華火

 

 

作者:片摩 廣

 

  

 登場人物

 

 

朝丘 光希(あさおか みつき)・・・外科医。  向日葵のように明るくて元気。子供っぽい部分と強がりな部分があって

                        颯一によくおちょくられてる。

  

 

夏越 颯一(なつこし そういち)・・・光希の彼氏。  普通のサラリーマン。お調子者の部分もあり、

                           よく光希をおちょくってる。

                           特に不自由する事無く光希との付き合いも順調だったが

                          1週間前、仕事中に気分が悪くなり病院で検査してもらう。

                           後日、結果を聞きに行った時に

                           光希に末期癌で余命三ヶ月だと告げられる。

 

 

 

 比率:【1:1】

 

上演時間:【60分】

 

 

 

※2021年、2月3日、加筆修正

  

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CAST

 

朝丘 光希:

 

夏越 颯一:

 

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朝丘(N):「私は外科医です。そして、これから、一番大事な人に最も残酷な言葉を伝えます。

       話は去年の秋、彼との出会いに遡ります。

       友達の人数合わせで参加した合コンで、彼、夏越 颯一に出会いました」

 

 

 

 

朝丘:「遅れてごめんなさい! オペが長引いちゃって・・・。朝丘 光希です。宜しくお願いします」

 

 

夏越:「うわっ・・・凄い汗・・・。良ければ、これ使って」

 

 

朝丘:「ありがとう・・・ございます」

 

 

 

朝丘(N):「今、思えば私は・・・こんな何気ない彼の優しさに、初めて会った時から、惹かれていたのかもしれません。

       その後も彼とプライベートで会うようになり、3ヵ月が経った頃・・・」

 

 

 

朝丘:「待たせてごめんね。話って?」

 

 

夏越:「実は・・・今度さ、俺の両親に会って欲しいんだ・・・」

 

 

朝丘:「えっ? 御両親に?」

 

 

夏越:「俺達、こうして出会って、まだ日は浅いけど、朝丘さんと結婚前提に、付き合って欲しいなって・・・」

 

 

朝丘:「・・・」

 

 

夏越:「いくら何でも早すぎだよね・・・! ごめん今の無し・・・」

 

 

朝丘:「良いよ・・・。私で良ければ・・・」

 

 

夏越:「本当に・・・?」

 

 

朝丘:「うん・・・」

 

 

夏越:「じゃあさ、1週間後、いつもの駅で待ち合わせで良い?」

 

 

朝丘:「良いよ。楽しみにしてる」

 

 

夏越:「やった・・・」(小さくガッツポーズしながら)

 

 

 朝丘(N):「その時の彼は、小さくガッツポーズして喜んでて・・・その姿がとても印象的でした。

                  その後、彼の御両親にお会いして、緊張はしましたが・・・、彼とよく似て優しい方々で、

                  私は、安心しました・・・。その帰り道・・・」

 

 

 

 

(夏越の実家からの帰り道)

 

 

 

夏越:「俺の両親も、光希の事、気に入ってたな」

 

 

 

朝丘:「もう・・・。かなり、緊張したよ・・・」

 

 

 

夏越:「光希の緊張してる顏、可愛かったから良いよ」

 

 

 

朝丘:「何よ、それ~」

 

 

 

夏越:「そのままの、光希で、良いって事!」

 

 

 

朝丘:「意味、わかんない」

 

 

 

夏越:「そこは、外科医なんだから、考えてくれ」

 

 

 

朝丘:「外科医でも、わからない事は、あるのよ!」

 

 

 

夏越:「俺達のこれからも?」

 

 

 

朝丘:「えっ・・・?」

 

 

 

夏越:「俺は、鮮明に見えてるよ。光希とのこれから!」

 

 

 

朝丘:「どんな・・・?」

 

 

 

夏越:「聞きたい?」

 

 

 

朝丘:「うん・・・」

 

 

 

夏越:「そうだな~。まずは、一緒に住む部屋、探しに行って、それから、結婚の日取りだろ。

    結婚してからは、子供は一人か二人。

    俺が、仕事から疲れて、帰って来ると、光希と子供達が、お帰り、パパって出迎えてくれて・・」

 

 

 

 

朝丘:「ちょっと待って。・・・仕事で、呼び出されたりもあるし・・・。

    私、専業主婦、出来ないよ・・・」

 

 

 

 

夏越:「結婚しても、仕事、続けるのか?」

 

 

 

朝丘:「出来るなら、そうしたいな。・・・辛い事もあるけど、やっぱり、この仕事、大好きなんだ! 私!」

 

 

 

夏越:「そうか・・・。・・・なら、俺がその時は、主夫になってやる!」

 

 

 

朝丘:「え!?」

 

 

 

 

夏越:「結婚したら、家で出来る仕事を探すよ。そうすれば、子供が出来る頃には、

    その仕事も、安定してるだろうし、そうしたら、光希にも、苦労は、かけない」

 

 

 

朝丘:「でもでも、今の仕事も、好きなんでしょ?」

 

 

 

 

夏越:「あぁ。大好きさ・・・。やりがいもあるし、出世したいって気持ちもあった・・・。

    ・・・でも、良いんだ。

    それよりも、光希と、これから生まれてくる子供達との、人生の方が、

    俺の人生で、一番、大事になった!

