表紙絵 DarthVader様(@darthvader1981)

 アニマル・エージェント エピソード0

 

 

作者:ヒラマ コウ

 

 

比率:【2:1】

 

上演時間:【30分】

 

 

※2021年、1月27日、加筆調整

 

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登場キャラ

 

 

 

 

【アレックス】猫♂・・・この物語の主人公、エージェント養成学校を優秀な成績で卒業し、

            ASFのベテランエージェントになり、日々街を悪から守ってる

      

 

          性格:正義感が強く、突っ走ることがある、明るいムードメーカー

 

 

          見た目:背は普通 体型もがっしりはしてなく普通 色は白の毛並み

 

 

 

 

 

 

【ギルバート】虎♂ ・・・エージェント養成学校時代からのアレックスの良きライバルであり、凄腕のベテランエージェント

 

                          

 

             性格: 厳しくて、すぐ怒鳴る 真面目 

 

 

             見た目: 背は高め 体型はガッチリで筋肉質 色は黄色と黒の毛並み

 

 

 

 

 

【ジェシカ】猫♀・・・エージェント養成学校時代からの2人の仲間。ASFに所属し、普段はオペレーターとして、

           エージェントのサポートに回ってるが、いざとなれば、現場にも出る

 

 

 

             性格:明るい サバサバ系

 

 

             見た目: 背は普通 体型は細目 色は茶色の毛並み

 

 

 

 

 

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CAST

 

 

アレックス:

 

ギルバート:

 

ジェシカ:

 

 

 

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あらすじ

 

 

 

舞台はアメリカ、サンフランシスコ

 

ASFの養成機関、エージェント養成学校から物語は始まる。

エージェントを目指す、ギルバートだが、不安から、門の前で立ち止まってる。

そんな中、ある青年が声をかける。

この青年、そしてこの後出会う彼女との出会いが、ギルバートのこれからの運命を大きく変えるとは

この時は知る由もなかった・・・

 

 

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本編は此処から

 

 

 

 

 

 

ギルバート(N):「私の名前はギルバート。これから話す事は、私の過去であり、忘れられない思い出・・・。

          そして、未来に続く物語の序章。

          私は、この子を2人のぶんまで、立派に育てないといけない。そうあの2人のぶんまで・・・。

          話は、エージェント養成学校時代に遡る・・・」

         

 

 

 

 

(過去、エージェント養成学校に入学式)

 

 

 

ギルバート:「いよいよこの日が来たんだな・・・。今日から俺も・・・」

 

 

アレックス:「よう! そんな所でぼさっとしてると邪魔だぜ! さっさと進んだ進んだ!」

 

 

ギルバート:「ちょっとちょっと! 押さないでくれ。いきなり失礼じゃないか!」

 

 

アレックス:「ん?」

 

 

ギルバート:「なんだよ・・・」

 

 

アレックス:「ははーん、さてはこの門をくぐるのを溜めらってたな?」

 

 

ギルバート:「そんな事ないさ。俺は今、まさにくぐろうとしてたんだ!」

 

 

アレックス:「どうだか。その割には、足が震えてるぞ」

 

 

ギルバート:「これはただの武者震いなだけだ! お願いだから、俺の事はほっといてくれ!」

 

 

アレックス:「あっそう。じゃあ、俺、先に行くぞ。お前も、入学式に遅れないように急げよ!」

 

 

ギルバート:「あぁ・・・」

 

 

 

ギルバート(N):「それが、彼との初めての出会いだった。門の前で迷っている私を、彼はまるで嵐のように、

          現れ、その心を見抜き、あっという間に去っていったのだ・・・。

                         彼とは、それっきりになると思ってた。だが・・・」

 

 

 

 

 

アレックス:「あれ? お前は、さっき校門の前で、武者震いしてた・・・。同じクラスなんだな! これから宜しくな!」

 

 

ギルバート:「断る」

 

 

