イデア

 

 

                       

作者:ヒラマ コウ

 

 

 

登場人物

 

 

タケル・・・死んだことは認識しているが、どうやって死んだのかは覚えていない。自分はこの世で1人っきりだと思っている。

 

アキラ・・・転落事故でこの世界にやってきた。過去に弟のノボルを火災で亡くしている。

 

ライマ・・・この世界の案内人。見た目は小動物のような姿で少し光ってる。

 

ノボル・・・アキラの弟。火災により命を落としたのだが・・・。

 

 

 

 

比率 0:0:4

 

 

上演時間:50分

 

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CAST

 

タケル:

 

アキラ:

 

ライマ:

 

ノボル:

 

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タケル:僕は一度死んだ・・・。あまりにも突然であまり覚えていないが、気付いたらこの世界にいた。

    此処は、次の転生を決める審判の場所。そこで僕は自分の順番を待っているのだ。

 

 

アキラ:君は、学生?そんな若さで死ぬなんて気の毒にな・・・。

 

タケル:そう言うお兄さんこそ若いじゃん。何して死んだの?

 

アキラ:俺か?俺は転落事故だよ。仕事先でちょっとへまをしてな・・・。

    気付いたら此処にいたよ。人間、死ぬときはあっと言う間だな!あはははは!

 

タケル:本当、そうだね。まぁ、でも特にやりたい事もなかったし、別に良いかな。

 

アキラ:死んでしまったものは仕方ない。まだ時間あるみたいだし、ちょっと、この世界を探検でもしようぜ。

    ん?坊主、来ないのか?

 

タケル:僕は此処で待ってる・・・。

 

アキラ:なんだ?まさか、今で言うコミュ障ってタイプか?いけないぞ!人との触れ合いを恐れては!

 

タケル:お兄さんはいわゆる熱血系だよね?そんなに人の事ばかり気にしてて疲れないの?

 

アキラ:人付き合いなんて、そんな物だろ。変に冷めてる今時の子よりも、俺は良いと思うけどな。

 

タケル:そんなものなのかな。

 

アキラ:とにかく此処でずっと待っててもつまらないだけだ。ほら、行くぞ! 【タケルの手を強引に引っ張り連れて行く】

 

タケル:ちょっと、そんなに引っ張らないでよ!

 

 

 

 

アキラ:綺麗な景色だな!雲の上?いや何処までも透き通った水面?あっちに見えるのは滝なのか?

    ん?でも、空中から水が流れてるぞ!一体どうなってるんだ!?

 

タケル:ねぇ、聞いて良い?

 

アキラ:なんだ?お兄さんの性癖とかなら遠慮しとくぞ?

 

タケル:そんな事聞くわけねえだろ!馬鹿じゃねえの?

 

アキラ:あはははは!

 

タケル:お兄さんはさ、怖くないの?こんな現実離れした所に来てさ・・・。

    いつ、自分のこの自我が消えるかわからないんだよ・・・。

    なんで、そんなに楽しんだり出来るのさ・・・。

 

アキラ:俺だって怖いのは怖いさ・・・。だけど坊主、こんな時だからこそ、楽しむんだよ。

    これから先の事なんてわからない。だけど、後悔ばかりしてたら、前には進めないんだ。

    そう、後悔ばかりしていては・・・・。

 

タケル:お兄さん・・・?

 

アキラ:何でもねえよ。そんな事よりだ!いつまでも坊主やお兄さんじゃな・・・。

    俺はアキラ。坊主、お前は?

 

タケル:僕はタケル・・・。

 

アキラ:タケルか。いつまで一緒にいれるかわからないけど、宜しくな!

 

 

ライマ:キュー・・・。キューキュー・・・。」

 

アキラ:何だ?鳴き声?

 

ライマ:キューキュー!キューン!キューン!

 

アキラ:こっちからか!

 

タケル:アキラさん、何処行くの!待って!

 

 

アキラ:なんだこの生き物?怪我してるのか?

 

タケル:そうみたいだけど・・・。

 

アキラ:おい、お前、此処が痛いのか?

 

ライマ:キューン!

 

アキラ:そうか・・・。今、何とかしてやるからな!

 

タケル:何とかって、こんな猫かも兎かもわからない生物どうやって助けるのさ!

    心なしか、少し光ってるし!

 

アキラ:どんな生き物であれ、怪我してるのをほっとけ無いだろ!

 

タケル:・・・。

 

 

アキラ:よし、取りあえずこんなものかな・・・。おい、もう怪我なんてしないように気を付けろよ!

 

ライマ:キューン。

 

アキラ:お前、なんか可愛いな!俺、こう言うふわふわした生き物って好きなんだよな!

    こんな世界だから、もしかして喋ったりとかもあるのかもな。

 

ライマ:喋れますよ。

 

アキラ:ひえええええええええええ!!!

