Ability Crack down
アビリティ・クラックダウン 第２話 拒絶
作者：ヒラマ コウ
比率：【３：２】
上演時間：【５０分】
登場人物
紫藤 茜(しどう あかね) ・・・ ２７歳 特殊能力、相手の考えてる事がわかる能力。
数年前、特殊能力を持つ者に、結婚間近の恋人を殺され、その犯人を独自に追い続けていた
そんな中、特殊部隊のリーダー、東藤と出会い、特殊部隊に入る事になる
２期メンバー
荒川 慎吾(あらかわ しんご)・・・２５歳 特殊部隊所属、特殊能力、予知能力
大事な家族を、特殊能力を持つ者に殺され、この部隊が設立されたのを知り、
所属するのを決意する
初期メンバー
東藤 武蔵(とうどう むさし)・・・４０歳 紫藤と荒川の上司で特殊部隊リーダー。特殊能力、鉄を自由に操る
特殊部隊が設立されて、これまでに、同期のメンバーを殺されたり、
辛い経験もしており、部隊を心から守ろうと、正義感が強く部下からの信頼も厚い
初期メンバー
篠崎 健太(しのざき けんた)・・・２３歳 特殊部隊所属、特殊能力、驚異的な跳躍力
かつては犯罪者であったが、東藤に更生させられ、その持ち前の能力から、
特殊部隊にスカウトされる。紫藤より半年ほど先に入ってるので、
先輩のはずなのだが、なぜか、後輩みたいな扱いをうける
２期メンバー
テミス(小柳 倫子 こやなぎ りんこ)・・・２７歳 荒川 慎吾の大学時代の先輩
男に襲われ、特殊能力に目覚める
物質、人など、燃やす事が出来る
男１、男、２・・・小柳 倫子を公園でレイプしようとしたが、特殊能力に目覚めた小柳により、燃やされ絶命する
大学教授・・・テミスとなった小柳倫子により、燃やされ絶命する
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ＣＡＳＴ
紫藤 茜：
荒川 慎吾：
東藤 武蔵、男１、大学教授：
篠崎 健太、男２：
テミス(小柳 倫子)：
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東藤：「前回までの、アビリティ・クラックダウン」
篠崎：「銀行を襲い続けた、リボルバーを、新たなメンバー、紫藤の協力により、無事に鎮圧」
荒川：「しかし、リボルバーとの交戦により大怪我をし、病院に搬送される篠崎・・・」
紫藤：「騒ぎも、冷めやらぬ中、新たな事件が、特殊部隊を、待ち構えていた」
東藤：「アビリティ・クラックダウン 第２話」
荒川：「拒絶」
(八王子市内 公園 ＡＭ１：００)
小柳：「あ～もう・・・。すっかり、遅くなったわね。
・・・課長の頼みじゃ仕方ないけど、毎日、残業ばかりで、嫌になるわね・・・」
荒川：「あの・・・」
小柳：「きゃああああああああああ！ 誰！？」
荒川：「ああああああ！？ いきなり声かけてすみません。俺は・・・」
小柳：「その声、もしかして、荒川君！？」
荒川：「え！？」
小柳：「私よ、私・・・。小柳 倫子」
荒川：「小柳先輩・・・。お久しぶりです」
小柳：「もう、相変わらず、真面目なんだから・・・。大学以来よね。元気だった？」
荒川：「色々ありましたが、何とか・・・」
小柳：「そう言う所も、相変わらずよね。・・・ねぇ、立ち話も何だし、そこの公園で、少し話さない？」
荒川：「でも・・・、夜も遅いので、真っ直ぐ帰宅した方が、良いですよ」
小柳：「平気平気。折角、久しぶりに会えたんだから、少し付き合って。ねっ」
荒川：「・・・わかりました。少しだけですよ」
小柳：「ありがとう。荒川君」
（街灯の近くのベンチに、腰掛ける小柳と、自販機で缶コーヒー、買って渡す荒川）
荒川：「どうぞ」
小柳：「おっ、気が利くね」
荒川：「それ程でも。・・・小柳先輩は、いつもこんな夜遅くに、帰宅なんですか？」
小柳：「最近はね・・・。残業続きで、この時間なのよね・・・。もしかして、私の事、心配してる？」
荒川：「そりゃ、まぁ・・・。夜遅く、女性一人だけは、危険ですし・・・、その・・・」
小柳：「はは～ん、それで、さっきもいきなり、声かけたわけだ」
荒川：「・・・」
小柳：「図星みたいね・・・。ありがとうね。荒川君。・・・でも、余計なお世話よ」
荒川：「え・・・？」
小柳：「１０代の乙女なら、襲われるかもだけど、
こんな２０代後半の、私なんて、襲う奴なんていないわよ。だからさ、心配し過ぎ」
荒川：「そんな事ないです！ 先輩は、いまでも・・・！ その・・・、綺麗です・・・」
小柳：「荒川君・・・。もう、下手な、お世辞はよしてよ・・・」
荒川：「お世辞じゃないです。・・・先輩は、昔から俺の憧れでした。
大学でも、優秀で、何でも出来て、メンバーからの好感度も良くて、
真面目なだけで不器用な、俺とは・・・まるで、正反対で・・・」
小柳：「あの頃の、荒川君は、そんな感じだったわよね。でも、今の荒川君は、何だか、表情が豊かになった感じ。
真面目なのは、相変わらずだけど」
荒川：「俺が変われたのは、今の仲間のおかげなんです。怒ると怖いけど、頼りになる上司。
調子が良いけど、憎めない後輩。・・・大変な職場ですが、今の俺にとって、大切な仲間です」
小柳：「良い職場なのね」
荒川：「はい。・・・でも、その仲間がこの前、大怪我をして・・・。
・・・俺がもっとしっかりしてたら・・・、防げたかもしれないんです・・・」