アレックス:「なんで? 俺達、2年間一緒なんだから、仲良くしようぜ。なっ!」

 

 

ギルバート:「俺はお前みたいな、デリカシーの欠片も、ない奴なんてごめんだ!」

 

 

アレックス:「おいおい、それはいくらなんでも酷いな。さすがの俺でも凹むぞ・・・」

 

 

ギルバート:「勝手に一人で、凹んでろ」

 

 

アレックス:「はぁ・・・」

 

 

 

(そんなギルバートとアレックスのやりとりを見てて、つい笑ってしまうジェシカ)

 

 

 

ジェシカ:「(笑う)」

 

 

ギルバート:「ん? 君は、誰?」

 

 

ジェシカ:「あっ・・・私ったらつい。私の名前はジェシカ。貴方達とは、同じクラスよ」

 

 

ギルバート:「俺は、ギルバート」

 

 

アレックス:「初めまして! 俺はアレックス! 同じクラスになれて嬉しいよ!」

 

 

ギルバート:「うわっ・・・立ち直り、早いな!」

 

 

アレックス:「可愛い子の前で、いつまでも凹んでられるか!」

 

 

ジェシカ:「ギルバートにアレックスね。2人とも本当、仲が良くて羨ましい」

 

 

ギルバート:「どこが?」

 

アレックス:「どこが?」(同時に)

 

 

ジェシカ:「そういうところがよ。本当、見てて飽きない」

 

 

ギルバート:「俺達は、見世物でもなんでもないよ・・・」

 

 

ジェシカ:「気を悪くしたなら、ごめん。またやっちゃった・・・」

 

 

ギルバート:「また?」

 

 

ジェシカ:「ええ。私ったら昔からいっつもこうなの。デリカシーに欠けるというか、なんというか・・・」

 

 

アレックス:「そうか? 俺は別に気にしなかったぜ」

 

 

ジェシカ:「それなら良かった。ねぇ、一緒のクラスになったんだし、良ければだけど、私とも仲良くしてくれない?」

 

 

アレックス:「心配しなくても、そのつもりだよ。なぁ?」

 

 

ギルバート:「そうだな。変にいがみあっても、つまらないし」

 

 

ジェシカ:「2人共、ありがとう! じゃあ、改めて、これから2年間、よろしくね!」

 

 

アレックス:「おう! 良きライバルとしても、よろしくな!」

 

 

ギルバート:「望むところだ」

 

 

ジェシカ:「負けないんだから!」

 

 

 

 

ギルバート(N):「ジェシカを初めて見た時、胸がドキッとした。彼女のように、綺麗な子は今まで見た事がなく、

         私は彼女が気になり始めていた。

         運動力も抜群で、授業をなんなくクリアしていき、本当、見事だった。

         それにたいして、アレックスは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

(訓練、意気揚々と訓練をこなすジェシカ)

 

 

 

ジェシカ:「2人共、遅い遅い! そんなんじゃ、置いていくわよ!」

 

 

ギルバート:「悪い、ジェシカ、先に行っててくれ」

 

 

ジェシカ:「え? 何かあったの?」

 

 

ギルバート:「あれだ・・・」

 

 

ジェシカ:「あぁ・・・」

 

 

アレックス:「おいっ・・・。なんでそんなに早いんだよ・・・。もう少し・・・ゆっくり走ろうぜ・・・」

 

 

ジェシカ:「アレックス、それじゃ訓練にならないでしょ! もっとペースあげて!」

 

 

アレックス:「そんな事・・・言われても・・・。足が上手く動かな・・・あああああ!」

 

 

 

(盛大にこけるアレックス)

 

 

 

ジェシカ:「ちょっと、大丈夫!?」

 

 

アレックス:「・・・はぁ。足痛いし、今日は訓練終わり!」

 

 

ジェシカ:「えっ? それは駄目よ!」

 

 

ギルバート:「そうだぞアレックス。いくらなんでもそれじゃあ、教官に怒られるぞ・・・」

 