 

タケル:あっ、喋った。

 

ライマ:驚かせてしまったようで、すみません。危ない所を助けていただきありがとうございました。

    僕はライマと言います。

 

アキラ:凄い世界だな・・・。動物も喋れるなんて、まさしく現実離れしてやがるぜ・・・。

 

ライマ:動物?それは何でしょうか?

 

アキラ:お前みたいなふわふわした可愛い人間以外の生き物をそう人間の世界では言うんだ。

 

ライマ:そうでしたか。所で此処にいると言う事は、貴方達は審判の時を待っているのですね。

 

タケル:そうだよ。此処には、ライマ以外には居ないの?

 

ライマ:貴方達と同じ死んだ人間が沢山いますよ。皆さん、審判の時まで、自由にこの世界で待っておられます。

 

タケル:審判の時はいつ来るの?

 

ライマ:それは人ぞれぞれなので、何とも言えません。早い人なら此処に来てすぐですが、遅い人だと、貴方達の言う世界で

    半年から1年、下手したら数10年かかるかもしれません。

    此処は、色々な物がありますので、待ち時間は苦痛にならないと思いますが。

 

アキラ:なぁ、ライマ、何か食べるものは無いか?お腹が空いてんだけど。

 

ライマ:もう少し行ったところに、先に来た人間が開いた食べ物屋がありますよ。何ならいっそのこと

    ご自身で、作るのも手ですよ。

 

アキラ:自分で作る?一人でお店とかすぐに作れるわけないだろ!

 

ライマ:それが此処では出来るのです。ただ頭の中で思い描くだけなので、誰でも出来ますよ。

 

アキラ:頭の中で思い描く・・・。

 

ライマ:そうです。今、欲しい物を思い描いてください。

 

アキラ:う~ん・・・。こう・・・かな・・・?

 

タケル:何これ? 建物ぽいけど、あちこちボロボロだし、屋根も無いや。

 

アキラ:うるさいな!これでも必死に思い浮かべたんだぞ!

 

タケル:想像力が無いとこうなるんだね。

 

アキラ:お前な!!!そんなにはっきり言われると、お兄さんも凹むんだからな!いいか、謝るなら今の内だぞ!

    おい、聞いてるのか? おーい、無視は良くないぞ・・・。

 

タケル:ところでライマ、この世界では朝、昼、夜って概念はあるの?

 

ライマ:一応ありますよ。皆さん、人間でいた頃の記憶、生活リズムが残ってる方が大半ですので。ただし、あくまで

    人間の世界に合わせてるだけですので、実際は寝なくても、眠くなったりと言う事はありません。

 

タケル:ずっと起きてる事も可能って事ね。

 

ライマ:可能ですが、皆さん寝る方が大半ですので、寝る事をおすすめはしますよ。ところで、お連れの方、物陰で

    なんだか寂しそうに、こっちを見てますが、良いのですか?

 

タケル:あっ、良いの良いの!ああいう大人は、調子に乗らすとろくな事が無いから

    反省の時間だよ。

 

アキラ:おい、タケル!聴こえたぞ!お兄さん、虐められ続けたら、泣いちゃうんだからな!

 

タケル:勝手に泣いてろ。

 

アキラ:(嘘泣き)

 

ライマ:あのう、泣いてますが、本当に良いのですか?

 

タケル:大丈夫、あれは嘘泣きだよ。ほっといても大丈夫。

 

ライマ:そうですか。

 

タケル:とりあえず、まずは家を何とかしないと。ねぇ、ライマ。他の人が住んでるところに案内してもらって良い?

 

ライマ:お安い御用です。では、こちらです。

 

タケル:はーい。

 

アキラ:えっ?おい、本当に置いてくとか酷過ぎだろ!待てよ!いや、待ってくれー!

 

 

 

 

アキラ:やっと追いついた・・・。

 

タケル:そんなに息切れして大丈夫?

 

アキラ:誰のせいだと思ってるんだ!

 

タケル:え?誰のせい?

 

アキラ:そう来たか・・・。いかんな・・・。反抗期は・・・。お兄さん悲しいよ・・・。

 

タケル:ライマ、此処がみんなのいる所?

 

アキラ:おっ、なんだ、着いたのか!

 

ライマ:復活早いですね・・・。はい、此処が皆さんの住んでる所です。と言っても

    審判の時が思ったより早く来てしまい、住むところが完成したけど

    住んでない人もいるので、そういう家に住むのも手ですよ。

 

アキラ:だってよ!どうしようかな!悩むなこりゃあ!

 

ライマ:時間はたっぷりあるかどうかはわかりませんが、審判の時まで

    どうか、ご自由にこの世界でお過ごしください。

 

アキラ:案内、ありがとな!ライマ!さてと、タケル、俺達の住むところは何処にする?

 

タケル:えっ、一緒に住むの?

 

アキラ:当たり前だろ!せっかく知り合ったんだ!寂しい事言うなよ・・・。

 

タケル:ねぇ、ライマ、1人で住んじゃいけないの?

