!? ってくらい、
謝っても、許してくれない時もあるのに・・・」
ケイト:「そんな方も・・・、居るのですね・・・」
マイク:「そりゃ~もう、一杯居るよ!!! 余りに多くて、世の中から、抹消したいくらい!!!」
ケイト:「物騒な事、言わないでください・・・」
マイク:「ごめんごめん!!! 何かずっと、ストレス溜まってばかりでさ・・・」
ケイト:「私も・・・、同じです・・・。・・・上手くいかない事ばかりで・・・」
マイク:「はぁ~・・・」
ケイト:「はぁ~・・・」(同時に)
間
マイク:「もう・・・。同時に溜息、つかないでよ・・・」
ケイト:「そちらこそ・・・」
(笑い合う二人)
マイク:「僕達、何か、気が合いそうだね!」
ケイト:「そうかも・・・しれませんね」
マイク:「また、何処かで会えると良いな~」
ケイト:「そうですね・・・」
マイク:「じゃあ、僕、そろそろ行くね」
ケイト:「お互い、頑張りましょう・・・」
マイク:「うん!、じゃあね~!」
ケイト:「はい・・・」
間
マイク(M):「あんな、純粋な子も居るんだ・・・。ああやって、無邪気に女の子と、笑うなんて・・・
久しぶりだな・・・。駄目だ、駄目だ・・・!
仕事モードに、戻らなきゃ・・・! ・・・ん? ケイトからか・・・」
ケイト:「今夜22時、この前の場所で、待ってるわ。 ケイト」
マイク(M):「・・・今夜か。・・・それにしても、大富豪と言ってたけど・・・。もしかしたら・・・」
間
(ビルの屋上 時間通り行くとケイトが待っていた)
ケイト:「あら、マイク。時間通りね」
マイク:「折角のデートのお誘い、遅れる訳にはいかないからね。当然だよ」
ケイト:「デート? へぇ~、そんなユニークな冗談も言えるんだ」
マイク:「ユーモアなセンスもなきゃ、生き残れないからね」
ケイト:「ふ~ん。所で・・・、いい加減、上空で待機させてるドローン、
何とかしてもらえないかしら?
監視されてるようで、気味が悪いわ」
マイク:「流石に学習したってわけか。・・・わかった」
(そう言うと、ドローンを手元に戻すマイク)
ケイト:「へぇ~、よく出来てるわね。・・・貴方の手作り?」
マイク:「半分は正解」
ケイト:「半分・・・?」
マイク:「残りの半分の技術は・・・、父さんの技術」
ケイト:「貴方の父は、技術者だったの?」
マイク:「ただの技術者じゃない・・・! ・・・世界で一番、優れていた技術者だ・・・。父さんは・・・、誇りだったよ」
ケイト:「誇りだった?」
マイク:「・・・事故で死んだんだ。母さんと共に・・・」
ケイト:「・・・」
マイク:「俺がもっと早く、止めていたら・・・、或いは生きていたかもしれない・・・」
ケイト:「一体、何があったの?」
マイク:「・・・ごめん。これ以上は言えない・・・」
ケイト:「そう・・・。わかったわ。と言う事は、両親の死が、復讐の理由?」
マイク:「あぁ、そうなるね」
ケイト:「・・・私達、似てるわね・・・」
マイク:「どういう事だい?」
ケイト:「詳しくは、話したくないわ。貴方だって、教えてくれないだもん。
それに・・・、思い出したくない過去でもあるの・・・」
マイク:「それが、君の闇の部分か。良いよ。詳しくは詮索しない。
僕達は、復讐という絆で結ばれたパートナーだ。
仲良くしよう」
ケイト:「ええ。良いわよ。お互いの復讐を達成する為に。それで、復讐したい相手って誰かしら?」
マイク:「ベン。・・・君もこの業界が長いなら、名前くらい知ってるだろう。
B&Mカンパニーの御曹司さ」
ケイト:「B&Mカンパニー!?」
マイク:「あぁ。・・・その驚き方からすると、君の復讐の相手も・・・」
ケイト:「えぇ・・・。B&Mカンパニーに関係してるわ・・・」
マイク:「なら話しが早い。・・・やっぱり俺達って、巡り合う運命だったのかも、知れないね」