小柳：「過ぎた事は、過ぎた事。・・・後悔しても何も変わらないわよ。ちゃんと前に進まなきゃ。ねっ」
荒川：「小柳先輩・・・」
小柳：「それにしても、大怪我するなんて、荒川君、刑事とかにでもなったの？」
荒川：「え！？ どうして、そう思うのですか？」
小柳：「だって、夜道歩いてる女性に、いきなり声かけたりしてるし・・・、そうじゃないかなって・・・」
荒川：「・・・」
小柳：「ごめん・・・。聞いちゃいけなかったかな？」
荒川：「・・・先輩には、嘘はつけませんね。まぁ、そんな感じです」
小柳：「そっか～。荒川君が、刑事か。正義感強いし、真面目だし、打って付けだ」
荒川：「褒め過ぎです。先輩・・・」
小柳：「ごめんごめん」
荒川：「あの、先輩は・・・」
小柳：「私の仕事は・・・。まぁ・・・、その話は、またいつかね・・・」
荒川：「わかりました」
小柳：「それにしても、荒川君、私の事、憧れの先輩って思ってくれてたんだ。
何か、嬉しい・・・」
荒川：「小柳先輩・・・」
小柳：「今日、再開、出来て良かったわ。こんな私でも、憧れの先輩なのが、わかったから。
今、とても、良い気分よ。
あっ、荒川君、電話番号って・・・？」
荒川：「変わってないですよ」
小柳：「良かった。なら、また今度、会いましょう。連絡するわね」
荒川：「わかりました。・・・あっ、小柳先輩！」
小柳：「何？」
荒川：「ちゃんと、寄り道しないで、帰って下さいよ」
小柳：「子供じゃないんだから、わかってるわよ！ またね！ 荒川君」
荒川：「相変わらず、元気だな。先輩は・・・。
もう少し見回ったら、俺も帰るか・・・」
間
小柳（Ｍ）：「ごめんね・・・。荒川君。・・・貴方と、もっと早くに、再開したかったよ・・・。
そうしていたら、私達は、あの頃のように、何事もなく、笑いあえてたと思うから・・・。
全ては、あの日から、変わった・・・」
（数週間前、八王子市内 公園 ＡＭ１：００）
（ベンチで１人、溜息をついて、考え事してる小柳）
男２：「なぁなぁ、あこそ見てみ」
男１：「あぁ、悪く無いな」
男２：「ヘヘッ、今夜の相手は、あいつで決まり」
男１：「精々、楽しませてもらおうぜ・・・」
間
小柳：「（溜息）・・・昔に、戻れたらな～」
男１：「そこのお姉さん、溜息なんて付いて、どうしちゃったの？」
小柳：「誰よ、貴方・・・。良いから、放っておいて・・・」
男１：「そんな釣れない事、言ってないで、溜息の原因、俺に話してみてよ」
小柳：「会社で嫌な事があっただけよ。わかったでしょ。早くどっかに行って」
男１：「そりゃ、災難だったね。そんな嫌な気分なんて、俺達と遊んで、ぱ～っと発散しちゃおうよ」
小柳：「俺達・・・？」
男２：「そう、俺達・・・」
小柳：「え？ いつの間に・・・」
男２：「姉ちゃん、こんな真夜中に、人気のない公園に一人で来てて、いけないねぇ・・・」
男１：「そんな非常識な女には、俺達が、気持ちの良い事、教えてやるよ」
小柳：「そんなのお断りよ・・・。良いから、どっか行って！」
男１：「威勢だけは良いじゃんか。・・・おいっ、やれ」
小柳：「きゃっ・・・！ 何するの・・・！ 離して・・・！！！」
男２：「暴れんな！ 大人しくしてろ！！！」（ビンタを食らわす）
小柳：「きゃっ・・・」
男１：「ようやく、大人しくなったか。・・・おい、手おさえてろ」
男２：「おう」
小柳（Ｍ）：「誰か助けて・・・」
男２：「なぁ、早くやっちまえよ！」
男１：「うるせ～！ 焦るな！！！」
小柳（Ｍ）：「・・・何で、私ばかり、こんな目に・・・」
男２：「なぁ、見て見ろ。こいつ、泣いてるぜ。可哀想に」
男１：「こんな夜中に、一人で居た、自分を、嘆くんだな！」
小柳（Ｍ）：「神様・・・。私が悪かったの・・・？ もう、こんな人生、嫌・・・！
どうして・・・、私は・・・、こんなにも、無力なの・・・！」
男１：「さ～てと、じゃあ、いただきま～す！」
小柳（Ｍ）：「いやあああああああああああああああああ！！！！！」
間
（小柳は能力に目覚め目の前の男の体を燃え上がらせる）
男１：「うわあああああああああああ！？ 何だこれは！？ 火だ！！！ 俺の体が、燃えてる！！！！？」
男２：「おいっ！ この女、何しやがった！？」
男１：「良いから、早く水持ってこい！！！ ボケがあああああああ！！！」
男２：「わかったよ！？ 待ってろ！！！」
小柳（Ｍ）：「これ、私がやったの・・・？」
男１：「ぐがああああ！！！ 熱ちいいいいいい！！！！
どうやったかは、知らねぇが、舐めた真似しやがって、ぶっ殺してやる！！！」
小柳：「神様からの天罰よ！ そのまま、焼き死になさい！！！！！」（男に対して、手を振りかざす）
（男の体を包んでいた炎が、勢いを増して、男を燃やす）
男１：「ぐあああああああああああああああああああああ！！！！！ 誰か助けてくれええええええ！！！！」
小柳：「自分の愚かな過ちを、悔いて、死になさい！！！！」
男１：「ぐあああああああああああああああああ！！！！」
間
男２：「水、持ってきたぜ。・・・おいっ・・・。嘘だろ・・・。ひいいいいいい！！！ 死んでる！！！」
小柳：「次は、貴方の番よ・・・」
男２：「ひいいいいいいいいいいい！！！！ 誰か！？ おい！？ 誰か居ないのか！？ 助けてくれ・・・。
腰が抜けて、立てねぇよ・・・！」
小柳：「さよう・・・なら！！！！」