 

ライマ:別にそんな事ありませんよ。自由に、自分が思ったままにお過ごしくださって大丈夫です。

 

タケル:だってよ。

 

アキラ:そんなぁ・・・。

 

ライマ:ですが・・・、お2人共、此処に来てまもないですので、慣れるまでの時間、一緒にお過ごされたら

    如何でしょう?お1人より、話し相手にもなりますし、退屈はしないと思いますよ。

 

タケル:それはそうだけど・・・。

 

アキラ:ライマったら良い事言うじゃないか!じゃあ行こうぜ、タケル!

 

タケル:一緒に来たいなら勝手に付いてくれば・・・。

 

アキラ:おい、ちょっと待てよ!!!

 

ライマ:貴方は、後悔してるのですね。

 

アキラ:・・・何のことだ?

 

ライマ:あの子の前では隠しているようですが、僕にはわかります・・・。

    そんなに笑顔で笑い続けなくても良いのでは無いですか?

 

アキラ:お前に俺の何がわかる・・・。

 

ライマ:全てわかってます。此処では僕達に隠し事なんて出来ませんから。とは言っても生前の貴方達の事だけですが。

 

アキラ:そっか・・・。だけどライマ、あいつにはその事は言わないでくれ・・・。

    少しの時間で良いんだ。俺に夢を見させてくれないか・・・。

 

ライマ:貴方がそれを望むのなら構いません。だけどこれだけは覚えておいてください。

    此処は、次の世界に生まれ変わる為に存在してる世界。

    審判の時が終わり転生するまでの場所だと。

 

 

アキラ:あぁ・・・。

 

ライマ:タケルさんが、お待ちです。早く行ってあげてください。アキラさん。

 

アキラ:ライマ、お前・・・。

 

ライマ:言ったでしょう。全てわかっているって。どうか、後悔を残す事のないように。

 

アキラ:ありがとう・・・。

 

 

 

 

タケル:ライマの言う通り、あちこちに建物はあるけど、人が住んでない場所も多いや。

    それにしても、アキラさんのあのテンションは何なんだろう。

    嫌いじゃないけど、疲れるんだよな・・・。

 

アキラ:なんだ?もう俺の事が恋しくなったのか?

 

タケル:なるわけないだろ。ねぇ、ライマは?

 

アキラ:ん?何処かに消えたな。

 

タケル:消えた?

 

アキラ:あぁ、いつの間にか隣から消えてた。

 

タケル:そっか・・・。

 

アキラ:なぁ、タケル・・・、さっきの提案なんだけど、別に無理しなくても良いぞ。

    お前がどうしても嫌なら、俺は1人で住む場所探すしさ。

 

タケル:本当に良いの?

 

アキラ:俺だって大人だ。1人でもやっていけるさ、心配するな。

 

タケル:・・・。

 

アキラ:・・・。

 

タケル:アキラさんって心なしか頼りないし、あの想像力だし、1人じゃ心配だから

    もう少し一緒にいてあげるよ。

 

アキラ:本当か!?

 

タケル:ただし、僕が1人になりたいと感じた時は、出てくからね。

    それまでの間だけだからね!

 

アキラ:それで良い!ありがとうな!タケル!

 

タケル:アキラさんといると、なんか調子狂うんだよな。

 

アキラ:本当は嬉しいくせに!

 

タケル:調子にのってると、すぐに出てくんだからね!

 

アキラ:はいはい!わかってるよ!

 

タケル:本気だからね!

 

アキラ:あぁ!さてと、そうと決まればまずは住む所からだな。

    どんな建物が良いかな。

 

タケル:アキラさんの想像力じゃ、ろくな物が出来ないだろうから

    今度は僕にやらせて。

 

アキラ:聞き捨てならないけど・・・、まぁ良いや。とりあえずやってみろ。

 

タケル:うん。頭の中で思い描く・・・。

 

アキラ:おっ!ドアが現れた!仕組みはわからないけど、本当凄いよな!

 

タケル:集中してるのだから少し黙ってて。

 

アキラ:すまん・・・。

 

タケル:次は・・・、こう・・・かな・・・。それで・・・ここをこうして・・・。

    よし!出来た!

 

アキラ:おおおおおお!

 

タケル:普通の一階建ての家、思い浮かべてみたけど上手く出来た。

 

アキラ:タケル、お前才能あるな!

 

タケル:アキラさんの想像力が貧困なだけだよ。

 

アキラ:ガーン・・・!!!

 

タケル:日が暮れてきた。ほ~ら、そんな所で落ち込んでないで、さっさと家に入るよ。

 

アキラ:あぁ・・・。

 

 

タケル:此処が僕の部屋で、隣の部屋がアキラさんの部屋ね。

 

アキラ:なんだ、一緒の部屋じゃないのか。

 

タケル:アキラさんと一緒の部屋じゃ何されるかわからないからね!