    だから、光希は、これまで通り、医者、続けて、沢山の患者、救ってあげて。

    そして、仕事で疲れて帰って来た光希を、

    俺と、その子供達が、笑顔で、出迎えるからさ」

 

 

 

朝丘:「颯一・・・。私・・・。こんなに、幸せで良いのかな・・・?」

 

 

 

夏越:「光希は、これまで、ずっと頑張って来たんだ。

    良いんだよ。幸せになって」

 

 

 

朝丘:「うん・・・」

 

 

 

夏越:「光希」

 

 

 

朝丘:「何?」

 

 

 

夏越:「少し、寄り道していこう。光希に見せたい場所、あるんだ」

 

 

 

朝丘:「わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

夏越:「さぁ、着いた。此処だ。

    う~ん、昔から変わらぬ景色だ」

 

 

 

朝丘:「うわ~! 綺麗な海~!」

 

 

 

夏越:「此処は、地元の人だけ、知ってる絶景スポットなんだ」

 

 

 

朝丘:「私、海の見える所、住みたかったんだ~」

 

 

 

夏越:「なら、住んでみる?」

 

 

 

朝丘:「え?」

 

 

 

夏越:「今、すぐは無理だけど・・・、将来、この海の見える場所に、

    家、建ててさ。・・・家族で住もう」

 

 

 

朝丘:「うん」

 

 

 

夏越:「よ~し、その将来の為にも、貯金もして、仕事も頑張る!」

 

 

 

朝丘:「私も、頑張る!」

 

 

 

夏越:「あぁ! さてと、マイホームの前に、

    まずは、今度、二人で住む、部屋探しからだな」

 

 

 

朝丘:「そうだね」

 

 

 

 

夏越:「それじゃあ、そろそろ帰るか」

 

 

 

朝丘:「うん」

 

 

 

 

 

 

朝丘(N):「それから暫くして、私と彼は二人で住む部屋探しに、奮闘してました」

 

 

 

 

夏越:「此処なんて、どう?」

 

 

 

朝丘:「うわ~。対面式キッチンだ~。これなら、私の細やかな夢も、現実に~」

 

 

 

夏越:「細やかな夢って?」

 

 

 

朝丘:「それは、颯一の顏、見ながら、料理するって夢・・・」

 

 

 

夏越:「俺の夢も同じだ。光希の顏、見ながら料理して、美味しいって笑顔、見るんだ」

 

 

 

朝丘:「私より、料理、下手な癖に」

 

 

 

夏越:「何度も作ってたら、上手くなるよ。・・・それに、一緒に住むんだから、

    二人で料理も、作れるんだし、自然とレパートリーも増える」

 

 

 

朝丘:「それも、そうね」

 

 

 

夏越:「こうして、部屋探ししてると、色々、結婚後の事も、考えちゃうな」

 

 

 

朝丘:「そうだね・・・。

    結婚して・・・、子供が出来て・・・、生まれたら・・・、

    子供部屋も、考えなきゃね・・・」

 

 

 

夏越:「子供に、おもちゃも、沢山、買ってあげたいな~」

 

 

 

朝丘:「ちょっと、パパ。流石に、買い過ぎよ~とか、言ったりして~」

 

 

 

夏越:「え? 今、何て言った?」

 

 

 

朝丘:「え!? 今のは、ほらっ!? ノリと勢いで・・・」

 

 

 

夏越:「嫌じゃなかったよ。もう一回、言って」

 

 

 

朝丘:「・・・パパ」

 

 

 

夏越:「な~に? ママ」

 

 

 

朝丘:「もう・・・! すぐ! からかわないで!」

 

 

 

夏越:「光希は、怒った顔も、素敵だな~」

 

 

 

朝丘:「何、言ってるのよ! 馬鹿・・・」

 

 

 

夏越:「・・・来年も、そのまた、来年も・・・、ずっ~と、死ぬまで、これから、宜しくな。光希」

 

 

 

朝丘:「颯一・・・。・・・うん。これからも、宜しくね」

 

 

 

 

 

 

朝丘(N):「それから、年も明けて、2月に入った頃・・・」

 

 

 

(年が明けて翌年の2月 夏越のマンション)

 

 

 

夏越:「あれ~? 光希。・・・此処に置いてあった鯛焼き、知らない・・・?」

 

 

 

朝丘:「あっ、それなら、冷めちゃうから、さっき、食べちゃったよ」

 