 

アレックス:「なら、俺の事はおいていって結構! さっさと先に進んでくれ!」

 

 

ギルバート:「・・・ちゃんと訓練は最後までこなすんだぞ」

 

 

アレックス:「・・・あぁ」

 

 

ギルバート:「仕方ない。ジェシカ、行くぞ」

 

 

ジェシカ:「えぇ・・・」

 

 

 

 

ギルバート(N):「ジェシカが運動能力抜群に対して、アレックスは運動音痴だったのだ・・・。

           普段明るい彼も、その日の夜は

           かなり落ち込んでいた・・・。見かねた私は彼に声をかけた」

 

 

 

(学校、屋上)

 

 

 

アレックス:「はぁ・・・」

 

 

ギルバート:「こんな所にいたのか・・・」

 

 

アレックス:「なんだ、ギルバートか・・・。何の用だ・・・?」

 

 

ギルバート:「お前が落ち込んでると思って、慰めにな」

 

 

アレックス:「それは、ご丁寧にどうも・・・」

 

 

ギルバート:「・・・」

 

 

アレックス:「・・・」

 

 

ギルバート:「・・・」

 

 

アレックス:「・・・あぁ! うっとおしい奴だな・・・。慰めるんなら早くしろよ・・・」

 

 

ギルバート:「ごめん・・・。良い言葉が思い浮かばなかった・・・」

 

 

アレックス:「本当そういう所、お前らしいよ。・・・だけど、ありがとうな。1人で考え過ぎてて、

       どうしようもなくなってたから、助かった・・・」

 

 

ギルバート:「それで、何を1人で考えてたんだ?」

 

 

アレックス:「色々だよ・・・。俺さ、この学校でやっていけるのかな・・・。お前達と違って運動音痴だし、

       何やっても、ドジばかりでよ・・・。本当、情けないよな・・・」

 

 

ギルバート:「あぁ。全くその通りだ。情けない」

 

 

アレックス:「おいっ! そこは、情けなくないぞ! とかいって、慰めるところだろうが!」

 

 

ギルバート:「馬鹿野郎! 今のお前のその心がだよ! なに、つまらない事で、くよくよ悩んでんだ!

       それで、よく入学式の時に、良きライバルとしても、よろしくな! だ!

       あの時の威勢は、どこに行ったんだよ!」

 

 

アレックス:「あの時は、勢いというか・・・」

 

 

 

ギルバート:「俺達のライバルを名乗るのなら、これくらいの試練で、挫けるな!

       今の情けないお前に、ライバルって名乗る資格はない! よく頭を冷やすんだな!」

 

 

アレックス:「・・・」

 

 

 

 

ギルバート(N):「今、思えば少々きつく言い過ぎたかもしれない・・・。だが、

           その時の私の言葉が心に響いたのか、その夜を境に、

           彼は見違えるように、変わり始めた」

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェシカ:「ちょっと、ギルバート。一緒に来て・・・」

 

 

ギルバート:「どうかしたのか?」

 

 

ジェシカ:「いいから早く」

 

 

 

 

 

(1人、グラウンドで走り込みを続けるアレックス)

 

 

 

アレックス:「ああああああああああ・・・!!! 痛たたた・・・。くそっ・・・、

       なんで足が思い通りに動かないんだ・・・。

       胸も苦しい・・・。でも、こんなところで・・・負けてられるか・・・。

       あいつらに追いつくんだ・・・。いやっ、追い越すんだ・・・!」

 

 

 

 

ジェシカ:「あれよ」

 

 

ギルバート:「アレックス・・・」

 

 

ジェシカ:「彼、変わったわね。一体、何があったんだか・・・」

 

 

ギルバート:「さあな」

 

 

ジェシカ:「友情の力ね・・・」

 

 

ギルバート:「え?」

 

 

ジェシカ:「なんでもない! この分だと、彼、私達の中で一番になるかもしれない。

      私達も頑張らないとね!」

 