（男の体が一瞬にして、炎に包まれる）
男２：「ぎゃああああああああああああああああああ！！！！」
（黒焦げになって、絶命する男。それを見て、微笑む小柳）
小柳：「ふふふ・・・。この力があれば・・・、もう苦しみ・・・、耐える事なんて無いわ。
・・・愚かな男共を、この私が、全員、この手で、裁いてあげる・・・」
（現在 八王子市内 特殊部隊本部 ＡＭ１１：００）
荒川：「・・・」
東藤：「朝から、険しい顏だな。荒川」
荒川：「東藤リーダー、おはようございます」
東藤：「おはよう。・・・その様子だと、連続焼死事件の犯人の手掛かりは、掴めてないわけだな」
荒川：「事件のあった、現場付近を見張っていましたが、今の所、手掛かりは、見つかりませんでした。
ただ、今回の事件、気になる点が一つ・・・」
東藤：「何だ？ 言ってみろ」
荒川：「はい。どの焼死体も、科捜研の検査の結果、男性というのがわかりました」
東藤：「男性ばかりだと・・・。それは、ただの偶然では無いという事か？」
荒川：「その可能性も、無いとは言えませんが・・・」
東藤：「わかった。荒川は、引き続き、現場付近での、聞き込みなどを、頼む」
荒川：「東藤リーダー、あの・・・」
東藤：「どうした？」
荒川：「すみません・・・。これから、篠崎のお見舞いに行こうかと・・・」
東藤：「なら丁度良い。俺も、これから病院に行く用事があるから、お見舞いなら、代わりに行って来てやる」
荒川：「お気持ちは嬉しいのですが・・・、その・・・」
東藤：「ん？ 俺じゃ、何か不都合なのか？」
荒川：「篠崎に、頼まれた物が、ありまして・・・」
東藤：「要するに、それを、篠崎に渡せば良いんだろ？」
荒川：「まぁ、そうなんですが・・・」
東藤：「なら、早く渡せ」
荒川：「（溜息）・・・これです。」
東藤：「確かに、受け取った。これは、俺が責任もって、篠崎に渡す」
荒川：「宜しく、お願いします」
東藤：「では、行って来る。引き続き、現場の調査、宜しく頼むぞ」
荒川：「はいっ！ ・・・（溜息）・・・俺は、全力で止めたからな・・・。恨むなよ・・・。篠崎・・・」
（八王子市内 病院 ＡＭ１１時３０分）
篠崎（Ｍ）：「遅い・・・。先輩、何処で道草してるんだろう・・・」
（病室のドア、ノック）
篠崎：「はい。空いてるっすよ。・・・先輩、待ちくたびれたっすよ・・・」
東藤：「よお、元気そうだな。篠崎」
篠崎：「えええええええ！？ リーダー！？」
東藤：「何だ、その驚きようは。俺が見舞いに来たら、駄目だったか？」
篠崎：「そんな事ないっすよ！？ むしろ、大歓迎っすよ・・・」
東藤：「なら、良いのだが」
篠崎：「えっと～、・・・荒川先輩も、一緒っすか？」
東藤：「荒川は、新たに発生した、事件を調査中だ」
篠崎：「新たな事件！？ それ、初耳っすよ！」
東藤：「お前は、病人なんだ。当たり前だろ。事件は、俺達に任せて、体を直す事、第一に考えるんだ」
篠崎：「でも・・・。リーダー・・・」
東藤：「仕方ない奴だな・・・。良いか。捜査資料だけだぞ」
篠崎：「ありがとうっす」
間
東藤：「今回の事件に関して、わかってる事は、以上だ」
篠崎：「連続焼死事件・・・。新たな、能力者の仕業って事っすね・・・」
東藤：「警察も捜査を続けてるが、俺達の部隊に、捜査依頼が入った事から、考えても、その可能性が高いな」
篠崎：「今の世の中、狂ってるっすね・・・」
東藤：「あぁ・・・。だが、その狂ってる世の中を、止める為、俺達が居るんだ」
篠崎：「そうっすね」
東藤：「・・・あっ、そうそう。忘れる所だった。・・・これ、荒川から預かったぞ」
篠崎：「やった！ 荒川先輩、来ない見たいだし、お預けかと思ったっすよ・・・」
東藤：「そのはしゃぎっぷり、何だか怪しいな・・・。篠崎、荒川に何を頼んだんだ？ その袋、見せて見ろ！」
篠崎：「嫌っすよ！ これは、ただの・・・食べ物っす！」
東藤：「ほう～・・・」
篠崎：「リーダー、その疑いの眼差し、酷いっすよ・・・」
東藤：「あぁ、すまない・・・。つい、癖でな・・・。
お前の元気そうな顔が見れて、とにかく良かった。良いか、無茶はするなよ」
篠崎：「わかってるっすよ。・・・リーダー。お見舞い、嬉しかったっす」
東藤：「じゃあな」
（病室から出てく東藤）
間
篠崎：「（溜息）危なかったっす・・・。
この差し入れ、リーダーに見つかったりでもしたら、大目玉食らう所だったっすよ・・・。
さてさて、もう戻って来ないだろうし、早速、楽しむっすよ！」
間
（八王子市内 病院 ＰＭ１２時３０分）
東藤：「先生、ありがとうございました。・・・また、次回の診察、お願いします。・・・それでは」
東藤（Ｍ）：「・・・。・・・これから先、考えないと、いけない時期が、迫ってる・・・。
でも、まだ・・・、現場を退くわけには、いかない・・・」
間
紫藤：「東藤・・・」
東藤：「・・・紫藤、どうして、此処に・・・？」
紫藤：「・・・この前の事件、・・・リボルバーの、奥さんの看病にだ。
・・・東藤こそ、何故、此処に？」
東藤：「・・・ちょっと、用事でな・・・」
東藤（Ｍ）：「紫藤の能力は、考えてる事がわかる能力。どうしたものか・・・」
紫藤：「お前は、わかりやすいな・・・。心配するな。・・・仲間の心まで、覗こうなんて考えてない」
東藤：「すまない。・・・お前達にも、いずれ、話す事になる。