 

 

夏越:「せっかく、後で食べようと思ってたのに、光希の、食いしん坊~」

 

 

 

朝丘:「どうせ、食いしん坊ですよ~だ。いつまでも、食べないなんて、勿体ないよ」

 

 

 

夏越:「・・・。

    まぁ、食べた物は、仕方ない。また、買ってくるよ」

 

 

 

朝丘:「本当!? それじゃあ、通常の以外に、カスタードクリームと、チョコも買ってきて欲しい!」

 

 

 

夏越:「はいはい。わかった」

 

 

 

朝丘:「やった!」

 

 

 

 

朝丘(N)「こういう些細な事で、喧嘩もしながらも、彼との交際は、順調に続いて・・・、

      私は、彼との細やかな幸せを、感じてました。

      そして、このまま結婚もして、その後は、一緒に住んで・・・、

      幸せな日々が、続くと信じてました。

      しかし、4月になって、彼は、私の病院に来ました・・・」

 

 

 

 

 

朝丘:「メール見たけど・・・大丈夫?」

 

 

夏越:「心配かけてごめんな・・・。急に調子が悪くなって、上司にも一度ちゃんと診てもらった方が良いって言われてね」

 

 

朝丘:「うん」

 

 

夏越:「検査は光希が?」

 

 

朝丘:「ううん。別の先生が・・・。本当は私がしたいけど、他の患者さんがね・・・」

 

 

夏越:「そっか・・・」

 

 

朝丘:「心配しないで。腕の良い先生だから、じっくり診てもらって。私は、後で先生に結果聞くから」

 

 

夏越:「わかった。・・・あっ、俺の番だ。じゃあ、行ってくる」

 

 

朝丘:「行ってらっしゃい」

 

 

 

朝丘(N):「彼が倒れたとメールで見た時、ふと嫌な予感がしました・・・。その予感が現実になったのを知ったのは、

       担当の先生に、結果を聞いた時でした・・・。そして、先生に頼み、その結果は・・・

       私から彼に伝える事にしました・・・そして運命の日・・・」

 

 

 

 

(季節は5月 病院 外科の診察室)

 

 

 

 

朝丘:「・・・夏越さん、お入りください」

 

 

夏越:「光希・・・」

 

 

朝丘:「病院では、朝丘先生」

 

 

夏越:「ごめん・・・」

 

 

朝丘:「・・・診断結果が出ました」

 

 

夏越:「結果は?」

 

 

 

 

朝丘:「夏越 颯一さん、貴方は、末期癌で、余命三ヶ月です」

 

 

夏越:「余命三ヶ月?」

 

 

朝丘:「ええ。夏越さんの場合、胃癌でステージ4と診断されました。他の臓器にも転移してるので、手術でも難しいです」

 

 

夏越:「俺・・・死ぬのか・・・?」

 

 

朝丘:「残念ですが、此処まで進んでると手の施しようが・・・」

 

 

 

 

夏越:「光希、どうしてそんなに冷静なんだ・・・? 俺が死んでも平気なのか・・・?」

 

 

朝丘:「・・・」

 

 

朝丘:「平気なわけないじゃん・・・。颯一が後三ヶ月で死ぬのに、私は何も出来ない・・・。

    医者は患者や親族にどんなに恨まれようが、暴言を吐かれようが、

    能面のように表情を変えたら駄目なの・・・。だけど、やっぱ無理だよ・・・。

    こんな状況で、感情を押し殺すなんて出来ない・・・」

 

 

 

夏越:「光希・・・。ごめん・・・」

 

 

朝丘:「どうしてこんな大事な時に、無力なの・・・。颯一が生きられるなら、私、どんな事でもする! 

    だから、神様・・・お願いですから、

    颯一の命を救って・・・」

 

 

夏越:「その気持ちだけで嬉しい・・・」

 

 

朝丘:「三ヶ月、颯一と毎日一緒に過ごしたい」

 

 

夏越:「出来るならそうしたいけど、無理だろう・・・? 今はまだ自分の足で歩く事も出来るけど、

    それも段々と出来なくなって、車椅子生活になり、体重も減って別人みたいに・・・」

 

 

朝丘:「うん・・・」

 

 

夏越:「我儘を1つ言っていいかな?」

 

 

朝丘:「勿論だよ。私に出来る事なら、何でも」

 

 

夏越:「今から三か月後、光希と花火大会に行きたい・・・」

 

 

朝丘:「うん、約束する。」

 

 

夏越:「ありがとう。・・・楽しみだな。光希の浴衣姿に、屋台とか・・・」

 

 

朝丘:「颯一も浴衣着て、下駄も履いて、一緒に屋台回ろうね。私、わたあめが食べたいな・・・」

 

 

夏越:「光希、食いしん坊だから、1つじゃ足りないだろうな」

 

 

朝丘:「ひっどい! そんな事ないもん・・・」

 

 

夏越:「本当にそうかな? この前も俺の分まで、鯛焼き食べちゃったし」

 

 

朝丘:「それは! 美味しかったのと、颯一がいつまでも、食べないのが悪いんじゃん」

 

 

夏越:「俺は猫舌なの。だから少し冷ましてたんだよ。それなのに光希が・・・」

 

 

朝丘:「冷めた鯛焼きなんて絶対美味しくないよ! それに鯛焼きに失礼」

 

 

夏越:「失礼ってオーバーな・・・」

 

 

朝丘:「そんな事無い! 鯛焼きはね、熱々で食べられたくて、この世に生まれたんだよ! 