 

ギルバート:「そうだな!」

 

 

 

 

ギルバート(N):「ジェシカの言う通り、アレックスはその後も、どんどんと才能を開花していき、気付けば、

         養成所学校で一番になっていた。そして、卒業式の日・・・」

 

 

 

 

(学校、屋上)

 

 

 

ジェシカ:「2年間、あっという間だった」

 

 

ギルバート:「そうだな。辛い時もあったが、乗り越えたな」

 

 

ジェシカ:「えぇ。だけど・・・一番その辛い時を乗り越えて、立派になったのはアレックスよね。

      彼、たくましくなったわ」

 

 

ギルバート:「・・・」

 

 

アレックス:「ギルバート! ジェシカ! こんな所にいたのか! 探したんだぞ!」

 

 

ギルバート:「アレックス、お前もこっちに来いよ!」

 

 

ジェシカ:「早く! 此処からの景色って、最高よ!」

 

 

アレックス:「今、行く!」

 

 

 

 

 

 

ジェシカ:「改めまして、卒業おめでとう! これで、晴れて私達、エージェントよ」

 

 

ギルバート:「そうだな・・・」

 

 

アレックス:「どうかしたか?」

 

 

ギルバート:「あぁ・・・。思い出してたのさ。あの時の事を」

 

 

ジェシカ:「あの時って?」

 

 

ギルバート:「アレックスが、此処で落ち込んでた夜をね」

 

 

ジェシカ:「え?」

 

 

アレックス:「馬鹿! それはもう、忘れていいって!」

 

 

ギルバート:「忘れられないさ。あの夜の事は」

 

 

ジェシカ:「ねぇ、2人だけで、ずるい! 私にも教えてよ!」

 

 

ギルバート:「ジェシカがこう言ってるが、どうする?」

 

 

アレックス:「絶対に駄目だ! あんなこっぱずかしい姿、知られたくない!」

 

 

ギルバート:「だそうだ。悪いなジェシカ」

 

 

ジェシカ:「なんだ。残念。でも、いいわ。それは、2人の大事な思い出なんでしょ」

 

 

アレックス:「大事な思い出か?」

 

 

ギルバート:「どうだろうな」

 

 

ジェシカ:「相変わらず仲が良くて羨ましい・・・。この調子で、これからもよろしくね」

 

 

ギルバート:「ということは?」

 

 

ジェシカ:「えぇ! ASFのサンフランシスコ支部に、配属が決まったわ!」

 

 

アレックス:「やったな! おめでとう! これで、変わらずに3人一緒だな! なっ、ギルバート!」

 

 

ギルバート:「あぁ!」

 

 

ジェシカ:「だけど、2人は前線でのエージェント活動、私は支部でのオペレーター活動が主になるから、

      部署は違うのが残念・・・」

 

 

ギルバート:「ジェシカの能力なら、前線に配属されても、おかしくないのにな・・・」

 

 

ジェシカ:「体力的な部分で違いもあるから、仕方ないんだと思うけど・・・。納得いかない部分はある。

      だけど、前線に出れないってわけじゃないから、慰めなくて良いわよ!

      絶対に前線に出て活躍して、2人を圧倒させるんだから!」

 

 

 

ギルバート:「その意気だ! なぁ、アレックス!」

 

 

アレックス:「おう! ジェシカなら、絶対、出来る! 

       前線で、待ってるぜ!」

 

 

ジェシカ:「アレックス・・・」

 

 

 

 

 

 

ギルバート:「2人とも悪いな・・・。俺はこの後、用事があるから、先に帰る。それじゃあ、今度は職場でな」

 

 

アレックス:「おう、またな」

 

 

 

 

ギルバート(N):「本当は用事などはなかった・・・。私は気付いてたんだ。

           アレックスとジェシカがお互いを好きだという事を。

           2人が度々、一緒にいて仲良くしてる姿を見て、私の胸は酷く傷んだ。

           だが、2人が幸せならと、私は静かに身を引いた。

           ASFのエージェントになってからは、そんな傷心気分も引きずれないくらい、忙しく・・・。

           気付けば、2年が経過していた。そんなある日、私は、アレックスに呼び出された・・・」

 