ケイト:「そうね。・・・神様のお導きかしら」
マイク:「君、神様なんて信じてるの?」
ケイト:「一応ね。そんな貴方は、信じて無いって口調ね」
マイク:「あぁ。信じて無いよ。・・・居たとしたら、あって文句が言いたいくらいだよ。
どうして、こんな苦痛ばかりの人生、与えたんだって」
ケイト:「貴方って正直ね。気に入ったわ。良いパートナーになってくれそう」
マイク:「まぁ、これだけは保証するよ。決して、退屈はさせないって」
ケイト:「わかったわ。楽しみにしてる。それで、どんな計画なのか、聞かせて頂戴」
マイク:「計画だけど、まず大事なのは、きっかけを作り、近付く事。
それでなんだけど、君、何か得意な事あるかい?」
ケイト:「得意な事・・・。ある事は、あるけど、今すぐには、見せられないわ」
マイク:「オッケー。じゃあ、それは後回しだ。そのきっかけによって、
君には、俺達のチームに入ってもらう。
あくまで、それを決めるのはベンだから、ベンが気に入るような役立つ能力が良いだろうね」
ケイト:「他のメンバーの事教えてくれないかしら? それと、何か得意な事、能力は持ってるとかも」
マイク:「オッケー。メンバーは全員で4人。男性は、俺とベンとローガン。女性はミッシェル。
能力だけど、ベンは、指揮官だから特に持ってないね。持ってるのは、財力だけだ。
ローガンは、変装のスペシャリスト。
ミッシェルは、身体能力がチームで1番だよ。
ご自慢の体を武器に、時には囮、時には潜入と、オールラウンダーなタイプ。
そして俺は、天才的なハッカー&メカニック担当さ」
ケイト:「なるほど。バランスがとれたチームなのね。
・・・でも、そうね。ご自慢の体と、運動能力に関しては、私も誰にも負けない自信あるわ。
だけど、同じじゃつまらない・・・」
マイク:「そうだね。恐らく、ベンも・・・、それだけじゃチームの仲間にスカウトしないだろうね」
ケイト:「そうでしょうね。だから、こういうのはどうかしら?」
マイク:「聞かせて」
ケイト:「目で見ただけで、その建物の構造、高さ、深さなどがわかってしまう能力」
マイク:「そりゃ、随分とユニークな能力だね! でも、そんな事、どうやって?」
ケイト:「勿論。私一人では不可能よ。だけど・・・、昔からの同業者に協力してもらえたら、
可能になるわ」
マイク:「予め、情報を教えてもらうわけね。・・・でも、そんな簡単に協力してもらえるの?」
ケイト:「えぇ。そこは私に任せて。上手くやるわ。貴方にもお願いがあるの」
マイク:「何だい?」
ケイト:「そのコンタクトレンズと、後・・・、そうね。何か通信機が欲しいわ」
マイク:「それくらいお安い御用さ。・・・それで、その同業者って誰だい?」
ケイト:「カルロスよ。裏カジノを数々経営する凄腕実業家だし、名前くらい、聞いた事あるでしょ?」
マイク:「あぁ・・・。色々な噂をね。そっか。彼なら良い仕事、しれくれそうだ。
わかった。君に任せるよ。期待してるよ。ケイト」
ケイト:「任せて。期待に応えて見せるわ。」
マイク:「それで、さっきの得意な事ってのは、いつ見せてくれるんだい?」
ケイト:「そうね。明日の昼、13時に、セントラルパークに来て」
マイク:「お昼に・・・?」
ケイト:「あら? 先約でもあるのかしら?」
マイク:「そうじゃないけど・・・」
ケイト:「なら良いじゃない。待ち合わせ場所は、ストロベリーフィールズが良いわ」
マイク:「わかった・・・」
ケイト:「じゃあ、明日ね」
間
マイク(M):「だいぶ予定が早まるけど、仕方ないか・・・。ストロベリーフィールズ。・・・着いた。
あれ? でも、ケイトは来てない・・・。遅れてるのか?」
ケイト:「貴方は・・・、この前の・・・」
マイク:「あれ? 君は、この前の女の子!? 偶然だね!!!」
ケイト:「そうですね・・・。・・・えっと、お一人で来たのですか・・・?」