    なのに冷ますなんて、酷いし勿体無いよ!」

 

 

夏越:「出た! 光希の勿体無い発言! これを言われると、俺の負けなんだよな・・・」

 

 

朝丘:「負けって何よ・・・」

 

 

夏越:「ごめんごめん」

 

 

朝丘:「もう知らない!」

 

 

 

 

夏越:「こういう何気ないやり取りも、後何回、出来るんだろうな・・・」

 

 

朝丘:「颯一・・・」

 

 

夏越:「何だか湿っぽくなっちゃったな。俺は家に戻って、色々やり残したことがないようにするよ。

    じゃあまたな。光希!」

 

 

 

朝丘(N):「そう言って、彼は笑いながら診察室を出て行きました。私に心配かけまいと精一杯の笑顔で。

       私は我慢できずに泣き崩れました・・・」

 

 

 

朝丘(N):「彼に余命宣告をして、1ヵ月が経ちました。あの後も何回か彼と会いましたが、彼は元気で、

       後、2ヵ月で死ぬ運命なのが、信じられませんでした・・・。ですが、突然その兆候は表れました・・・」

 

 

 

 

朝丘:「花火に着ていく浴衣、どんなのが良い?」

 

 

夏越:「光希は普段子供っぽいし、大人っぽいのが良いんじゃない?」

 

 

朝丘:「聞き捨てならないな~。こう見えても、病院では大人っぽくて素敵ですねって言われるんだからね!」

 

 

夏越:「お世辞だよ。お世辞」

 

 

朝丘:「そんな事ないもん! 見てなさい! お店で浴衣試着したら、度肝を抜かしてやるんだから!」

 

 

夏越:「期待しないでおくよ」

 

 

朝丘:「そこは期待しなさいよ!」

 

 

夏越:「その件につきましては、前向きに検討させていただきます!」

 

 

朝丘:「こらっ! それ社交辞令だし、結局、期待しないって事じゃん!」

 

 

夏越:「流石に光希にもわかったか!」

 

 

朝丘:「外科医を舐めないで!」

 

 

夏越:「それはそれは、御見逸れしました」

 

 

朝丘:「また馬鹿にしてる!」

 

 

夏越:「ありゃ、バレた!」

 

 

朝丘:「バレバレだよ!」

 

 

夏越:「(笑う)」

 

 

朝丘:「ほらっ、お店着いたし、さっさと入るよ!」

 

 

夏越:「はいはい」

 

 

 

 

 

 

朝丘:「わ~! 色々な浴衣がある! ねぇねぇ、どれが私に似合う?」

 

 

夏越:「そうだな・・・。おっ! これなんか、良いかも」

 

 

朝丘:「え~、白に水風船の柄って、なんか子供っぽいよ」

 

 

夏越:「それにだな、これを付ければ・・・」

 

 

朝丘:「金魚の巾着?」

 

 

夏越:「夏! 光希の子供っぽさ~コレクショ~ン!」

 

 

朝丘:「本気で怒るよ」(ガチトーン)

 

 

夏越:「そんなに怒るなよ。冗談だって。これなんかどう?」

 

 

朝丘:「綺麗な黄色と、向日葵の柄だ・・・」

 

 

夏越:「光希の名前のように、向日葵は光り輝いて綺麗だと思ったからさ」

 

 

朝丘:「颯一・・・。・・・あっ、でももう少し大人の色も着てみたいし悩むな~」

 

 

夏越:「どんな色がお望み?」

 

 

朝丘:「紫とか青とか黒!」

 

 

夏越:「どの色も、イメージとは真逆だな・・・。じゃあ、そうだな。これと、これと、これだな。

    よしっ! さっさと、試着してこい!」

 

 

朝丘:「だけど・・・」

 

 

夏越:「光希が、心から着たいので良いからさ、俺に見せてよ。待ってる」

 

 

朝丘:「わかった・・・」

 

 

 

朝丘(N):「そう言って、私は試着室に入った。どの色にするか散々悩んだ末、私は着替え、彼に声をかけた」

 

 

 

朝丘:「着替え終わったよ。驚く程、大人っぽくなったからって、ビックリしないでよ!