・・・それまで、此処で会った事は、黙っててくれ・・・」
紫藤：「わかった」
東藤：「それで、リボルバーの奥さんは、どうだった？」
紫藤：「・・・感謝していた。夫を止めてくれて、ありがとうって」
東藤：「お前も、顏に出やすいな・・・。・・・それは、表向きの気持ちだろ。・・・奥さんの内心はどうだ？」
紫藤：「・・・葛藤してたよ。もっと早く気付いていたら・・・。
こんな体じゃ無ければ・・・、夫は、こんな事件、起こさなかったって・・・」
東藤：「そうか・・・。・・・紫藤、頼みがある。これからも、奥さんの見舞いを・・・」
紫藤：「言われなくても、そうするつもりだ」
東藤：「助かる。・・・これからも、事件が起こるたび、事件関係者は、心に傷を負うかもしれん。
そんな関係者達も、どうか、救ってやってくれないか？」
紫藤：「・・・それは、私の能力でなくても、自分達、特殊部隊が、忘れてはいけない事だろう？」
東藤：「そうだな・・・。すまない・・・。少し、弱気に、なってたようだ・・・」
紫藤：「お前らしくないぞ。・・・今日、此処で会った事は、私の心の中に、閉まっておく。
顔でも洗って、その弱気の心、洗い流してい来い！
じゃあ、また後でな」
東藤（Ｍ）：「・・・駄目だな。・・・もっと、俺がしっかりしないと、
また、あの時のように悲劇を繰り返してしまう・・・。
頼む。・・・もっと、俺に、部下達を守れる力を・・・」
間
（荒川に頼んでた物（本）を読みながらニヤニヤする篠崎）
篠崎：「う～ん、やっぱりこの子、最高だな～。荒川先輩、感謝っすよ！
これで、暇な入院生活も、パラダイスっす！！！」
東藤：「ほう～、その本、そんなに面白いのか？」
篠崎：「そんなの当たり前っすよ！ 何て言ったって、自分の推してる子なんすから！！！」
東藤：「そいつは、楽しそうで、結構な事だ・・・。なぁ、篠崎！！！！」
篠崎：「えええええええええええ！！！！ リーダー！！！？」
東藤：「随分と、楽しい・・・、入院生活のようだな！！！」
篠崎：「すみませんでした！！！！」
東藤：「・・・くっ」
篠崎：「あれ？ 東藤リーダー、どうしたんすか？」
東藤：「何でもない！ 少し、疲れが出ただけだ・・・」
篠崎：「東藤リーダーも、年なんだから、体の事は、もう少し・・・」
東藤：「フンッ！！！」（篠崎の頭にゲンコツ）
篠崎：「痛ぅ～・・・。ゲンコツなんて、酷いっすよ・・・」
東藤：「お前はいつも、一言、余計なんだ！ 大人しく、寝てろ！！！
・・・この本は、没収だ！！！」
篠崎：「そんなぁああああああ！！！！」
東藤：「五月蠅い！！！ その代わりに、お前には、これをやる。受け取れ」
篠崎：「東藤リーダー、これって！？」
東藤：「お前の能力に、合わせて開発してもらった靴だ。
早く、治して、現場復帰しろ！！！ 良いな！！！」
篠崎：「はいっす！！！！！！！」
東藤：「じゃあ、俺は本部に戻る。またな、篠崎」
（病室を出る東藤）
篠崎：「ありがとうっす！！！ リーダー！！！！」
間
（八王子市内 特殊部隊本部 ＰＭ１：００）
荒川（Ｍ）：「・・・手掛かりなしか。・・・次は、聞き込みの範囲、もう少し広げて・・・」
東藤：「荒川！！！」
荒川：「はいっ！！！ お帰りなさい！！！！ 東藤リーダー！！！！」
東藤：「篠崎に・・・、頼まれた物だが・・・！！！」
荒川：「すみませんでした！！！ 篠崎に頼まれて、仕方なく・・・」
東藤：「篠崎を甘やかしすぎだ！！！ 以後、注意するように！」
荒川：「はいっ！！！」
東藤：「それで、何か情報は、聞けたか？」
荒川：「残念ながら・・・。なので、聞き込みの範囲、もう少し、広げてみようと思いますが、宜しいですか？」
東藤：「構わない。そうしてくれ」
荒川：「わかりました！」
東藤：「・・・荒川。その捜査資料、纏めたら、今日は上がって良いぞ」
荒川：「良いのですか？」
東藤：「お前も最近、根詰め過ぎだ。少しは、気晴らしして来い」
荒川：「ありがとうございます。では、お言葉に甘えさせて、いただきます」
東藤：「なぁ、荒川・・・」
荒川：「はい。何ですか？ 東藤リーダー？」
東藤：「・・・すまん。何でもない・・・」
荒川：「そうですか・・・」
間
東藤：「篠崎の容態だが・・・、だいぶ回復してたよ。何、心配はいらない」
荒川：「そうですか。復帰したら、また賑やかになりますね」
東藤：「そうだな」
荒川：「・・・よし、終わり。・・・それでは、東藤リーダー、お先に失礼します」
東藤：「おう。お疲れ」
間
（荒川が出て行き暫く経ってから紫藤が入って来る）
紫藤：「・・・お前、一人か？」
東藤：「あぁ。そうだ」
紫藤：「・・・さっきの病院の事だが・・・」
東藤：「さっきも言っただろう。その事は、いずれ話す。・・・それまで、待ってくれないか？」
紫藤：「・・・」
東藤：「これは、俺の問題なんだ。・・・それに、いざとなった時の事も、考えてる。
だから、お前達に、迷惑をかけるつもりはない。心配するな」
紫藤：「わかった・・・」
東藤：「紫藤・・・、お前も、今日は、もう上がって良いぞ」
紫藤：「お前は、どうする？」
東藤：「俺は、もう少し、やる事が残ってる」
紫藤：「そうか。じゃあ、先に上がらせてもらうよ」
東藤：「あぁ。お疲れ」
間
（急に心臓が痛くなりスーツの上から胸を掴む）
東藤（Ｍ）：「ぐっ・・・まだ、倒れる訳にはいかない。俺には、まだまだ、やる事が、残ってるんだ・・・」