 

 

 

(ASFサンフランシスコ支部、屋上)

 

 

 

アレックス:「よう! ギルバート! 久しぶりだな!」

 

 

ギルバート:「アレックス、お前、本当に屋上が好きだな・・・。急に呼び出して何の用だ?」

 

 

アレックス:「忙しいのに悪いな・・・。実はさ、お前に話とかないといけない事があるんだ」

 

 

ギルバート:「話?」

 

 

アレックス:「あぁ。実はな、俺・・・ジェシカと結婚したんだ。それと、1歳になる息子もいる」

 

 

ギルバート:「そうか・・・」

 

 

アレックス:「なんだよ。もっと驚くかと思ってた・・・」

 

 

ギルバート:「お前達が付き合ってたの、養成所時代から気づいてたよ。それが結婚して、まさか息子までとはな・・・」

 

 

アレックス:「なんだ。気付いてたのか。だったら、早く言えよ。俺はこれでも悩んだんだからな! いつ、打ち明けようかって」

 

 

ギルバート:「本当・・・お前は昔から、悩んでばかりだな。息子の名前は?」

 

 

アレックス:「・・・マックス。どんな事でも全力で、立ち向かって欲しいという願いから付けた。どうだ? 良い名前だろう!」

 

 

ギルバート:「マックス・・・か。お前らしい名前だ。お前とジェシカの子だ。きっと逞しく育つさ」

 

 

アレックス:「あぁ。そう願ってる」

 

 

ギルバート:「ジェシカは・・・、元気なのか?」

 

 

アレックス:「元気だよ。暫く、育児休暇で現場から離れていたが、今日から復帰出来ると、喜んでた」

 

 

ギルバート:「ジェシカらしいな・・・」

 

 

アレックス:「全くその通りだな・・・。おっ、噂をしたら、ジェシカからだ!もしもし・・・」

 

 

ジェシカ:「ねぇ、聞いて! ビッグニュースよ! いち早く伝えたいと思って、電話かけちゃった!」

 

 

アレックス:「ビッグニュース? ちょうど良かった。今、ギルバートも近くにいるんだ。テレビ電話に切り替える」

 

 

 

 

ジェシカ:「はあい! ギルバート、久しぶり! 元気だった? ちょうど良かった! ギルバートにも、是非、聞いて欲しいの!」

 

 

ギルバート:「久しぶり。ジェシカ。

       聞いて欲しい事って?」

 

 

ジェシカ:「私ね、前線の任務が決まったの!」

 

 

ギルバート:「本当に!?」

 

 

ジェシカ:「えぇ! やっと、長年の夢がかなったのよ!」

 

 

アレックス:「おめでとうジェシカ! それで、いつから任務なんだ?」

 

 

ジェシカ:「それが・・・。急な話なんだけど・・・、実は今・・・、飛行機で向かってる所なのよ。」

 

 

アレックス:「飛行機でって・・・。じゃあ、マックスは・・・?」

 

 

ジェシカ:「それなら心配しないで。ベビーシッターに頼んだから、心配無用よ」

 

 

アレックス:「それなら良いけど・・・。お前にとっては初任務だ。くれぐれも、気を付けるんだぞ。

 

 

ジェシカ:「わかってるわよ。心配しないで! 上手くやってみせるから! 

      じゃあ、アレックス、帰ったらマックスのことよろしくね!