    ねぇ、聞いてる?颯一・・・。ねぇってば!」

 

 

朝丘:「さては、倒れたフリして、私を騙す気? そんな手に引っかからないんだからね! さぁ、早く起き上がって!

    もう・・・いつまで続けるの? もう騙さなくて良いんだってば!

    ・・・まさか本当に? ・・・嘘でしょ! どうしたの!?

    ・・・颯一! ねぇ! 返事をしてよ! ・・・颯一!!!」

 

 

 

朝丘(N):「私は急いで、救急車を呼びました。待っている間も私は気が気ではなく・・・。

       そして翌日、彼は目を覚ましました」

 

 

 

(病院、外科病棟、病室)

 

 

 

朝丘:「神様、お願い・・・。まだ颯一を連れていかないで・・・」

 

 

 

 

夏越:「(目覚める)・・・」

 

 

朝丘:「颯一!!! 良かった・・・! このまま、颯一が、目を覚まさなかったら・・・私・・・」

 

 

夏越:「ん?」

 

 

朝丘:「ううん。何でもない・・・!」

 

 

夏越:「此処は・・・?」

 

 

朝丘:「病院だよ・・・。颯一、私が試着室に入ってる間に、倒れて此処に・・・」

 

 

夏越:「急に眩暈がして、目の前が真っ暗になって・・・」

 

 

朝丘:「私が無理させちゃったのが、いけなかった・・・」

 

 

夏越:「そんな事はない。光希のせいじゃない・・・」

 

 

朝丘:「・・・ねぇ、少し外の風に当ろう! そうすれば、気分も良くなるよ!」

 

 

夏越:「そうだな・・・」(立ち上がろうとするが自分の力では立ち上がれない)

 

 

朝丘:「どうしたの?」

 

 

夏越:「・・・自分で立ち上がる事が、出来ないや。ごめん、光希、手貸して」

 

 

朝丘:「うん・・・。ほらっ、いくよ・・・!」

 

 

夏越:「・・・足に力が入らない」

 

 

朝丘:「・・・車椅子、用意してくるから待ってて。すぐ戻る!」

 

 

夏越:「・・・」

 

 

 

朝丘(N):「立てなくなったと知った時の彼の絶望した顏を、私は見続けることが出来ませんでした・・・。

       車椅子を用意する間も、私の眼は、涙で滲んでました」

 

 

 

朝丘:「お待たせ。もう一度、手を貸すね」

 

 

夏越:「・・・良い」

 

 

朝丘:「良いって、それじゃあ、外の風に当りに行けないよ・・・」

 

 

夏越:「行かなくて良い」

 

 

朝丘:「もう、そんな我儘言ってないで。行くよ・・・」

 

 

夏越:「良いから俺の事はほっといてくれ!」

 

 

朝丘:「颯一・・・どうしたって言うの?」

 

 

夏越:「光希に今の俺の気持ちなんて理解できない!」

 

 

朝丘:「そんな事ないよ! 颯一が立ち上がれなくなって・・・、私も心が痛いし、苦しいし、辛い気持ちわかるよ!」

 

 

夏越:「じゃあ、俺の代わりにさ、末期癌になってくれ!」

 

 

朝丘:「それは・・・。無理難題、言わないで・・・!」

 

 

夏越:「ほら見ろ・・・! 光希だって、死ぬのが怖いんだ! 

    なのに、俺の代わりに出来る事なら何でもするなんて、よく言えたもんだな!」

 

 

朝丘:「・・・」

 

 

夏越:「俺の気持ちがわかるわけない・・・。さっき立ち上がれないってわかった時、絶望したよ・・・。

    あぁ・・・俺はこうして、死に近付いてるのかって・・・。その恐怖、不安が、簡単にわかってたまるか・・・!

 

 

朝丘:「抗癌剤や放射線治療を受ければ、少しは延命出来るかも・・・」

 

 

夏越:「そんなの今更、何の意味もない! 俺は、もっと生きていたいんだ! 

    なぁ、どうして俺なんだ!? 俺が、何か悪い事したっていうのか!?」

 

 

朝丘:「颯一は悪くないよ・・・」

 

 

夏越:「じゃあ、誰が悪いって言うんだよ! 言えるもんなら言ってみろ!」

 

 

朝丘:「お願い、やけにならないで・・・! 私だって・・・辛くないわけないでしょ!

    颯一の苦しさは、変わってあげたくても、あげられないし・・・

    それが、どんなに辛いのか、わかってよ・・・!」

 

夏越:「・・・」

 

 

朝丘:「颯一を助けたいのに・・・私に出来る事は・・・ほんの僅か・・・。颯一の命が・・・

    少しずつ・・・終わりに向かってるのに・・・医者なのに、治してあげる事が出来ない・・・」

 

 

夏越:「・・・死にたくないよ・・・光希。

    死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない・・・!」(頭を抱えながら)

 

 

朝丘:「何も出来なくてごめんね・・・」

 

 

夏越:「お願いだから助けてくれよ・・・!