間
（八王子市内 駅前ロータリー ＰＭ４：００）
小柳：「荒川君、待った？」
荒川：「いえ。俺も、今さっき来たところです」
小柳：「突然の誘いだったから、ビックリしちゃったわよ」
荒川：「迷惑でしたか・・・？」
小柳：「そんな事ないわ。むしろ、嬉しかった・・・！」
荒川：「上司から、早めに上がって良いと言われたので、良い機会だなと思って・・・」
小柳：「なら、その上司に感謝かな～。私も、もう一度、荒川君と会いたいなって思ってたから」
荒川：「小柳先輩・・・」
小柳：「さて、夕飯までは、少し早いけど、何処、行こうか？」
荒川：「そう、ですね・・・」
小柳：「ねぇ、荒川君。ひょっとして、緊張してる？」
荒川：「え！？ そんな！？ どうして、ですか！？」
小柳：「ふふふふっ！ もう、わかり過ぎなくらい、緊張してるじゃない！」
荒川：「すみません・・・。今日の小柳先輩、何か、俺の知ってる先輩と、雰囲気が違ってて・・・」
小柳：「それって、私の事、少しは、意識してくれてるのかな～？」
荒川：「えっ！？」
小柳：「ねぇ～？ ちゃんと答えて。荒川君」
荒川：「そんなの答えられませんよ！？ 勘弁してください！！！！」
小柳：「あ～あ・・・。残念。・・・ちゃんと、聞きたかったな～」
荒川：「先輩・・・、もしかして、少し酔ってます？」
小柳：「う～ん、ばれちゃったか・・・。そりゃあ、少しは飲んでるわよ～。
・・・荒川君と二人っきりなんだもん。・・・緊張しちゃうし・・・」
荒川：「何か意外ですね」
小柳：「え？ どうして？」
荒川：「大学時代の先輩は、頭脳明晰で、スポーツ万能。みんなの憧れの的でしたので・・・」
小柳：「そう言えば、そうだったわね・・・。でも、そのお陰で、苦労もしたのよ・・・。
常に、誰よりも上を目指さないと、いけなかったし、それを考えると、今の方が、ずっと楽しいわ」
荒川：「先輩は、今は・・・、どんな仕事、されてるのですか？」
小柳：「う～ん。あの頃、荒川君に言ってたように、
立派な弁護士になれました！ って言えれば良かったけど、
残念ながら・・・、普通のＯＬよ。・・・ガッカリした・・・？」
荒川：「そんな事、ないです！」
小柳：「もう、荒川君は、嘘が下手ね・・・」
荒川：「すみません・・・」
小柳：「別に、謝らなくて良いわよ。・・・ただ、現実を思い知らされただけだから・・・」
荒川：「・・・」
小柳：「あ～、もう！ こんな湿っぽい話は終わり、終わり！
ねぇ、荒川君、・・・何処か綺麗な景色、観に行きたいな！」
荒川：「景色ですか？ それだと、少し歩きますが、先月オープンした、高層ビルの展望台が、人気みたいです」
小柳：「良いじゃない！ そこに決まり。じゃあ、行きましょう。ほらっ、手、貸して」
荒川：「え？ 手ですか？」
小柳：「良いから、早く」
荒川：「わかりました」
小柳：「もうすぐ日が暮れちゃうし、走るよ。荒川君」
荒川：「はいっ」
間
（八王子市内 病院 ＰＭ４：３０）
（篠崎の病室のドア ノックする紫藤）
篠崎：「・・・はい、どうぞっす」
紫藤：「邪魔するぞ。・・・怪我の容態は、どうだ？」
篠崎：「順調に回復してるっす。先生も、１週間後には、退院しても良いって言ってたっす」
紫藤：「そうか。それは何よりだ。すまないな・・・。見舞いに来るのが、遅れてしまって」
篠崎：「別に良いっすよ。・・・俺の事より、リボルバーの奥さんの容態は、どうっすか？」
紫藤：「感謝してたよ。だが、葛藤もしていた」
篠崎：「・・・そうっすか」
紫藤：「心配するな。彼女の事は、私に任せてくれ」
篠崎：「わかったっす。・・・それと、もう一つ・・・」
紫藤：「ん？」
篠崎：「東藤リーダーの事なんすが・・・、何か様子、可笑しくなかったっすか？」
紫藤：「どうして、そう思うんだ？」
篠崎：「昼頃、リーダー、見舞いに来たんすけど、その時の様子が、一瞬、可笑しかったんす！」
紫藤：「・・・東藤も、此処の所、ずっと捜査続きで、疲れが溜まってたんだろう」
篠崎：「なら、良いんすけど」
紫藤：「心配しなくて大丈夫だ。お前は、まず自分の体、治すことに集中しろ」
篠崎：「紫藤さん、前から言いたかったすけど・・・」
紫藤：「何だ？」
篠崎：「俺の方が、先輩なの忘れてないっすか！？」
紫藤：「あぁ。知ってる。今更、どうした？」
篠崎：「知ってるなら、俺を後輩みたいに、扱うの止めて欲しいっす」
紫藤：「努力はするよ」
篠崎：「何すか・・・。その曖昧な答えは・・・」
紫藤：「私なりに、背一杯なんだがな・・・」
篠崎：「もう良いっす・・・」
紫藤：「まぁ、気を付ける。じゃあ、大人しく寝てろよ。じゃあな」
篠崎：「はぁ～・・・。
・・・それにしても、リーダーの、あの様子、やっぱり気になるっす・・・。
何も無ければ、良いっすけど・・・」
間
（八王子市内 高層ビル展望台 ＰＭ５時００分）
小柳：「・・・ふぅ。・・・間に合った～」
荒川：「そのようですね」
小柳：「やっぱ、思ってた通り、綺麗な夕日～。・・・頑張って走ったかい、あったわね」
荒川：「小柳先輩・・・」
小柳：「何？ 荒川君」
荒川：「本当は、何かあったんじゃないですか・・・？ 今日の先輩・・・、やっぱり何か変です・・・」
小柳：「・・・そんなに変かな・・・」
荒川：「・・・俺には、無理してるように、見えます」