マイク:「う~ん・・・。残念ながら、今日は約束で来た感じだよ・・・。・・・君は?」
ケイト:「・・・私も、・・・約束の相手、待ってるんです・・・」
マイク:「お互い、同じ状況か・・・。ねぇ、良かったら、少し話さない? 相手来るまでで良いからさ」
ケイト:「良いですよ・・・。・・・私も、もう一度あって・・・話したいと思ってたので・・・」
マイク:「良かった~」
間
ケイト:「・・・この前は、ご馳走様でした・・・。ホットドッグ、美味しかったです・・・」
マイク:「気に入ってもらえて良かった! あれから気になってたんだ! 本当は、迷惑じゃなかったかなって・・・」
ケイト:「迷惑なんかでは・・・ありません・・・。・・・嬉しかったです」
マイク:「嬉しかった・・・?」
ケイト:「私・・・。三つ編みで、眼鏡かけてるし。それに喋り方だって地味だし・・・。・・・誰からも扱い、微妙で・・・」
マイク:「そんな事ないよ! 君は素敵だと思うよ! ほら、そんな顔しないで、笑顔笑顔!!!」
ケイト:「優しいんですね・・・」
マイク:「そうでも無いよ・・・。こうやって、明るく振る舞ってるけどさ。時々、嫌になるんだ・・・」
ケイト:「そうなんですね」
マイク:「あぁ・・・」
ケイト:「・・・」
マイク:「・・・」
ケイト:「・・・相手、お互い、来ないですね・・・」
マイク:「・・・そうだね。・・・良かったらさ、名前、教えて?」
ケイト:「えっ・・・?」
マイク:「いつまでも、君じゃ失礼だからさ。・・・俺の名前はマイクだよ」
ケイト:「え? マイク!?」
マイク:「びっくりした!? 君、そんな驚き方も出来るんだね~!!!」
ケイト:「・・・つい。・・・そっか」
マイク:「ん? どうしたの?」
ケイト:「いつまで待っても、来ないわけですね・・・。・・・私の名前はケイトですよ。マイクさん・・・」
マイク:「えええええ!? ケイト!!!!?」
ケイト:「・・・はぁ~。私の緊張感、返してよ。全く~!」
マイク:「それは、こっちの台詞だよ!!! 何それ!? 全然、気付かなかったよ!!!」
ケイト:「貴方の方こそ、まるで別人じゃない。
夜会った時は、サングラスかけてたし、髪、上げてたし今の姿とは、結び付かないわよ!
何、そのボサボサ頭・・・」
マイク:「これが昼の姿なんだよ! ケイトこそ、三つ編みに眼鏡って・・・」
ケイト:「潜入前の偵察の時は、こうやって変装してたのよ」
マイク:「それにしても、口調まで変えてるとは・・・」
ケイト:「貴方も人の事言えないでしょ。何、そのテンション。後、俺じゃなくて、僕・・・。
夜のクールなイメージは、何処にいったのよ」
マイク:「これは、偽りの姿だ!!! 本当の俺を悟られない為には、必要なんだよ」
ケイト:「あらそう」
マイク:「それで、もう一つの得意な事って、これ?」
ケイト:「そうよ。・・・合格かしら?」
マイク:「文句なしの合格だよ。・・・その姿と口調、そして、考えた能力。
インパクトもあるし、十分だ。
後は、俺がベンに、それとなしに、珍しい子が居るって教え、
近付かせるから、上手くやってよね」
ケイト:「任せて。必ず、チームに入れるようにするわ」
マイク:「宜しくね。あっ、一つ言っておく」
ケイト:「何かしら?」
マイク:「チーム内では、俺はアホで通ってるから、ケイトも上手く合わせてよね」
ケイト:「お安い御用よ。貴方の方こそ、私の口調とか、演技で、吹き出さないようにね」
マイク:「そんな事するわけ無いって。そんな事したら、すぐベンに怪しまれちゃう」
ケイト:「お互い、上手くやるだけって事ね」
マイク:「その通り。じゃあ、また準備が出来たら連絡する。検討を祈ってるよ。ケイト」
ケイト:「わかったわ。マイク」
間
マイク(N):「その後、俺の情報を信じたベンは、無事、ケイトの能力を気に入って、