    怖いし・・・痛いのも苦しいのも嫌だ・・・。

    ・・・お願いだ光希・・・」

 

 

夏越:「俺を・・今すぐ・・・殺してくれ・・・」

 

 

朝丘:「それは出来ない・・・」

 

 

夏越:「俺の事、愛してるなら・・・お願いだから・・・殺してくれ・・・」

 

 

朝丘:「そんな事出来ないよ・・・!!!」

 

 

夏越:「お願いだ・・・。もう楽になりたいんだ・・・」

 

 

朝丘:「・・・颯一の大馬鹿!!! 私は医者なの! 患者の命を救うのが仕事なの!!! 

    例え、患者に殺してくれと頼まれても、殺す事なんて出来ない!!!」

 

 

夏越:「・・・」

 

 

朝丘:「・・・お願いだから、残り僅かな命だけど、大事にしてよ・・・」

 

 

夏越:「光希・・・。・・・ごめん。俺が間違ってた・・・」

 

 

朝丘:「もう二度と、こんな事言わないで」

 

 

夏越:「約束する。ごめん・・・。少し、一人にさせてくれないか?」

 

 

朝丘:「わかった。よく休んで」

 

 

夏越:「あぁ」

 

 

 

(病室から出る朝丘をベッドから見送りベッド近くに置いてある携帯で実家に電話する夏越)

 

 

 

 

 

夏越:「もしもし母さん。俺さ・・・。・・・そっか、光希から聞いたんだ。・・・うん、急に眩暈がして倒れた。

    そんな事より、大至急、用意して欲しい物があるんだ。

    買ってきて欲しい物は、さっきメールで送っておいた。

    ・・・うん、良いから早く病院に持ってきて。お願いね」

 

 

 

 

 

 

 

 

朝丘:「ねぇ・・・、颯一。最近、何か隠し事、してる?」

 

 

 

夏越:「隠し事? 光希に、隠し事なんて、しないよ」

 

 

 

朝丘:「じゃあ、気のせいか。何か時々、慌てたり、行動、可笑しかったからさ・・・」

 

 

 

夏越:「そんなの、気のせいだ。

    なぁ、光希・・・」 

 

 

 

朝丘:「何・・・?」

 

 

 

夏越:「・・・余命宣告されて、2カ月、経ったな」

 

 

 

朝丘:「うん・・・」

 

 

 

夏越:「でも、俺・・・、結構、元気なままだし、もしかしたら、このままある日、

    奇蹟が起きて、胃癌、治ったりするかも!」

 

 

 

朝丘:「・・・そうだと、良いね」

 

 

 

夏越:「おいおい・・・、そこは、元気に頷いてくれよ・・・」

 

 

 

朝丘:「ごめんね・・・。・・・じゃあ、また、様子見に来るから、無理しないでね」

 

 

 

夏越:「無理なんてしないよ。ほらっ、他の患者も待ってるだろ。戻った戻った」

 

 

 

朝丘:「本当、大人しく寝ててよね」

 

 

 

夏越:「わかった、わかった」

 

 

 

 

 

朝丘(N):「私が彼に余命宣告をしてから三ヶ月が経った。彼の症状は悪化をしていき、

       起きてるのもやっとのくらいで、彼に死が近づいてるのが怖いほどわかりました・・・」

 

 

 

 

夏越:「(目覚める)・・・光希。来て・・たんだ・・・」

 

 

朝丘:「起こしてごめんね・・・。顏も、体も、痩せて細くなったね・・・」

 

 

夏越:「・・・ムンクの叫び・・・みたいだろ?」

 

 

朝丘:「それは似てない。・・・こんな時まで、冗談言わないでよ」

 

 

夏越:「光希を・・・喜ばす為に・・・必死に考えたギャグなのに・・・」

 

 

朝丘:「本当、馬鹿なんだから・・・」

 

 

夏越:「ごめんな・・・。花火・・・一緒に見られそうにない・・・」

 

 

朝丘:「謝らないで。仕方ないよ・・・」

 

 

夏越:「きっと・・・綺麗だったんだろうな・・・」

 

 

朝丘:「うん・・・」

 

 

夏越:「そんな・・・暗い顏するな・・・。そんな顔じゃ・・・医者・・・失格だろ・・・」

 

 

朝丘:「無理だよ・・・」

 

 

夏越:「ほらな・・・やっぱり・・・光希は子供っぽい・・・」

 

 

朝丘:「子供っぽくても良い・・・」

 

 

夏越:「我儘・・・だな・・・」

 

 

朝丘:「我儘だよ・・・」

 

 

夏越:「(激しく咳き込む)」

 

 

朝丘:「颯一、しっかりして・・・!」

 

 

夏越:「心配かけて、ごめんな・・・。もう、大丈夫だから・・・」 

 

 

朝丘:「・・・ごめん。私、少し席外すね。すぐ戻るから」

 

 

夏越:「待ってるよ・・・」

 

 

 

朝丘(N):「私はそう言うと、急いで院長室に向かいました」

 

 

 

朝丘:「失礼します! 院長先生、一生のお願いがあります!