 

アキラ:俺、信用なさすぎだろ!

 

タケル:最初の質問にたいしての返答から考えると当然のことだよ。

 

アキラ:あれは・・・タケルを笑わせたくて言っただけで・・・。

    別に変な事は考えてないと言うか・・・。

 

タケル:そうなんだ・・・。アキラさんて、見かけとは違って優しいんだね。

 

アキラ:そうだ!俺は優しい。だから、いつでも寂しくなったら、俺の部屋に来て良いからな!

 

タケル:誰が行くか!やっぱりさっきの言葉取り消す!

 

アキラ:そんなツンなところも可愛いな!たまらん!

 

タケル:変態!

 

アキラ:変態で悪いか!あははは!

 

タケル:まったく・・・。なんか疲れたから部屋で休む・・・。

 

アキラ:おい、何か食べなくて良いのか?

 

タケル:食べたいなら、自分で何か想像して出すか、外に食べに行けば。

    じゃあ、おやすみ~。

 

アキラ:おやすみ、また明日な。

 

 

アキラ:ライマは俺の名前やタケルの名前を知っていた。それに何もかも知ってるって。

    なら、もしかしたら・・・。

 

 

 

 

アキラ:ライマ!いないのか?ライマ!何処にいる!

 

ライマ:何か御用ですか?

 

アキラ:お前に頼みたいことがある。

 

ライマ:・・・弟さんの事ですね。

 

アキラ:お見通しってわけか・・・。

 

ライマ:弟さんの事が気になりますか?

 

アキラ:そんなの当たり前だろ!あいつは・・・、俺のせいで・・・。

 

ライマ:アキラさんの願いを叶えてあげる事は可能です。

 

アキラ:本当か?なら早く!

 

ライマ:落ち着いてください!まだ話は終わっていません!可能ではあるのですが、

    その事実を知ることで、アキラさんの自我が耐え切れずに、存在を消失するかもしれません。

    此処で、存在を消失すれば、二度と転生も出来なくなります。

    その覚悟がおありですか?

 

アキラ:存在が・・・消える・・・。

 

ライマ:永遠にこの世界で、苦痛も、喜びも、感じる事無く、漂う事になります。

 

アキラ:弟の事がわかるのなら・・・、俺はそれでも・・・。

 

ライマ:嘘はいけません。足が震えてますよ。

 

アキラ:・・・情けないよな。弟があの後どうなったか、知りたくてたまらないのに・・・、

    存在が消えるって知ると・・・震えが止まらない・・・。

 

ライマ:無理もありません。僕だって・・・自分の存在が消えるとしたら、怖いです・・・。

    ゆっくりと考えてみて下さい。

 

アキラ:決心がついたその時は・・・頼む。

 

ライマ:わかりました・・・。では、僕はこの辺で。

 

アキラ:あぁ、またな。

 

 

 

 

 

(タケルの元に戻りタケルの寝顔を見てから眠りにつくアキラ)

 

 

 

ノボル:兄貴・・・何処に居るの・・・?

 

アキラ:ノボル!こっちだ!そこは危ない!早くこっちに来るんだ!

 

ノボル:煙で前が見えないよ・・・。

 

アキラ:煙を吸うんじゃない!姿勢を低くして、声のする方に向かって進むんだ!

 

ノボル:ゴホッ!ゴホッ!無理だよ・・・。兄貴助けに来てよ・・・。

 

アキラ:勇気を出すんだ!お前なら出来る!

 

ノボル:もう駄目だよ・・・。苦しくて・・・動けないよ・・・。

 

アキラ:そんなことは無い!諦めないでお兄ちゃんのいる所まで来るんだ!

 

ノボル:僕・・・頑張るよ。

 

アキラ:その調子だ!こっちだ!ノボル!

 

ノボル:兄貴・・・此処狭い・・・。通り抜けれないよ・・・。

 

アキラ:もう少しなんだ!ほら!ノボル!手を伸ばせ!

 

ノボル:兄・・・貴・・・。

 

アキラ:ノボル・・・!

 

 

(その時、焼けてもろくなった天井の一部が穴を塞いだ)

 

 

アキラ:うわっ!・・・大丈夫か!ノボル!ノボル!返事しろ!

 

ノボル:兄貴!・・・、足が挟まって動かない・・・。

 

アキラ:クソッ!完全に塞がって動かない!ノボル!待ってろ!助けを呼んでくる!

 

ノボル:兄・・・貴・・・ごめんね・・・。

 

 

 

 

アキラ:誰もいない・・・!誰かノボルを助けてくれ!!!このままじゃノボルが・・・!!!

    はっ!貴方救助の人ですか!?お願いです!中にまだ俺の弟が!!!

    手遅れ?何を言ってるんです!?いや!離してください!ノボル!!!ノボル!!!

 

 

 

 

タケル:アキラさん、大丈夫・・・?