チームへとスカウトした。
それも全て、俺の計画だと知らずに。
数日後、俺達は、あのビルの屋上で待ち合わせた」
ケイト:「相変わらず、時間に正確ね。マイク」
マイク:「それ程でもないさ。
待ってたよ。ケイト。まずは、第一関門クリア、おめでとう」
ケイト:「ありがとう。第一関門って事は、まだこれから、色々あるのね」
マイク:「クリアしないといけないハードルは、まだ残ってる」
ケイト:「次は、何をすれば良いのかしら?」
マイク:「そうだな~。ケイト、質問だ。君は男を手玉に転がすのは上手かい?」
ケイト:「ハニートラップなら、今までも使ってるから得意と言えば得意よ。
誰を落とせば良いのかしら?」
マイク:「カルロスだよ。同業者だから、簡単だよね?」
ケイト:「・・・貴方って、意地悪ね。カルロスを私の体の虜にすれば良いのね・・・」
マイク:「あぁ。その通り。・・・どうした? カルロス相手に、流石の君も、怖気づいたのかい?」
ケイト:「私を誰だと思ってるの・・・? 舐めないで。カルロスなんて、私の手にかかればイチコロよ」
マイク:「頼もしいね~。期待してるよ。ケイト」
ケイト:「それで、カルロスを使って、一体どんな罠を考えてるのかしら?」
マイク:「3ヶ月後、カルロスは、カジノパーティーを開催する。
その日にベン達は、カルロスの地下金庫を狙う手はずだ。
だからケイト、君は、作戦が失敗するように、カルロスをベン達の元に、誘導して欲しいんだ」
ケイト:「面倒ね・・・。カルロスに直接、伝えた方が・・・」
マイク:「それじゃあ、駄目だよ」
ケイト:「どうしてよ?」
マイク:「カルロスの性格から見て、先に伝えたりしたら、
ベン達が侵入するまでに、手下共を使って、ベン達を抹殺しかねない・・・。
そんな事になったら、俺の計画は、台無しだよ」
ケイト:「計画・・・?」
マイク:「物事には、色々と順序があるんだよ。その順序を省略なんてしたら、つまらないだろ。
どうせなら、思う存分、楽しまなきゃ・・・」
ケイト:「そう・・・。ねぇ、一つだけ教えて」
マイク:「何だい? ケイト」
ケイト:「・・・貴方って、私の復讐相手も、もう知ってるの・・・?」
マイク:「さぁ、どうでしょう・・・?」
ケイト:「その反応でわかったわ・・・。マイク、いつから気付いてたのかしら?」
マイク:「何の話? 俺にはさっぱり」
ケイト:「ふざけないで! ・・・そう、あくまでも私自身の口から、言わせようとするのね・・・。
本当、最低な男・・・」
マイク:「ケイト・・・、復讐を果たしたいなら、いつまでも、逃げていてはいけないよ。向き合わなきゃ」
ケイト:「・・・」
マイク:「さぁ、話して」
ケイト:「もう、知ってるのでしょう・・・?」
マイク:「君から、直接、聞きたいんだ」
ケイト:「・・・私の復讐相手は、・・・ベンの父親よ。
あいつは、私の母の愛人だった・・・。そして、私の父親なの・・・。
私は、父親の愛情も、母親の愛情も知らない・・・。
当然よね・・・。母は、あいつに夢中で、私の事なんて見て無かった・・・。
母は、馬鹿よ・・・。愛人の結末なんて、最後は飽きて捨てられるだけ・・・。
お金も底が付き、私達は・・・、ニューヨークを離れて、田舎町で貧乏生活を強いられた・・・」
マイク:「ある程度、調べて分かってはいたけど、同じ家庭が、復讐相手とはね・・・」
ケイト:「これも、運命かもしれないわね・・・」
マイク:「あぁ、そうかもね。・・・仕方ない、ベンの父親に復讐するのは、ケイトに任せるよ・・・」
ケイト:「いいえ。違うわ・・・」
マイク:「ん?」
ケイト:「あいつだけじゃない・・・。
私は、貧乏生活の原因を作った、あいつと、家族全員に、復讐したいの!
母が、過労で死んだ後は、親戚に引き取られたけど、いつも我慢の日々だった!