    全責任は私がとりますので、どうかお願いします! 力を貸してください!」

 

 

 

 

 

 

夏越:「おかえり・・・光希。随分と・・・遅かったな・・・」

 

 

朝丘:「準備に時間がかかっちゃった・・・。颯一、屋上に行くから車椅子に乗って」

 

 

夏越:「屋上・・・?」

 

 

朝丘:「良いから、早く。ほらっ持ち上げるよ」

 

 

朝丘(N):「その時の彼は女性の私でも持ち上げれるくらい、軽くなっていました。私は急いで屋上に向かいました」

 

 

 

 

 

 

朝丘:「着いたよ」

 

 

夏越:「屋上で・・・何を・・・?」

 

 

朝丘:「もしもし、準備出来ました。宜しくお願いします」

 

 

 

 

 

(朝丘が電話でそう伝えると、病院から少し離れた場所から、花火が打ちあがる)

 

 

 

夏越:「これは・・・花火・・・どうして・・・?」

 

 

朝丘:「院長先生にお願いして、花火の業者に頼んでもらったの。お金は私持ちで。

    どうしても、颯一と一緒に花火が見たかったから・・・」

 

 

夏越:「俺も・・・光希と・・・一緒に見たかった・・・。やっと・・・夢が叶った・・・。なぁ、光希・・・」

 

 

朝丘:「何・・・?」

 

 

夏越:「1つ約束してくれ・・・。俺が死んだ後・・・俺の後を、すぐ追うなんて・・・考えない事・・・」

 

 

朝丘:「そんな事、考えて・・・」

 

 

夏越:「・・・本当・・・嘘が下手だな・・・。・・・気付いてたよ。

    光希が、あの時・・・俺が目を覚まさなかったら、どうしてたか・・・」

 

 

朝丘:「颯一・・・」

 

 

夏越:「俺の分まで・・・しっかり生きて・・・」

 

 

朝丘:「そうしたいよ・・・。だけど自信無いよ・・・。

    私は・・・本当は、颯一と、もっともっと! 色々な所に行きたかった!」

 

 

夏越:「うん」

 

 

朝丘:「旅行にも! あの海にも! 後、ドライブとか! それに、美味しい物、食べたり!

    美味しいね! って、颯一と笑いあったり! 

    颯一と・・・、・・・颯一と、結婚して・・・、

    ずっと一緒に・・・居たかった・・・!」

 

 

夏越:「うん・・・」

 

 

朝丘:「颯一の・・・馬鹿・・・」

 

 

夏越:「うん」

 

 

朝丘:「世界一の最低野郎・・・」

 

 

夏越:「うん」

 

 

朝丘:「私より、先に死ぬな! 馬鹿!」

 

 

夏越:「・・・ごめんな。馬鹿で・・・」

 

 

朝丘:「・・・本当は、一緒に花火も・・・浴衣を着て見たかった・・・。だけど出来ないから、

    代わりになるけど、

    これがあの時、私が選んで着た色だよ。もしもし・・・最後の花火、お願いします・・・」

 

 

 

(ひと際大きい花火が連続で打ちあがる)

 

 

 

夏越:「これは・・・俺が・・・あの時・・・選んだ・・・黄色・・・」

 

 

朝丘:「うん・・・! 颯一が私に似会うって選んでくれた向日葵の黄色だよ・・・。大好きだよ・・・颯一・・・」

 

 

夏越:「ほら・・・やっぱり・・・光希の名前のように・・・美しく・・・綺麗だ・・・」

 

 

夏越:「・・・俺も・・・大好き・・・だよ・・・」

 

 

朝丘:「うん・・・!」

 

 

夏越:「光希・・・ありがとう・・・」

 

 

朝丘:「颯一・・・? ねぇ・・・颯一・・・! 

    返事をしてよ・・・! ねぇっ! たら・・・・・・。・・・颯一・・・!!!

    嫌だよ・・・! もう一度、目を開けて! 私を1人にしないで・・・。ねぇったら!

    起きてよ・・・。声を聴かせてよ・・・。颯一・・・!!!」 (膝まづいて、車椅子に乗ってる颯一を揺さぶりながら号泣)

 

 

 

 

 

 

朝丘(N):「それが彼の最後の言葉でした。彼は苦しむことなく笑顔で花火を観終わったあと、この世を去りました。

       私は、暫く何も考えられませんでした・・・。

       そんな私に、彼が亡くなってから、1か月後、彼の御両親から、私宛の段ボールを渡されました。

       箱の中身はというと・・・」

 

 

朝丘:「これはブルーレイディスク? 何百枚もある・・・これが一番最初のかな・・・」

 

 

 

夏越:「やっほ、光希! このブルーレイディスクを観てると言う事は、

    俺はこの世を去って、俺の母から無事に受け取ったんだな。

    これは、俺からのプレゼント! 俺は既にこの世にいないけど、

    これから光希が90歳のおばあちゃんになるまで、

    このブルーレイを通して、俺は光希と一緒にいる。

    何故、90歳と言うと、光希はドジな部分もあるから、

    この年齢には亡くなるかなと思ったんだ。まぁ、それは冗談として・・・

    俺が、倒れた時に、光希が言いかけた言葉を聞いて、

    このままじゃ、俺の後を、追うと思った・・・。

    だから、このブルーレイディスクを残そうと考えたんだ。

    まっ、俺の事だから、死ぬ前に、

    光希が俺の後を、すぐに追って、死なないように、伝えたと思うけどさ・・・

    お願いだ・・・。俺の分まで、しっかり生きてくれ。

    天国でさ、光希が来るのを、ゆっくり待ってるよ・・・。 

    追伸、ちゃんと今年の分、俺が死んでから、何日経ってるかはわからないけど、

    ちゃんと、今日の日付から観るように。

    それと、同封したプロポーズの指輪、直に渡せなくて・・・ごめんな。

    じゃあ、また明日な! いつでも笑顔忘れるなよ! 忘れたら、ただじゃおかないからな!」

 

 

 

 

朝丘:「・・・馬鹿。こんなプレゼント用意してるなんて・・・。世界で一番、大好きだよ・・・颯一・・・」

 

 

 

 

 

 

朝丘(N):「彼がなくなってから半年が経ちました。

       病院の仕事は忙しくて、目が回りそうですが、1人じゃないので、平気です」

 

 

 

夏越:「おはよう! 光希! すっかり寒くなったけど風邪は引いてないか?

    光希の事だから、また俺の分まで、つい鯛焼き買って、

    勿体ないから、食べちゃおう! とか言って、食べて無いか?」

 

 

 

朝丘:「馬鹿! 食べて無いですよ~だ!」

 

 

夏越:「まぁ良い。少し、太っても光希は可愛いだろうし、許してやる。

    じゃあ、今日も一日、仕事頑張って来いよ!

    行ってらっしゃい!」

 

 

 

朝丘:「うん! 行って来ます! 颯一!」

 

 

 

 

朝丘(N):「そして、月日は・・・更に流れ・・・」

 

 

 

(90歳になった朝丘は、最後のブルーレイディスクを再生する)

 

 

 

朝丘:「今日で最後のブルーレイ・・・。思えば長かったような、短かったような・・・。

    だけどね、颯一が毎日、元気をくれたから、

    ・・・今日を迎えられるの・・・。どんな事を言うのか楽しみ・・・」

 

 

 

 

 

夏越:「おはよう! 光希! 光希もすっかりしわくちゃなおばあちゃんだな!

    天国に来ても誰かわからなかったらごめんな!

    それと、俺だけ若いままでごめん・・・。

    せめてもの気持ちに、これ、用意してもらった」

 

 

 

 

 

朝丘:「何を用意したのかしら・・・?」

 

 

 

 

夏越:「何って? つけ髭だよ。白いつけ髭つけて、テープで目と口を止めれば・・・」

 

 

夏越:「じゃ~ん! どうだ! これなら、俺もおじいちゃんに見えるだろう?

    これで一緒だし寂しくなんかないだろう!

    ・・・光希、長い間、生きたんだな・・・。

    そしてこのブルーレイを、最後まで観てくれてありがとう。

    俺がもう少し元気なら、100歳くらいまで残せたかもしれないけど、

    それももう無理そうだ・・・。

    だから、90歳以上、生き続けたときは、ごめんな・・・!

    追伸、天国は良いところだから、安心しろよ。

    それと、こんな俺を一生懸命、支えてくれてありがとう。

    ・・・光希、愛してるよ。

    じゃあ、向こうで待ってる」

 

 

 

(ブルーレイディスクの再生が終了する)

 

 

 

 

朝丘:「まだすぐにそっちに行けるかは・・・わからない。だけど、これだけは言わせて。

    私も、愛してる。・・・颯一。向こうで待ってて・・・。

    貴方がいたからこそ、私もずっと頑張れたのよ」

 

 

 

 

 

朝丘(N):「私の大好きで、愛した彼は・・・、今でも、いつも私のすぐ側に居ます・・・。

       私の心の中と・・・、颯爽と吹いて、私を包み込む、この風となって・・・」

 

       

 

 

 

 

 

 

 

終わり