 

アキラ:ノボル?すまない・・・。悪い夢を見ていたんだ・・・。

 

タケル:ノボル・・・?僕はタケルだよ。

 

アキラ:そうだったな・・・。すまない・・・。

 

タケル:ねぇ、ノボルって誰なの?

 

アキラ:気になるのか?

 

タケル:うん・・・。お兄さん、凄く辛そうな顔して、うなされてたから・・・。

 

アキラ:そうか・・・。ノボルは・・・、俺の実の弟だ。

 

タケル:そうなんだ。弟さんに何かあったの?

 

アキラ:弟は・・・、タケルと同じくらいの年に亡くなったんだ・・・。

 

タケル:亡くなった・・・。

 

アキラ:あぁ・・・。生意気で、臆病で、でも心が凄く綺麗な弟だったよ。

    兄貴!兄貴!と本当可愛くてさ・・・。

 

タケル:ノボル君が羨ましいな・・・。

 

アキラ:どうしてだ?

 

タケル:だって、こんなに思ってくれる兄がいるなんて・・・僕は誰にも必要とされなくて・・・、

    いつも1人ぼっちだった・・・。

 

アキラ:親も居なかったのか?

 

タケル:親は・・・、僕を生んだ母さんは小さい頃に亡くなったよ・・・。

    その後に父さんは再婚して、若い新しいお母さんが出来たけど、

    僕は・・・邪険にされはじめ・・・初めは父さんも僕を庇ってくれたけど・・・、

    その新しいお母さんに段々魅了されて、

    ついには僕の事なんて気にする事さえ無くなったんだ・・・。

 

アキラ:家で1人ぼっちだったって事か?

 

タケル:うん・・・。初めは凄く悲しくて、涙が止まらなかった・・・。

    だけどさ、人間の慣れって凄いよね・・・。そんな日々が続いてく内に涙も出無くなって、

    悲しいとも思わなくなったよ・・・。学校でも1人・・・、家でも1人・・・、

    こんな自分、生きてて意味あるのかなって・・・。

 

 

(思わずタケルを強く抱きしめるアキラ)

 

 

アキラ:もう喋るな・・・。

 

タケル:居場所が何処にも無かった・・・。

 

アキラ:喋るなって言ってるだろ!もうこれ以上自分を傷つけなくて良いんだ!

 

タケル:僕は・・・。

 

アキラ:タケル、お前は悪くない!お前1人で背負い込む必要は無いんだ!

 

タケル:もう苦しまなくて良いの・・・?

 

アキラ:馬鹿!当然だろ!今までよく1人で頑張ったな・・・!

 

タケル:うん・・・。

 

アキラ:悲しい時は素直に泣いて良いんだ!

 

タケル:うん・・・。

 

アキラ:これからは俺が側に居る!

 

タケル:本当に?

 

アキラ:約束する!タケル、俺がずっと居てやる。

 

タケル:アキラさん・・・。

 

アキラ:さんづけは他人ぽくて嫌だな・・・。

 

タケル:じゃあ、兄・・・貴・・・。

 

アキラ:なんだタケル?

 

タケル:僕の兄貴になってくれるの・・・?

 

アキラ:勿論だ!

 

タケル:ありがとう・・・。兄貴・・・。

 

 

 

 

アキラ:安心して眠ったのか・・・。まだまだ子供だな・・・。なぁ、ノボル、兄ちゃん、これで良いんだよな・・・。

 

 

ライマ:アキラさん、タケルさん、この先の試練にどうか打ち勝ってください。貴方達ならきっと・・・。

 

 

(この異世界に来て1か月が経とうとしていた・・・)

 

 

 

 

アキラ:此処に来てもう1か月か・・・。なぁ、俺の想像力も最初の頃から比べるとだいぶ成長したよな?

 

タケル:そうだね。兄貴はかなり成長したと思うよ。僕にはまだまだ勝てないけどさ。

 

アキラ:こいつ!生意気だぞ!生意気な奴はこうだ!(タケルの髪をくしゃくしゃにする)

 

タケル:あぁ!?何するんだよ馬鹿兄貴!

 

アキラ:生意気な事言った罰だ!!!

 

タケル:意味わかんない!兄貴なんて知らない!

 

アキラ:おい!どこに行くんだ?

 

タケル:ちょっと1人で散歩してくる!心配しないで大丈夫だからね!

 

アキラ:暗くならないうちに帰って来るんだぞ!

 

タケル:わかってるよ!

 

 

 

 

アキラ:本当しょうがない奴だな・・・。

 

ライマ:相変わらずの仲の良さですね。

 

アキラ:おう!ライマ!なんだ?審判の時の知らせに来たのか?

 

ライマ:そうですと言ったらどうしますか?

 

アキラ:なんだ・・・。今回はマジなんだな・・・。

 

ライマ:はい・・・。

 

アキラ:はぁ~、この楽しい時間も終わりが近いのか・・・。

 

ライマ:物事にはやがて終わりは来ます。それが短いか長いかまでは人それぞれですので、わかりませんが・・・、

    アキラさんとタケルさんに関しては約1か月でしたね。

    アキラさん、この1か月はどうでしたか?