そんな日々の中で学んだわ。世の中、一番大事なのは・・・、金なんだって・・・。
あいつと、家族にも、私と同じ気持ちを、嫌になる程、味合わせたいのよ・・・!!!」
マイク:「母親の愛情より、金ね・・・。君らしくて、良い考えだよ。気に入った。
ベンの父親と、家族にだけど・・・。
僕の復讐が、全部終わった後は、全ての財産を奪おうが、社会的に破滅させようが、ケイトの好きにして良いよ」
ケイト:「わかったわ。その時は、私の好きにさせて貰うわ。これから宜しくね、マイク」
マイク:「あぁ・・・、宜しくね、ケイト・・・」
(電話で呼び出され、ビルの屋上に来るケイト)
間
マイク:(N)「ケイトの協力のおかげで、カジノの潜入ミッションは、見事失敗に終わった。
カルロスに追い込まれて、ピンチの時に、救世主として助けてあげたから、皆から、感謝されたけど・・・。
今、思い出しても・・・、脱出するまでのミッシェル、ローガン、慌てていて、愉快だったな~・・・。
その後、暫くして・・・、ベンが、僕たちをB&Mのビルに呼び出したのも、想定の範囲内だったし・・・。
ケイトが、裏切り者だと、バレた事も・・・、ベンなら気付くと思っていた。
でも、流石のベンも、僕が裏切り者で、復讐しようとしてるとは、気付いてないみたいだ。
本当・・・、これだから、良いオモチャ達は、手放せないよ・・・」
マイク:「さてと・・・、そろそろ、やって来る頃かな・・・」
間
ケイト:「懐かしい場所ね・・・」
マイク:「やぁ・・・。待ってたよ。ケイト。久しぶりだね」
ケイト:「またそうやって・・・。初めて会った時みたいに、狙ってるんじゃ・・・」
マイク:「そんな事しないよ。・・・こっちに来てごらん」
ケイト:「わかった」
マイク:「此処からの景色、見てると思い出さないかい。・・・初めて会った日の事をさ」
ケイト:「えぇ。・・・もう随分、昔のように思えるわ」
マイク:「君とは知らず、ぶつかって、街中でホットドッグ食べた時もあったな~」
ケイト:「あれはお互い様よ。私も、貴方とは気付かなかったし」
マイク:「だからこそ、今回も計画通り成功したんだけどね」
ケイト:「面白い計画だったわ。B&Mにとって、少しは打撃になったんじゃない?」
マイク:「少なくとも、世間から注目はされたね。だけど、打撃とまでは、まだわからないや」
ケイト:「そう。・・・所で、こんな懐かしい場所に呼び出した理由は何?」
マイク:「これだよ。はい、どうぞ」
ケイト:「ホットドッグ・・・」
マイク:「何だか懐かしくなってね。・・・ケイトと一緒に食べたくなったのさ」
ケイト:「そう言いながら、この中に毒なんて、仕込んでないでしょうね?」
マイク:「何でそう思うんだい?」
ケイト:「油断出来ない相手だからよ」
マイク:「そう・・・。だけど、残念ながら、毒は入れて無いよ。期待に応えれなくて悪かったね~」
ケイト:「わかった。信じるわ。・・・美味しい。この味、懐かしいわね・・・」
マイク:「相変わらず、美味しそうに食べるね」
ケイト:「こんな業界に居ても、こういう気持ちは、忘れないようにしてるわ。それは、マイク、
貴方もそうじゃない?」
マイク:「君と一緒にしないで欲しいよ。・・・美味しい物の味なんて・・・、とっくの昔に忘れたよ・・・」
ケイト:「マイク・・・。貴方・・・」
マイク:「な~んてね! 全くその通り。美味しい物の味は、忘れたりなんてしないよ。
食べるの大好きだしさ」
ケイト:「騙されそうになったわ。相変わらずね・・・」
マイク:「それ程でもないさ。さてと、お腹も一杯になったし、待機してるだけってのも飽きてきたし、
次の計画に進もうか・・・」
ケイト:「ベン達は、動き出したの?」
マイク:「あぁ。君とカルロスへのリベンジに、燃えてるよ」
ケイト:「そう。・・・面白くなりそうね」
マイク:「今度は、どんなゲームになるだろうね~!」
ケイト:「復讐を果たす為の、楽しいゲーム、期待してるわ」
マイク:「あぁ。その為にも、また存分に動いてもらうよ。ケイト」
ケイト:「望むところよ。マイク」
マイク:「さぁ、待っててね。ベン!!! 楽しい楽しい~、第二幕の始まりだよ・・・!!!」
終わり
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