      明日には帰るわ。

      ギルバート、バタバタしちゃってごめんね。

      また、今度ゆっくり話しましょう! じゃあね!」

 

 

ギルバート:「あぁ。楽しみにしてるよ。」

 

 

 

アレックス:「急すぎて、何が何だか・・・。だけど、前線での活躍はあいつの夢だったし、無事に帰ってくることを祈るよ」

 

 

ギルバート:「そうだな」

 

 

 

 

 

 

ギルバート(N):「だが・・・ジェシカの夢はかなうことはなかった・・・。彼女の乗っていたASF専用の飛行機は、

           謎の組織の攻撃により、海で焼失。

           私も、アレックスも、その知らせを、ASFから聞いたときには、愕然とした・・・。

           そして、更に月日は流れ、4年が経った・・・。

           そう・・・。忘れもしない・・・。あの日がやって来たのだ・・・」

 

 

 

(ASFサンフランシスコ支部、屋上)

 

 

 

 

アレックス:「ギルバート・・・。

       ついに・・・、あの時の借りが返せる・・・」

 

 

ギルバート:「ジェシカのか・・・?」

 

 

アレックス:「あぁ・・・」

 

 

ギルバート:「奴らの組織の詳細が、わかったのか?」

 

 

アレックス:「昨日、新たな情報が入ったんだ。組織の建物らしき場所が、判明したって」

 

 

ギルバート:「そうか・・・。

       ・・・潜入するのか?」

 

 

アレックス:「勿論そのつもりだ! このままでは、ジェシカの仇(かたき)が・・・」

 

 

ギルバート:「全くお前は、相変わらずだな・・・。何かあると、この屋上に来るんだな」

 

 

アレックス:「悪いかよ・・・。この屋上は、ジェシカにプロポーズした場所でもあるんだ。

       俺にとって・・・、思い出のある場所なんだ・・・」

 

 

ギルバート:「此処で、ジェシカにか・・・。それじゃあ、そのジェシカの為にも頑張らないとだな!

 

 

アレックス:「一緒に、付いてきてくれるのか?」

 

 

ギルバート:「当たり前だろ! 今更、遠慮なんて水臭いぞ」

 

 

アレックス:「サンキュー! ギルバート・・・!」

 

 

ギルバート:「それで、いつ潜入するんだ?」

 

 

アレックス:「今夜だ。その建物で何か行うらしいから、それを阻止する。

       もしくは、建物を破壊するのが、俺達の任務だ!」

 

 

ギルバート:「了解! アレックス・・・。そこには、ジェシカの情報も・・・」

 

 

アレックス:「それは、わからない・・。だけど、何かしらの情報は掴めるはずさ!」

 

 

ギルバート:「そうだな。・・・それじゃあ、今夜」

 

 

アレックス:「あぁ・・・」

 

 

 

 

ギルバート(N):「この時に、私が強くアレックスを止めていたら、未来は変わったのかもしれない・・・。

         だが、そう出来なかった私は、アレックスと、謎の組織の建物に潜入した。

         順調に任務を遂行してたと思った矢先に、その事件は起こった・・・」

 

 

 

 

 

アレックス:「此処が、この建物の情報端末が置いてある部屋か・・・。それにしても何だか静かすぎる・・・」

 

 

ギルバート:「あぁ・・・。此処までに来る間に、やけに監視も少ないし、気になる・・・。

       嫌な予感がするし、早く出よう・・・」

 

 

 

アレックス:「そうだな・・・。とにかく、ここの情報をいただくとしよう。ギルバートは、そっちの端末を頼む」

 

 

ギルバート:「わかった。それにしても、凄い情報量だ・・・。これは一体・・・」

 

 

アレックス:「おいっ! これを見ろ。組織はどうやら・・・、何か、重要なプロジェクトを始めてるらしい・・・」

 

 

ギルバート:「プロジェクトα(アルファー)・・・。どんな内容なんだ・・・?」

 

 

アレックス:「内容はだな・・・」

 

 

 

(警報装置が鳴り響く)

 

 

 

ギルバート:「警報!? おいっ、アレックス! やばいぞ!!!」

 

 

アレックス:「あぁ・・・! だけど・・・! この内容だけでも、USBメモリーにデーターコピーを・・・!」

 

 