 

アキラ:凄く楽しかったよ。タケルが弟になってくれて、このままずっとこの生活が続いてくれれば良いとさえ思った。

    だけど・・・。

 

ライマ:タケルさんが兄貴と呼ぶたびに、思い出してたんですね。ノボルさんの事を。

 

アキラ:その通りだ。その事に俺は罪悪感を抱いたよ・・・。

 

ライマ:ノボルさんに会いたいですか?

 

アキラ:・・・。

 

ライマ:アキラさん、どうなんですか?

 

アキラ:・・・会いたい。

 

ライマ:・・・わかりました。では目をつぶってください。

 

アキラ:あぁ・・・。

 

ライマ:アキラさん、では強く思い浮かべてください。あの日、あの時、あの光景を。

 

アキラ:・・・。

 

ライマ:そしてノボルさんを強く思ってください。

 

アキラ:ノボル・・・。ノボルにもう一度会いたい・・・!

 

ライマ:アキラさんの決意と覚悟を受け取りました!それでは・・・。時空の門よ!この迷える魂を導き、進むべき道を示したまえ!

 

 

(ライマの掛け声と共に、アキラの前に現れる時空の門、そして静かに門は開きはじめる)

 

 

ライマ:目を開けてください。アキラさん。

 

アキラ:この扉の向こうにノボルがいるのか・・・?

 

ライマ:はい、アキラさんをお待ちです。扉の先の白い階段を上がってください。

 

アキラ:わかった。ありがとうな、ライマ。

 

ライマ:アキラさん、前にも言いましたが・・・。

 

アキラ:わかっている・・・。もう決めた事だ・・・。

 

ライマ:わかりました・・・。どうかご無事で・・・。

 

アキラ:行って来る。もしもの時はタケルの事頼む。

 

ライマ:はい・・・。では、行ってらっしゃいませ。

 

 

 

 

タケル:う~ん、今夜は何作ってあげようかな。兄貴、全然料理上手くならないし、やっぱり僕がしっかりしないと・・・。

    さてと!もうそろそろ、戻ろうかな。

 

ライマ:タケルさん。

 

タケル:ライマ!どうしたの?もしかして兄貴に頼まれて僕を探しに来たの?

 

ライマ:いいえ。違いますよ。

 

タケル:じゃあ、他に何か用事?

 

ライマ:はい。・・・タケルさん、アキラさんは審判の時を迎えました。そして今、来世に進むための試練を受けています。

 

タケル:試練?僕も受ける感じ?

 

ライマ:アキラさんの試練についてこれからお話します。

 

タケル:わかった・・・。

 

 

 

(門のさきの階段を一歩ずつ上がっていくアキラ。上がりきると、そこは白い空間だった)

 

 

 

アキラ:この先にノボルが・・・。待っててくれ。ノボル・・・。

 

アキラ:上がりきったが、ここは?

 

ノボル:待ってたよ。兄貴。

 

アキラ:ノボルなのか?

 

ノボル:うん、そうだよ。久しぶりだね。

 

アキラ:兄ちゃんは・・・、ずっとノボルの事が・・・。

 

ノボル:うん、わかってる。辛い思いさせてごめんね・・・。

 

アキラ:何を言うんだ!俺こそ、ノボルを助けてやれなかった・・・。

 

ノボル:兄貴、違うんだ・・・。

 

アキラ:違うってどういう事だ?

 

ノボル:兄貴は悪くないんだ・・・。

 

アキラ:俺は悪くないだと・・・?

 

ノボル:うん・・・。実はね兄貴・・・、僕はどの道、死ぬ運命だったんだ・・・。

 

アキラ:死ぬ運命?何を言い出すんだ?

 

ノボル:最後まで黙って聞いて。僕ね・・・、重度の心臓病だったんだ・・・。

 

アキラ:心臓病・・・。

 

ノボル:うん・・・。

 

アキラ:そんな大事な事なんで黙ってたんだ?

 

ノボル:だって・・・、治療代も凄くかかるし・・・、兄貴に負担をかけたくなかった・・・。

 

アキラ:負担って・・・。

 

ノボル:お父さん、お母さんが亡くなってから、兄貴が俺を一人で育ててくれた・・・。学校にも通わせてくれた・・・。

    だけど僕は・・・そんな兄貴に何もしてあげれない・・・。それどころか、こんな病気にまでなって・・・、

    この先も負担をかけなくちゃいけない・・・。それが辛かったんだ・・・。

 

アキラ:ノボル・・・。

 

ノボル:だからね、あの日、もうああするしか無かった。兄貴が寝た後に、自分の部屋に火をつけたんだ・・・。

 

アキラ:そんな・・・。

 