小柳：「・・・荒川君には、嘘付けないわね・・・。・・・ええ、正解よ・・・」
荒川：「一体、何があったのですか？」
小柳：「・・・ねぇ、荒川君。・・・どうして、もっと早くに、再会してくれなかったの・・・」
荒川：「どういう意味ですか？」
小柳：「私ね・・・。もう、荒川君の知ってる、憧れの先輩じゃないの・・・。・・・汚れちゃったのよ」
荒川：「汚れたって？」
（沈む夕日をバックに静かに語りだす小柳）
小柳：「・・・ねぇ、荒川君。・・・私は、法の世界には、入れなかったけど・・・、
その代りにね。・・・神様は、素晴らしい贈り物を、与えてくれたの・・・」
荒川：「どういう事ですか？」
小柳：「それは、これよ・・・。見て、綺麗でしょ・・・？ この炎は、全ての愚かな男共を浄化し、
裁くことが出来る。私だけの、聖なる剣よ。これは、私に託された使命なの・・・。
ねぇ・・・。荒川君・・・」
荒川：「・・・何ですか？」
小柳：「・・・貴方も、能力者でしょ？」
荒川：「・・・」
小柳：「・・・本当、荒川君は、顏に出やすいわね。
ねぇ、教えて・・・。どんな能力？」
荒川：「俺の能力は、予知能力です・・・。・・・数分間先の、未来がわかります・・・」
小柳：「・・・それで、さっきエレベーターに乗った頃から、様子、可笑しかったのね・・・。
予知能力か～。じゃあ、全てお見通しだったわけだ・・・」
荒川：「先輩の様子が、可笑しかったから・・・。俺は、先輩の為を思って・・・！」
小柳：「優しいんだね・・・」
荒川：「・・・小柳先輩」
小柳：「何？ 荒川君」
荒川：「・・・俺は、特殊部隊に所属してます。・・・そして、連続焼死事件の犯人を追ってました」
小柳：「そう・・・」
荒川：「どうしてですか・・・。・・・どうして、その犯人が・・・、小柳先輩・・・なんですか・・・！！！！
俺は、一体・・・、どうしたら・・・、良いんですか・・・」
小柳：「本当、荒川君は優しい・・・。・・・そんな貴方に、私は捕まえられるのかしら？
私は・・・、自分の理想の為なら、・・・貴方でも容赦しないわ！」
荒川：「・・・俺は！！！」
小柳：「よくお聞きなさい！ 荒川君！ 私は、貴方の知ってる小柳 倫子じゃないわ。
・・・私の名前は、テミス！！！
世の中の、全ての愚かな男共を、この炎で、燃やし浄化する存在よ！！！
止めれるものなら、止めて見せなさい！！！」（手から炎を出し荒川に向けて放つ）
荒川：「くっ！！！ ・・・・小柳先輩！！！！ 待ってください！！！！」
（荒川と小柳の間は激しい炎で分断される）
（炎で追いかけられない荒川に向けて出口側の小柳は言い放つ）
小柳：「テミスよ！！！！ さようなら・・・。・・・荒川君・・・！！！」
荒川：「熱っ！！！ 待ってください！！！ 小柳先輩！！！！ ・・・くそっーーーーーー！！！！！」
（炎が落ち着き意気消沈してる荒川の所に通報によりかけつけた東藤が現れる）
東藤：「荒川！！！！！ 大丈夫か・・・！！！！」
荒川：「・・・東藤リーダー」
東藤：「一体、何があったんだ！？」
荒川：「・・・」
東藤：「おいっ！？ 荒川！ 答えるんだ！？」
荒川：「・・・連続焼死事件の犯人と、接触しました・・・」
東藤：「何だと！？ ・・・犯人は、誰なんだ！？」
荒川：「それは・・・。・・・俺の・・・。・・・」
東藤：「・・・おいっ！ しっかりするんだ！！！ 荒川！！！！！」
間
（１週間後 八王子市内 病院 ＰＭ１：００）
荒川：「・・・う、うううん・・・」
篠崎：「あっ、荒川先輩。意識、戻ったっす」
荒川：「篠崎・・・。・・・お前、何で・・・？」
篠崎：「何でじゃないっすよ！？ ・・・でも、良かったっす・・・」
荒川：「・・・」
東藤：「荒川・・・」
荒川：「東藤リーダー・・・。俺は、一体・・・」
東藤：「お前は、あの後、気絶して、この病院に運ばれたんだ。
先生曰く、長時間、炎の煙を吸ったのと、何か心理的なショックを受けたのではと、言っていた」
荒川：「・・・」
東藤：「一体、あの現場で、何が起こったんだ？」
荒川：「・・・東藤リーダーに、早めに帰って良いと言われた後、俺は、大学時代の先輩、小柳 倫子さんに会っていました。
その先輩の様子が、可笑しかったので、能力を使ったのですが、
その時に、その先輩が、・・・一連の事件、連続焼死事件の犯人とわかったんです・・・」
東藤：「・・・」
荒川：「・・・先輩も、俺の様子が可笑しいのに、気付いて、その時に、俺も能力者でしょ？
と、問われ、・・・答えるしかなかったんです・・・。
その後は、先輩は、テミスと名乗り、俺との間に、炎を出した後、逃走しました・・・」
東藤：「そうだったのか・・・。事情はわかった・・・」
荒川：「俺がもっとしっかりしてれば、先輩を逃がす事なんて・・・。
先輩は、炎の能力で、愚かな男性共を、浄化すると言ってました・・・！
早く止めなければ・・・！」
東藤：「・・・荒川」
荒川：「何ですか？」
東藤：「お前は・・・、今回の事件から、外す・・・」
荒川：「どうしてですか！？」
東藤：「今のお前では、そのテミスを、捕まえる事は出来ないからだ！」
荒川：「そんな事ないです！！！ 俺に、やらせてください！！！！」
篠崎：「荒川先輩！ 東藤リーダーの言う通り、無理っすよ！ だから大人しく！」
荒川：「お前は黙ってろ！！！ 篠崎！！！！」