 

ギルバート:「おいっ! まだか・・・!?」

 

 

アレックス:「後少し・・・だ! よし、コンプリート! ギルバート脱出するぞ!!!」

 

 

ギルバート:「了解!!!」

 

 

 

 

 

 

ギルバート(N):「アレックスと私は、必死に逃げた。だが、警報により増えた警備員の銃で、アレックスが撃たれた・・・」

 

 

 

アレックス:「くっ・・・!!!」

 

 

ギルバート:「アレックス!!! 大丈夫か!?」

 

 

アレックス:「・・・足を撃たれた・・・! もう、走れそうもない・・・」

 

 

ギルバート:「仕方ない・・・。こっちに隠れるぞ・・・! ここなら暫くは・・・」

 

 

アレックス:「それにしても、なんで潜入がばれたんだ・・・!」

 

 

ギルバート:「わからない・・・。さっきまで、警備も少なかったのに、いつの間にこんなに・・・!」

 

 

アレックス:「まさか・・・!?」

 

 

ギルバート:「おいっ! アレックス!!! ノートパソコンなんか出して、どうする気だ!?」

 

 

 

アレックス:「・・・」(必死に何かを調べている) 

 

 

ギルバート:「おいっ、そんな事してる場合じゃ・・・」

 

 

アレックス:「これは・・・!!!」

 

 

ギルバート:「何かわかったのか?」

 

 

アレックス:「そうか・・・。そういう事だったのか・・・。くそっ!!! 急がなければ・・・!!!」

 

 

ギルバート:「おいっ、アレックス!!!」

 

 

アレックス:「・・・後、もう少し」(ノートパソコンで何かの作業を始める)

 

ギルバート:「おいっ、向こうから警備員が! このままじゃ、2人ともタダではすまないぞ!」

 

 

アレックス:「よしっ! これで良い!!!

       ギルバート・・・、頼みがある!」

 

 

ギルバート:「こんな時になんだ?」

 

 

アレックス:「これを・・・。持っててくれ」

 

 

ギルバート:「シルバーのロケットペンダント? これは一体、何なんだ!?」

 

 

アレックス:「ギルバート・・・!!! マックスを・・・、頼む・・・!!!」

 

 

ギルバート:「アレックス!?」

 

 

アレックス:「此処からなら死ぬことは無い!!! お前だけでも逃げろ!!!」(ギルバートを外めがけて、突き飛ばす)

 

 

 

ギルバート:「・・・アレックスーーーー!!!!!!!!!!!!」

 

 

アレックス:「頼んだぞ・・・! ギルバート・・・!」

 

 

 

 

 

 

ギルバート:「痛っ・・・。全くあいつは・・・。こうしてはいられない・・・。早く助けに行かないと・・・!」

 

 

 

 

(その次の瞬間、建物は爆破)

 

 

 

ギルバート:「ぐわあああああああああああああああ!!!!」

 

 

 

間 

 

 

 

ギルバート(N):「私はアレックスを助けに行こうとした。だが、次の瞬間、建物は爆破をし、

           私は、その爆風に吹き飛ばされ、気を失った・・・。

           暫くして、目覚め、見た時には建物は跡形もなく・・・、私の手には、アレックスから託された、

           シルバーのロケットペンダントがあるだけだった・・・。

           そして、呆然としながらも、私は彼に託された、彼の息子、マックスの元へ向かった・・・。

           そう、この日から始まったのだ。

           私とマックスと、マックスが出会う仲間と謎の組織との・・・、闘いの日々が・・・」

 

 

 

 

 

 

ギルバート:「次回予告」

 

 

アレックス:「戸惑いながらも、マックスを育てるギルバート」

 

 

ジェシカ:「それに応え、順調に成長するマックス。そして11年後・・・。物語は、いよいよ始まる・・・」

 

 

ギルバート:「次回、アニマルエージェント エピソード1、お楽しみに」

 

 

 

 

 

 

 

終わり