ノボル:これで何もかも楽になると思った。だけど、兄貴の声が聴こえて、僕・・・死ぬのが怖くなった・・・。

    兄貴と一緒に生きたいと思った。だけど・・・手を伸ばした時に、天井の一部が落ちてきて閉じ込められた時、

    これは罰なんだって思った。兄貴を苦しめ続け、こんな馬鹿な事した罰なんだって・・・。

 

 

アキラ:なんでなんだ・・・。にいちゃん、ノボルの事、負担に思った事一度も無いのに・・・。

 

 

ノボル:嘘だよ。兄貴、いつも帰って来て疲れたって言ってたじゃん。疲れてるのに夕飯の準備をして、終わったら

    また次のバイトに行って・・・、僕の為とはわかってても、本当は寂しかった・・・。

    そしてそんな気持ちになる自分自身が許せなかった・・・。

 

 

アキラ:ノボル・・・そんなお前の気持ちに気づいてやれなかった・・・。俺がもっと早く気づいていたらこんな事には・・・。

 

ノボル:兄貴のせいじゃないよ・・・。全部僕のせいなんだ・・・。だからもう僕の事は忘れて、前に進んでよ。

 

アキラ:お前はどうなるんだ?

 

ノボル:・・・。

 

アキラ:お前を1人になんて出来るわけ無いだろ!

 

ノボル:兄貴・・・。でも、タケル君はどうするの?約束したんでしょ?

 

アキラ:なんでその事を・・・。

 

ノボル:ずっと此処から見てたからね・・・。

 

アキラ:違うんだ、ノボル!俺は・・・。

 

ノボル:良いんだよ・・・。僕の事は忘れて、タケル君と幸せになって・・・。

 

アキラ:何を言い出すんだ!そうだ!ノボル、お前も一緒に来るんだ。俺とノボルとタケル、3人で一緒に幸せになろう!

 

ノボル:優しいんだね・・・。でもね兄貴、それは無理なんだ・・・。そうでしょ、ライマ!

 

ライマ:その通りです。ノボルさん。

 

アキラ:ライマ、どういう事だ!?

 

ライマ:アキラさん・・・、タケルさんとノボルさん、どちらか1人を選んでください。

 

アキラ:どちらか1人をだと・・・?

 

ライマ:はい。それがアキラさんへの試練になります。

 

アキラ:そんな・・・。

 

ライマ:もう間もなくタケルさんも此処に来られます。

 

アキラ:タケルにも試練の事伝えたのか・・・?

 

ライマ:はい。それが僕の仕事ですから・・・。

 

アキラ:そうか・・・。

 

 

 

 

タケル:兄貴・・・。

 

アキラ:タケル・・・。

 

タケル:事情は全部ライマから聞いたよ。僕の事は良いから、ノボル君と幸せになってよ・・・!

 

アキラ:それじゃあ、お前はどうなる?

 

タケル:それは・・・。

 

ライマ:選ばれなかった方は、此処で永遠に彷徨う事になります。誰にも気づいてもらう事なく1人で無の世界に。

 

タケル:僕はそれでも良いよ!兄貴との1か月間、本当に楽しかったし、嬉しかった・・・。兄貴がいたらこんなんだったろうなって。

    だけどね、もう十分だよ。兄貴はノボル君に返すよ。

 

 

アキラ:俺は嫌だ!タケル!お前が消滅するなんて、受け入れれるわけないだろ!

 

タケル:だけど、それじゃあノボル君が・・・。

 

 

ノボル:僕の事は良いよ。此処でタケル君と兄貴の過ごした1か月を見て思ったんだ。もう僕は兄貴に必要ないって・・・。

    いつまでも兄貴の重荷になっていたくないんだ・・・。だからタケル君、僕の分まで兄貴を頼むね。

 

タケル:ノボル君・・・。

 

アキラ:タケル・・・、ノボル・・・。

 

ライマ:時間です。アキラさん、貴方はタケルさんとノボルさん、どちらを選びますか?

 

アキラ:何か他に方法は無いのか!?

 

ライマ:ありません。辛いのはわかりますが、決断をしなければ、3人共消滅します・・・。

 

アキラ:・・・。

 

ライマ:アキラさん、決断を!

 

アキラ:俺には・・・どちらか1人なんて選べない!!!だからこうする!ライマ、2人の代わりに俺の魂を消滅させろ!

    それでタケルとノボルは来世にちゃんと転生させてくれ!

 

タケル:兄貴・・・!

 

ノボル:兄貴、なんで?

 

 

ライマ:もう二度とお2人に会えないんですよ?良いのですか?この先、永遠に無の世界で誰にも触れることも

    話しかけることも出来ないまま過ごすのですよ!

 

 

アキラ:あぁ、それでかまわない!俺の魂1つで、タケルとノボルが、この先も幸せに生きられるのなら、悔いなんて残らない!

 

ライマ:わかりました!では・・・。汝の願い確かに聞き入れた!来世への門、今ここに開かれん!

 

アキラ:タケル、ノボル、お別れだ。

 

タケル:こんな別れ方嫌だよ・・・。もっと色々な事沢山、兄貴と一緒にしたかった・・・。

 

アキラ:ごめんな・・・、タケル。俺は2人が幸せならそれで良いんだ。

 

タケル:兄貴・・・。

 

アキラ:ノボル!タケルの事頼んだぞ。

 

ノボル:兄貴の馬鹿野郎・・・。

 

アキラ:最後の別れなのに馬鹿は無いだろう。

 

ノボル:だって・・・。

 

アキラ:なんだ?

 

ノボル:兄貴とずっと一緒に居たかった!

 

アキラ:俺もだ。だけどな、これからはもっと強くなるんだ。わかったな?

 

ノボル:うん・・・、約束する。

 

アキラ:良い子だ。じゃあノボル、タケルの事、頼んだぞ。

 

ノボル:うん・・・!

 

アキラ:じゃあな!タケル!ノボル!俺のぶんまで幸せになってくれ!兄ちゃんは例え消滅してもお前たちの側に居る!

    お前達をずっと見守ってるからな・・・。

 

 

 

タケル

    (一緒に):兄貴・・・!!!

ノボル

 

 

ライマ:アキラさんの魂の消滅を確認しました。タケルさん、ノボルさん、アキラさんのぶんまで強く生きてください。

    さぁ、来世への門が貴方達を待ってます。

 

 

タケル:うん・・・。

 

 

 

 

ライマ:それでは・・・。選ばれし2つの魂が今ここに!来世への門よ!新たなる2つの魂の進むべき道を示したまえ!

 

 

 

ノボル:タケル君、行くよ・・・。

 

タケル:うん・・・。

 

 

 

 

長い間

 

 

タケル:此処は・・・?

 

ノボル:さっきまでの空間とは違うみたいだね。

 

タケル:うん・・・。兄貴は・・・。

 

ノボル:もう居ないよ・・・。

 

タケル:兄貴・・・。

 

ノボル:こんな所に座り込んでいたら兄貴に怒られるよ!前を進もう。

 

タケル:うん・・・。

 

ノボル:・・・。

 

タケル:・・・。

 

ノボル:兄貴・・・。

 

タケル:ノボル君・・・。

 

 

長い間

 

 

アキラ:離れて間もないのにもうそれか?先が思いやられるな!

 

 

タケル:

     兄貴!?

ノボル:

 

 

アキラ:なんだなんだ2人揃って!本当しょうがないな!

 

タケル:なんで?どうして?

 

アキラ:それが俺にもわからないんだよ・・・。

 

ライマ:僕から説明致しましょう。

 

ノボル:ライマ、どういう事なの?

 

 

ライマ:本来なら申した通り、アキラさんは2人の身代わりとなり消滅する運命でした。

    しかし、アキラさんの身を挺(てい)した行動が、その運命を改変させたのです。

    2人への思いが起こした奇跡です。

 

 

アキラ:じゃあ俺は・・・。

 

ライマ:はい。タケルさん、ノボルさんと共に来世へ進めますよ。

 

タケル:良かったね、兄貴!

 

アキラ:あぁ!

 

ノボル:兄貴、これ夢じゃないよね?

 

アキラ:夢なんかじゃない。これから俺達は一緒に居られるんだ。

 

ノボル:うん。これからも宜しくね。兄貴。

 

アキラ:こちらこそ宜しくな。ノボル!

 

タケル:あぁ!!!ノボル、ズルい!僕も兄貴と宜しくする!

 

ノボル:これからは2人の兄貴だから心配しないで、タケル!

 

タケル:そうだね!ずっと3人で一緒だね!

 

アキラ:そうだな!

 

ライマ:アキラさん、タケルさん、ノボルさん、来世では何がおこるかまだわかりません。

    ですが、貴方達なら今度はきっとどんな運命も乗り越えれると思います!

    いつまでもお元気で!

 

アキラ:ライマ!お前はどうなる?

 

ライマ:私はこれからも此処の番人です。新たに来る魂を導く役目があります。

 

アキラ:そうか。またいつか死んだら、その時は会えるのか?

 

ライマ:会えるかもしれませんし、会えないかもしれません。ただ、貴方達がそう望むのなら、

    また会えるかもしれませんね。だけど、そんな事考える前に来世では長生きをしてください。

    これが僕からのお願いです。

 

アキラ:わかったよ。じゃあ、またな。ライマ!

 

タケル:またね、ライマ!

 

ノボル:ありがとう!ライマ!

 

ライマ:はい!お元気で!アキラさん、タケルさん、ノボルさん!

 

 

 

 

タケル:じゃあそろそろ行こうか!兄貴!

 

アキラ:そうだな!

 

ノボル:まだ見ぬ新しい世界へ!

 

アキラ:出発だ!タケル!ノボル!

 

 

 

 

 

終わり