篠崎：「・・・」
東藤：「良いか！！！！ これは上司の命令だ！！！ 病院で、大人しくしてろ！！！ 良いな！！！」
荒川：「・・・わかりました」
東藤：「・・・少し、頭を冷やせ！」
荒川：「はい・・・」
東藤：「そろそろ、行くぞ。篠崎」
篠崎：「はいっす」
間
（病室の廊下で、黙ってそのやり取りを聴いていた紫藤）
紫藤：「おいっ、東藤」
東藤：「紫藤・・・。話は聞いていただろう？」
紫藤：「あぁ・・・」
東藤：「犯人は、テミスと名乗る女性だ」
紫藤：「わかった。こちらでも、探してみる」
東藤：「宜しく頼む。それと、篠崎、お前にも頼みがある」
篠崎：「何すか・・・？ リーダー」
東藤：「荒川の、見張りを頼む」
篠崎：「わかったっす」
東藤：「俺は、本部に戻る。何か可笑しなことがあったら・・・」
篠崎：「すぐに、連絡するっす！」
東藤：「宜しく頼む。では、解散」
間
荒川：「・・・」
篠崎：「・・・」
荒川：「・・・おい、篠崎」
篠崎：「何すか？」
荒川：「いつまで、俺の側に居るんだ・・・」
篠崎：「東藤リーダーから、頼まれたっす！ だから、此処を離れないっすよ」
荒川：「・・・お前は、東藤リーダーの、忠犬か・・・。・・・勝手にしろ」
篠崎：「勝手にするっす」
荒川：「俺は、少し寝る・・・」
篠崎：「わかったっす」
間
荒川：「・・・」
篠崎：「・・・先輩、・・・寝たようっすね。・・・ううん。・・・喉乾いたっすね・・・。
少し、購買にでも・・・」
荒川：「ふんっ！」（手刀を、篠崎の首にくらわす）
篠崎：「うっ・・・。酷いっすよ・・・。荒川先・・輩・・・」
荒川：「すまない・・・篠崎。許してくれ・・・。
・・・早く、小柳先輩を、止めに行かなければ・・・！」
（着替えを済ませ病室を抜け出す荒川）
間
（八王子市内 病院 ＰＭ５：００）
東藤：「・・・おいっ、篠崎！？ しっかりしろ！？」
篠崎：「東藤リーダー・・・」
東藤：「・・・荒川は、何処に行った！？」
篠崎：「わからないっす・・・。荒川先輩から、手刀、くらって・・・そのまま・・・」
東藤：「あれ程、大人しくしてろと言ったのに、あいつは・・・！！！」
篠崎：「・・・恐らく、テミスを探しに行ったのでは・・・」
東藤：「よし、後を追うぞ！」
篠崎：「追うって、どうやってですか？」
東藤：「あの現場で、荒川の様子が可笑しかったから、靴に発信機を付けて置いたんだ」
篠崎：「用意周到っすね・・・」
東藤：「お前も、この前、あんな状態になったんだ・・・。もしもの為にと、開発してもらってたんだ。
こうでもしないと、お前達を守れないからな・・・」
篠崎：「東藤リーダー・・・。・・・それで荒川先輩は、何処に？」
東藤：「どうやら、大学にいるらしい。俺達も急ぐぞ！！！」
篠崎：「はいっす！！！」
間
（八王子市外 大学構内 グラウンド ＰＭ５：３０）
大学教授：「ぎゃあああああああああああああああ！！！！ 熱い！！！！！！ 助けてくれええええええええ！！！！！！」
小柳：「貴方は、沢山の教え子を、襲ったようね。・・・このテミスには、お見通しよ！！！！
そのまま、己の罪を悔やみながら、燃え尽きなさい！！！！」
大学教授：「死にたくない・・・。・・・うわあああああああああ！！！！」
小柳：「・・・」
荒川：「小柳先輩、もう止めてください！！！」
小柳：「荒川君・・・。よく此処が、わかったわね・・・」
荒川：「・・・大学時代。・・・教え子の女性に、手を出していた教授が居たと、聞いた事がありました・・・」
小柳：「そう。それで・・・。・・・荒川君の言う通り、この男は、今まで沢山の女性を襲ったわ！
それなのに、・・・法では裁かれなかった・・・。何故だか、わかる？」
荒川：「・・・」
小柳：「この男には、優秀な悪徳弁護士の友達がいるの！ だから、ずっと法で裁かれることはなかった！
可笑しいでしょ！？ 罪人を裁く、弁護士が・・・、罪人の味方してたのよ！！！
・・・だから、私が、そんな弁護士の代わりに、裁いてあげたのよ！！！！」
荒川：「・・・もう止めてください・・・！！！ これ以上、罪を重ねないでください！！！！」
小柳：「罪！！！！？ 何を言ってるのかしら！？ これは、罪ではないわ！！！ 法の裁きよ！！！！」
荒川：「法の裁きは、こんな惨い死なせ方を、するものなのですか！？」
小柳：「それは・・・！？ ・・・」
荒川：「・・・小柳先輩も、頭では分かってるはずです！ 本当は、こんな事、間違ってるって！！！」
小柳：「五月蠅い！ 五月蠅い！！ 五月蠅い！！！」（小柳の手から、炎が噴き出し、辺りを燃やす）
荒川：「くっ・・・！！！！」
（東藤 篠崎 紫藤も遅れて到着する）
東藤：「荒川！！！！」
篠崎：「荒川先輩！！！」
荒川：「東藤リーダー・・・！ どうして・・・！！！」
東藤：「話は後だ！！！！ 紫藤！！！ 彼女の心は読めるか！！！！」
紫藤：「かなり動揺してるみただが、やってみる！」
小柳（Ｍ）：「私は、悪くない・・・！ 私は、世の中の女性の為・・・！ 違う！！！ 私自身の為に！！！
愚かな男共を、浄化しないと、いけないの！！！！
そうじゃないと、また私も同じ目に！！！！」
紫藤：「・・・そういう事だったのか・・・！」
小柳（Ｍ）：「もう、元には戻れない！！！ 戻るには何もかも、遅すぎるの！！！！」
紫藤：「そんな事はない！！！ お前の身に起きた事は、同じ女性として、絶対、許せない事だ！！！
愚かな男共を、殺したい気持ちもわかる！！！
だが、このままでは、お前自身の心も、そいつらと同じ、ただの犯罪者になるんだ！！！！」
小柳：「私は、犯罪者なんかじゃないわ！！！！
私は、私は・・・！！！！ いやああああああああ！！！！！」（感情が高まり過ぎて炎の制御が出来ず暴走しだす）
荒川：「小柳先輩！！！」
篠崎：「荒川先輩！！！ 行ったら駄目っす！！！！」
荒川：「・・・ぐぁああああ」（小柳を抱きしめる）
小柳：「荒川君！？ 何やってるの、離れなさい！！！」
荒川：「嫌です！！！！」
小柳：「このままじゃ、貴方も一緒に、燃え尽きてしまうわ！！！」
荒川：「それでも、構いません！！！！ 俺は、このまま、小柳先輩を・・・見殺しになんて・・・！！！
そんなの絶対に嫌です！！！！」
小柳：「荒川君・・・！！！」
荒川：「小柳先輩・・・。まだ、間に合います・・・。・・・罪を償って・・・。
また、・・・昔みたいに・・・。一緒に、笑い合えますよ・・・。
どんなに時間かかっても、・・・俺、待ってます・・・」
小柳：「・・・ごめんね・・・。
私の為に・・・。こんな危険な目に・・・」
荒川：「こんなの平気です・・・。
先輩なら、必ず、力を抑えれます・・・。負けないで・・・」
小柳：「荒川君・・・」
小柳（Ｍ）：「さっきから制御しようとしてるけど駄目なの・・・。もう制御、出来ない・・・。
このままじゃ、本当に、荒川君が死んじゃう・・・！！！
お願い！！！ 私の事は良いから、・・・荒川君を助けて・・・！！！」
紫藤：「・・・くっ。・・・それで、後悔はしないのか！？」
小柳：「ええ・・・。後悔はしないわ！！！」
紫藤：「わかった・・・！！！」
荒川：「・・・何がですか！？ 小柳先輩・・・！？」
小柳：「ごめんね・・・。荒川君・・・」
紫藤：「・・・彼女は、もう力を制御、出来ないそうだ・・・。・・・東藤、頼む！！！！」
東藤：「わかった・・・！！！」
（東藤の能力で鉄が動き荒川の体に巻き付き小柳から引き離す）
荒川：「これは！？ ・・・嫌だ！！！ 待ってください！！！ 東藤リーダー！！！ この鉄を解除してください！！！！
先輩は、まだ助けれます！！！」
小柳：「荒川君・・・。ありがとう・・・。・・・大好きよ・・・。
貴方は、私の分まで、生きて・・・」
荒川：「小柳・・・先輩！！！！！！！！！！！！！！！ 待ってください！！！！！
嫌だあああああああああああああ！！！！！」（東藤の能力で小柳から引き離される）
小柳：「さようなら・・・。・・・荒川君・・・」
間
（小柳は自らの炎に包まれ暫く燃えたのち燃え尽きた）
東藤：「・・・テミスは？」
紫藤：「完全に・・・、燃え尽きた・・・」
荒川：「どうして・・・ですか・・・？」
東藤：「・・・すまない。荒川・・・。こうするしか、なかったんだ・・・」
荒川：「・・・小柳・・・先輩・・・。・・・」（気を失う）
篠崎：「荒川先輩！！！ しっかりしてください！！！ 荒川先輩！！！！」
東藤：「篠崎！ 今すぐ、救急車の手配だ！！！ 急げ！！！！」
篠崎：「はいっす！！！！ ・・・こちら篠崎、救急車の手配、お願いっす！！！ 場所は、八王子市外・・・」
紫藤：「東藤・・・」
東藤：「何だ・・・？」
紫藤：「彼女のような能力者を、これ以上、生み出してはいけない・・・」
東藤：「あぁ・・・。わかってる・・・。
・・・こんな悲劇は、繰り返させない・・・」
間
（八王子市内 病院 ＰＭ２３：００）
荒川：「・・・小柳・・・先輩・・・。うううん・・・。・・・此処は？」
篠崎：「病院っすよ・・・。良かった・・・。荒川先輩、目、覚ましたっす・・・」
荒川：「篠崎・・・」
東藤：「・・・荒川・・・」
荒川：「東藤リーダー。・・・勝手な行動して・・・、すみませんでした・・・。でも、俺は・・・」
東藤：「・・・暫く、ゆっくり休むんだ・・・。・・・話は、以上だ」
荒川：「・・・はい」
東藤：「帰るぞ。篠崎」
篠崎：「わかりましたっす・・・。
・・・荒川先輩、早く元気になってくださいっす」
荒川：「あぁ・・・」
間
（病室を出てく東藤 篠崎 入れ替わりで病室をノックして入る紫藤）
（ノック音）
荒川：「・・・どうぞ・・・」
紫藤：「荒川・・・。・・・東藤を、許してやれ・・・」
荒川：「それは、・・・わかってます。あの・・・、紫藤さん・・・」
紫藤：「何だ・・・？」
荒川：「小柳先輩は・・・、あの時、・・・何て貴方に、伝えたのですか？」
紫藤：「彼女は、こう言った・・・。もう、制御が出来ないから、
私の事は良いから、・・・荒川君を助けて・・・と・・・」
荒川：「そうでしたか・・・。・・・俺が、先輩を追い込まなかったら、きっと・・・」
紫藤：「荒川・・・。大事なのは、辛くても、前に進む事だ・・・
いつまでも、お前が、そんなんじゃ、・・・小柳先輩も、安心して、旅立てないぞ」
荒川：「・・・はい」
紫藤：「ゆっくり、休め・・・。じゃあな・・・」
間
荒川：「・・・小柳・・・先輩・・・。
俺も・・・、貴方の事・・・、大好きでした・・・。・・・うっ、ううう・・・」（悔しくて涙が溢れる）
終わり
この作品はフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません